このページは、書籍「出版メディア入門(川井 良介 編集)」から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・製版印刷による出版物では、770(宝亀元)年に印刷された法隆寺などでの『百万塔陀羅尼』(ひゃくまんとうだらに)が、製作年代の明確な世界最古のものとされている。この印刷技術は古代中国から伝えられ、紙もまた中国伝来のものを模して、日本で紙を漉いて造ったものであることが推定できる。
・円本ブーム
そばやコーヒーが10銭の時代に、各巻500頁を超える分量で、単行本4~5冊に相当するものが1冊に集録され、しかも通常の2分の1から3分の1の定価で購入できるならば、申し込みが殺到するもの当然であった。
・フランスのR.エスカルピは、ペーパーブックの特徴として「それは数万部以下で出版されることはなく、1冊の定価も1時間相当の労働賃金を越えることはあまりない」(『出版革命』)と大量性と廉価性を指摘する。
実際、単行本の平均発行部数が3805部なのに対して、文庫本のそれは1万5186部、新書は1万2334部と3倍以上である。
また、単行本の平均価格が1600円であるのに対し、文庫本は607円、新書は778円と半値以下である。(『出版指標年報2004』)
・ペーパーブックという形で一般に注目されるようになったのは、54年創刊の「カッパブックス」(光文社)以降のことである。
・米国では、ハードカバーで75万部以上、ペーパーブックで200万部以上をベストセラーという説もある。また、ベストセラーの部数を人口の1%以上とする説もある。
・日本では、1914(大正3)年雑誌『学鐙』において初めてベストセラーということばが紹介された。しかし、より多くの人に知られたのは49(昭和24)年6月12日号の『週刊朝日』の「記録文学への胎動-----ベストセラーを解剖する」という記事以降であり、このことばが一般化したのは50年代になってからである。
・2002年3月に総務省の日本標準産業分類が改訂された。
・日本初のCD-ROM出版物は1985年の『最新科学技術用語辞典』(三修社)である。
・出版社は設立に際して免許、登録、許可、届出が必要な事業者ではない。
・出版社は、書籍出版社、雑誌社、総合出版社、教科書出版社、その他に大別できる。
・編集者の狭義の仕事は、企画立案→編集企画会議→企画決定→執筆交渉・原稿督促・原稿入手→造本設計・原稿整理・指定→印刷所入稿→校正(初稿・再校・校了、含む素読み・著者校正)→制作→印刷→製本そして装丁・ブックデザインにいたるすべてのプロセスに直接・間接に携わる。広義には、それプラス、出版契約締結、宣伝、販売、重版、印税支払チェック、サイン会等の催事など全般におよぶ。
・編集者は柔軟な精神をもち、斬新かつ画期的な企画を常に考え、ひらめきやアイデアを企画に仕上げる情熱をもち、著者と協創(コラボレーション)する力が問われる。また若手著者を発掘し、育てあげるプロデューサー、マネージャーの役目をもつ。
・一部の大手出版社は書店との親睦のための「会」をもっている。講談社の書店未来研究会、朝日新聞社の書店朝日会、徳間書店の徳親会、読売新聞社・中央公論社の読売中公会、扶桑社の扶桑会、三省堂の東京三省研、角川書店の角川会などがある。
※参考:書店未来研究会のサイトはコチラから
・取次の源流は江戸期にさかのぼるといわれている。当時は版元、取次、書店を兼ねた存在であった。
・書籍の流通条件
●普通委託(新刊委託・重版委託):委託
請求方法:即
返品期限:締切日起算105日
●長期委託:委託
請求方法:延
返品期限:4ヶ月、6ヶ月など
●常備委託:寄託
請求方法:延
返品期限:1年
●注文品:買切
請求方法:即
返品期限:(返品不可)
●買切品:買切
請求方法:即
返品期限:(返品不可)
●延勘品:買切
請求方法:延
返品期限:(返品不可)
・雑誌の流通条件
●週刊誌 返品期限:本誌 45日 増刊号 60日
●隔週刊・月2回刊誌 返品期限:本誌 60日 増刊号 60日
●月刊誌 返品期限:本誌 60日 増刊号 60日
●隔月刊誌 返品期限:本誌 90日 増刊号 90日
●季刊誌 返品期限:本誌 120日 増刊号 120日
●コミック・ムック 返品期限:返品期限なし
特殊な雑誌を除く、ほとんどの月刊誌や週刊誌は委託扱い
(資料)『よくわかる出版流通のしくみ'05~06年版』より作成』
・◆・・・・・・ベストセラー『日本国憲法』
1982年のベストセラーリストをみると、小学館編『日本国憲法』が第7位に入っている。前年にベストワンになった黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』がロングセラー化して、500万部という空前のベストセラーとなっている。この本がきかっけとなって、いわゆるタレント本がブームとなっていた頃である。
『日本国憲法』のベストセラーは、その中で異彩を放っている。本文は一切の解説、解題はつけず、本来の憲法にはない総ルビがふられている。憲法そのものを誰でもが楽しく読めるように、大きな活字と写真29枚を使った編集方針が注目された。いわば編集の“技”だけで日本国憲法を読むブームを作ったということでも、記憶しておきたい出版界の出来事である。
・広告部門は雑誌の広告を集めるのが仕事だが、一般雑誌の多くは広告代理店が企業等への営業を行なっている。
・書店員は重労働
書店員はというと一日中、好きな本に触っていられる楽な仕事だと思われがちだが、実は重労働である。
重い本が詰まった段ボール箱を運んだり、何冊も本を抱えて走り回ったりという体力的な面とともに、出版物という商品の性質上、結構こだわりの強い客も多く、そうした客からの質問やクレームに対応しなければならないという精神的プレッシャーもある。
もちろん、そうした日々の仕事の中には書店でしか味わえない喜びがある。自分が売りたいと思って仕掛けをした本が売れたり、客の漠然とした希望に的確な対応ができて、それが縁で常連客になってもらったりという話を嬉しそうに語る書店人は多い。
●書籍「出版メディア入門」より
川井 良介 編集
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