このページは、書籍「データが変える出版販売」から、良かったこと、教え学んだこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・出版社では、編集が「主」で営業は「従」とみられてきたきらいがあり、それゆえ出版流通、出版営業に関しては疎かになりがちです。しかし成長している出版社は出版営業に大変力を入れています。
・講談社は、DC/POSや出版VANのシステムなどについても、かなりオープンにしています。(中略)しかしあえてオープンにすることは、実は企業としてのメリットもあります。
他社がそれを模倣しキャッチアップしてくるかもしれないというプレッシャーがかかることで、いつもイノベーションをめざす姿勢を持とうとするからです。
現在進んでいるものも、すぐに遅れたものになっていく運命にあるので、常に次の一手を打っておかなけれなりません。
・「定点観測本」とは
『ほくを探しに』、『ビック・オーとの出会い』という本があります。両方とも倉橋由美子訳ですが、これは「大人の塗り絵」的な意味合いがあって、講談社ではロングセラーとして力を入れている商品です。
新潮社に『大人のための残酷童話』という本がありますが、これも同じようにロングセラーです。
何軒かの書店だけで秘かに知られている本、つまりあまり知られていない超ロングセラーです。(中略)
売上数はそれほど変動せず、コンスタントに売れ続けている本がいろいろな分野にあるわけで、これが売行き動向の物差しになるいわゆる「定点観測本」です。
・データというのは、比較しないと役に立ちません。とくに同規模店との比較が大変役立ちます。出版社の営業担当者の中には、いくつかのデータを見ただけで書店の性格分類ができ、これはどこの書店と当てる人がいます。
・書店の棚は、基本的に売れ残った商品が置いてあるのだと考えるべきです。
・現在、講談社の書籍返品率は、業界平均よりも一〇%以上低く押さえられていると言ってもいいでしょう。
・データの有用性(比較のための加工)
時系列に過去と比較するのが一つの方法です。
・出版社にしても、Aという本が売れたということで終わらせず、この本を読んだ人は多分Bという本にも手を伸ばすだろうと予測し、だからBの本も棚に置いてもらえような働きかけが必要になってきます。
・出版社の営業部門が取り扱うジャンルを大別すると、売上管理、商品管理、製作進行管理、販売促進、編集対応、非定型業務の六つあります。
・配本は、手作業ではなく、コンピュータによるパターン配本でなされていますが、これは、販売会社に任せる方法と、出版社独自の配本資料を提供して、それを販売会社のシステムに組込む方法があります。
講談社の場合、一部のジャンルでは書店の販売実績に応じて、ランクと部数を組み合わせる配本パターンを作っています。書店が、売上カードを一枚でも送ってきたなら、それをその店の販売実績データとして取っておくシステムになっています。
・販売促進の分野
--- 流通業者 ----
対象 卸売業者 販売会社----取次、即卸売など
手段 訪問、電話、FAX、郵送
内容 データ、情報、注文書、目録、パンフレット
--- 流通業者 ----
対象 小売業者----書店、CVS、スタンド
手段 訪問、電話、FAX、郵送
--- 消費者 ----
対象 読者
手段 PR(書評)、DM、媒体宣伝、口コミ
内容 話題性、注文書、目録、パンフレット、新聞、雑誌、電波ほか、話題性
・金太郎的な書店ではなく、いかの衝動買いを起こさせるか、そのための技術を磨きたいものです。
●書籍「データが変える出版販売」より
永井 祥一 著
¥1,529(税込)
日本エディタースクール出版部 (1994年6月初版)
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