このページは、書籍「ベストセラーの戦後史 1」から、教え学んだこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・日米會話手帳 小川菊松
昭和二十年
この『日米會話手帳』は戦後に企画発行された出版物の第一号であり、戦後最大のベストセラー本であるという二つの勲章をもっている。
四六半截判(文庫をよりひと回り小さい)、三十二頁、定価八十銭という文字通り吹けば跳ぶような本がどうして三カ月に三百六十万部(一説には四百万部)も売れたのか。
・筆者にはまず九月十五日という発売日が気にかかる。この日から半月早くても、また半月おそくても、この本はさほど売れなかったのではないかと考えないでもない
・完全なる結婚 ヴァン・デ・ヴェルデ
昭和二十一年
「読むやすくて、安い」というのがベストセラーの絶対条件のようである。
・この書物はまさに時を得たエロ本とハウツーものの合金(アマルガム)、だからこそ翼が生えたようによく売れたのである。
・小説はいま勘定に入れないで、ベストセラーの型は、おそらく次の六種でほとんど尽くされるのではあるまいか。
1、セックスもの。
2、真相はこうだ、もの。
3、愛と死のもの。
4、人生論もの。
5、実用書もの。
6、占い、予言もの。
・本は売れる理由があってはじめて売れるものらしい。
・セックスそのものは、元来ウェットなものです。それをウェットに表現したのでは、清潔で美しいイメージの表現がむずかしくなります。
ある晩(先生が)眠られぬままにふと気づいたのは、当時、神経痛の薬のPR(テレビ。井上注)にF製薬が使っていたモデル人形でした。
これならいやらしくなく、具体的な表現ができるのではないか、と早速に買い求めたピノキオ人形(木製のためこんなニックネームがつけられていました)でした
・英語に強くなる本 岩田一男
昭和三十六年
発売のひと月前に、次のような新刊案内を流したのである。
教室で学べない秘法の公開
(一)むずかしい単語も文法もでてこない。
(二)中学二年か三年のやさしい英語を知っていれば誰でも、この本で英語に強くなれる。
(三)むかし英語を習ったが、さっぱりモノにならなかった人でも、この本を読めば英語がモノになる。
(四)はじめてタテ組で書かれた本、ABCの初心者もたのしく読める。
・筆者に、あまりあてにならない理論のひとつに、「実用入門書のベストセラーは十三年から十六年の周期で繰り返される」という説がある。
●書籍「ベストセラーの戦後史 1」より
井上 ひさし 著
¥1,300
文藝春秋 (1995年9月初版)
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●「ベストセラーの戦後史 2」
井上 ひさし 著
¥1,300
文藝春秋 (1995年12月初版)
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