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朝日新聞と読売新聞、日本経済新聞、産経新聞のどう書評欄が作られているのでしょうか? また選書はどのようにしているのか。書籍『出版広告必携』(出版マーケティング研究会 編集、日本エディタースクール出版部)を読むとその仕組みが理解できます。早速ですが一部ご紹介いたします。
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全国紙の場合、週1回日曜日か月曜日に2-3頁を読書面として設けている。数年単位でその紙面構成は変化するが、内容的には「紹介」「書評」「時評」記事を中心に。
そのほかに「私の推奨する本」などの常設コラムや「雑報」記事を加える形が一般的である。読書面のほかに、とくに児童書、育児・教育関連、あるいは婦人家庭実用書などについては関連記事紙面に書評欄を設けている新聞も多い。
読書面の書評の対象となる本の選定と、書評担当者の決定方法となる本の選定と、書評担当者の決定方法をみてみよう。
朝日新聞では、1960年以来「書評委員会制度」を採用している。書評委員の人選は、学者や作家、評論家、実務家など幅広く各分野の専門家をカバーし、かつ他紙と重ならないよう配慮して、毎年初に依頼している。
委員会は2週間に1回開催される。委員会には、各出版社から書評依頼のあったもの、学芸部の担当記者が集めたもの。
さらに書評委員から事前に推薦があったものなどを含めて、300点ほどの中からあらかじめ担当記者が選んでおいた70点前後の新刊書が揃えられる。
委員はそれらをざっと回し読みし、それぞれについて「○」(自分が書評してもよい)「△(書評するほどではないが、紹介に値する)支持」自分ではできないが、ほかの人に書評して欲しい)の評価を行う。
これらの票が複数入ったものが書評対象候補となり、委員の間で議論して、「○」をつけた人の中から書評担当者が選ばれる。
担当者から提出された書評は、学芸部内のチェックをへて、毎週6-7点が掲載される。(書評委員を経験された森毅氏の『ゆきあたりばったり文学談義』日本文芸社による。)
事前の選書にあたっては、出版社が偏らないような配慮をある程度するものの、本自体の時事性や話題性を優先的に考えて柔軟性をももたせており、最終的に掲載記事を決定する段階で、出版社のダブリをさけるよう調整するという。
読売新聞は、ほぼ朝日新聞と同様の方法をとっている。毎日新聞では、1992年以降書評委員会システムを廃止し、外部の約30人の識者を「書評者グループ」として委嘱している。
グループメンバーには毎週、学芸部が作成する「竹橋通信」という新刊および近刊情報誌が届けられる。書評者はそれを参考にしつつも。そこにない本を含めてそれぞれが自由に選んだ本を、書評して提出する。「竹橋通信」に掲載される点数はほぼ100点程度である。
日本経済新聞の場合、経済・金融・産業分野の関連書を重点的に、まず文化部で書評候補リストを作成する。
次いで社内各部局および日本経済研究センターなど関連組織から人選された30名程度の書評委員が、隔週1回程度会議を開き、書評するものと紹介にとどめるものを決定する。書評そのものは、文化部が社外を中心に、一部社内スタッフも含めて適当な執筆者を選定し、依頼している。
産経新聞も社内スタッフ主導型になっている。
書籍『出版広告必携』より
出版マーケティング研究会 編集
日本エディタースクール出版部 (1996年6月初版)
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合わせて読んでおきたいのが、この書籍『だれが「本」を殺すのか』(佐野 眞一著)です。朝日新聞の書評コーナーの本はどのように選ばれるのが紹介されています。以下のリンクから抜粋してご紹介してますのでご確認ください。※朝日新聞の書評コーナーの本はどのように選ばれるでしょうか?
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