このページは、本や講演、セミナーなどから、教え学んだこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ転載しています。
アルバイトに、巻かせきる「人」で築いた参入障壁
坂本 孝 (さかもと たかし)ブックオフコーポレーション会長兼CEO(最高経営責任者)]
ちよつと大げさに言うと、ブックオフコーポレーションは経営の専門家には理解できない会社なんですよ。最大の強みは、現場の活力と、それを支えるやる気にあふれた人材ですが、同じような状態をほかの会社では再現できない。古本屋と言うと、誰でもできそうですが、私が作った“参入障壁”は意外と高いんです。
「ブックオフのアルバイトは、なぜあんなに働くか」とよく聞かれます。まさにそれこそがマニュアル化できないノウハウなんですね。創業から16年、その歴史の中で培ってきたものとしか言いようがありません。
神奈川県模原市に開いた1号店は、本当にないない尽くしのスタートでした。当時の古本屋は、オヤジ1人が店番をする薄暗い店というイメージ。そもそも店を出す物件を貸してくれる人がいないし、ようやく見つけても信用金庫に融資を拒杏される。そして、何といっても、店で働いてくれる人を集めるのが大変でした。
1号店でアルバイトを募集した時は正直驚きました。面接に来るのは、ビデオレンタル店などで不採用になった人ばかり。結局、15人ほどを採用しましたが、「こんなヤツらで仕事ができるのか」と思わずにはいられなかった。そこで、私は「店を最低でも30店に増やす」という夢を実現するために、ある意味腹をくくりました。
金融機関の協力が得られない以上、商売を大きくするには、出した店で確実に利益を上げる必要がある。そのためには、雇った従業員にとにかく頑張ってもらうしかない。そう考えて、彼らの潜在能力に勝けてみることにしました。
開店準備の期間中、私は1日の作業が終ると、全員を集めて話をしました。床に置いたみかん箱に、自分で買ってきたビールとするめ。一杯やりながら、夢を繰り返し語るんです。「この商売は必ず当たる。東京進出はもちろん、いずれはニューヨークにも、パリにも店ができるよ」と。
創業者が毎日そう言っていると、聞いている人も、その気になってくる。アルバイトの目が輝いてきて、心の絆が深まっていくのを、私は実感していました。今年、社長を譲った橋本(真由美)さんも、主婦のパートとして、この輪に加わっていた1人です。
事前にまいたチラシや開店記念品の効果で、1号店には初日からお客様の列ができました。私が従業員に「明日からは店の管理を全部任せる。レジのお金も、店の鍵もあなた方に預けるからよろしく」と行ったのは、このオープン当時のことです。言われた方は当然「えっ、我々はバイトですよ」と驚きましたが、「私は次の店の物件探しをするから」と突き放しました。
任せれば人は育つ――。1号店の業績がその後も順調に推移したことで、私はそれを確信しました。現在、店は878店に増えましたが、社員の店長1人に、パート、アルバイト約20人という基本杓な人員構成は変わっていません。どの店も社員と同じ意識をを持つアルバイトが支えています。
アルバイトに金銭ののインセンティブは特にありません。経営情報をすべてガラス張りにして、「自分の店」と思ってもらえる環境を整えているだけです。何もないところから練り上げた「人」中心のビジネスモデル。これはそう簡単にまねできないし、大企業はやろうとも思わないでしょう。(談)
日経ビジネス 2006年9月18日号 より
任せれば人は育つ。
通常、従業員には「まだまだ、任せられない・・・。」「良い社員が育たない・・・。」などという人は多い。しかし、いつになったら任せられるのでしょうか?また、大手のように有名ではない場合、良い社員はいつになったら来てくれるでしょうか?
夢を語り、共有・共感できるものであれば人は自ずと自分で判断し行動できるもの。そして、移譲をしてしまえば良い。しかし、この移譲。簡単なようだが、本当に移譲するもは怖いものです。
でも、同じ夢を見ていれば行き方は違えど最終的なゴールは同じはず。そのためには、夢を語りおもいきっり移譲する。そして、どんなことが起こるか予想し、失敗しようと再チャレンジさせることが重要ではないでしょうか。
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