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思わず手に取ってしまう本のデザインにはどんなものがあるのでしょうか?そう、そんな時には本を調べるに限ります。その書籍とは、『しかけのあるブックデザイン』です。
どうすごいのか、それは、本の中身とデザインが連動しているのです。では、実際に『しかけのあるブックデザイン(グラフィック社 刊)』から一部写真付きでご紹介したいと思います。
本当に水でタイトル文字はにじんでいるのかと思わせるカバーは、タイトルをこのようにゆがめて印刷し、その上にUVスポットニスを厚塗りするという印刷技術をうまく使った技ありのデザイン。
表紙を開くと見返し裏に鏡文字になったタイトルが印刷されているが、これが次ページに挟み込まれた鏡のようなメタリック紙に映ることを計算してのこと。目次は楽譜のようになっており、明度の高い紙にさらなる軽やかなイメージを添えている。カバーははずした裏面や目次にも楽譜が印刷されている。
書名:失はれる物語
出版社:角川書店/価格:1,575円/著者:乙一 /デザイン:帆足英里子/出版年:2003年/印刷・製本:暁印刷、本間製本/判型:四六判、上製
「ほぼ日刊イトイ新聞」人気コンテンツの単行本化。
“オトコたちの街”新宿二丁目のバーで、旅行、ダイエット、恋愛などについて語る。
カバーの表紙には濃いヒゲ、裏面にはすね毛が。透明なフィルムが使われたカバーをとると女性に変身。男なの?女なの?という雰囲気たっぷりのデザインに。
タイトル:おしゃれとセンスはゲイに学べ。
出版社:角川書店/価格:1,995円/著者:新宿二丁目のほがらかな人々/デザイン:リリー・フランキー/出版年:2003年/印刷・製本:旭印刷、鈴木製本所/判型:四六判、並製
現在多くの優れたブックデザインを手掛けている鈴木成一さんの出世作といえば、89年に出版された『スカートの下の劇場』。
勝因は、やはりカバーに半透明の紙を使ったところでしょう。あけすけ過ぎず、スカートの下がうっすら透けている感じがよく出ている。鈴木さんらしい、うまい紙の選択だと思います。
タイトル:スカートの下の劇場
出版社:河出書房新社/価格:1,300円/著者:上野 千鶴子/デザイン:鈴木誠一デザイン室/出版年:1989年/印刷・製本:暁印刷、小泉製本/判型:四六判、並製
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まだまだ、他にも『あやし(宮部 みゆき著)』や『えんぴつで奥の細道(大迫 閑歩、伊藤 洋著刊)』、『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール(菊地成孔著)』など知っといて損のないデザインが多くあります。
特に、著者の方にはオススメです。このような書籍は出版関係者以外は通常読まないからです。要するに、他の著者にはないアイデアやヒントにつながるかもしれないということです。
また、この本を見ながら編集者に相談してご自身の本の中身にあった装丁家を見つけるのもひとつかもしれません。よかったら手にとってみてください。
▼書籍『しかけのあるブックデザイン(グラフィック社 刊)』
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