このページは、書籍「読書人の周辺(紀田 順一郎 著)」から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・わが国のおける読書論の第一号は、明治大正の教育家、沢柳政太郎の『読書法』(一八九二・冨山房)であるといわれる
・読書は自己を高めると共に、読書は自己により高められるのである。
・出版物はふつう定価×発行部数の一割程度しか宣伝費をかけられない。
・出版相次ぐ「本の本」
・奥付なるものは、日本の中国文化圏の書物にしかなく、西欧の書物は刊年や発行者名が扉あるいは扉の裏に記されている。
・奥付のはじまるは刊記といって、本文のうしろに刊行年と刊行者の名を記したことからはじまる。(中略)これを法律で義務づけたのが、なんと江戸南町大岡越前守だった。彼は享保七年(一七二二)十二月、猥褻(わいせつ)本の取締りのため、「何書物によらず、これ以後、新板の物、作者ならびに板元の実名、奥書に致させ申すべく候事」という厳命をくだしたのである。
・出版法は、新聞紙法ともに、昭和二十年(一九四五)に廃止され、法律的には奥付を印刷する義務はなくなった
・書店に新刊書を探しに来る読者は、ふつう「著者名」「書名」「出版社名」の順で覚えてくる。つまり、著者名はわかるが、書名はあいまいで、出版社名となると、「さあ、どこだったかな」ということになる。
・私たちが書店に行く動機は、具体的に一冊ないし数冊の本を探しに行く場合と、“何かおもしろい本はないか、覗いてみよう”という場合の二通りある。
・新刊の九〇%は増刷されない。
・本を読む一つの意義は、視野をひろげるためである。
・一口に“本に関する本”といっても、その内容は読書論、書誌、出版論の三種に大別される。
・たとえば江戸時代の作家の稿料は、天保のはじめころ、合巻物の作家はおよそ五両(今日の三十五万円ぐらい)をもらっていたが、京伝や馬琴などの一流作家は文政のはじめ、すでに七両(四十九万円)ぐらいもらっており、のちには十五両(百五万円)ぐらいまでになっていたという。
・『明治出版史話』(ゆまに書房)という本が出た。幕末から大正にかけて書籍商、出版商として知られた三木佐助の自伝『玉淵業話』(一九〇二)の改題復刻である。
・何かが判らないから本を読む。判っていない人が読んで、それで、わかってくるから、「面白い」ということになる。
・映画に比べて形式的な奥付
・珍本の基準は?
①知悉度(特殊・専門・教養・一般)
②読者態度(保存閲覧・研究資料・読書・読み捨て)
③現存部数(極少・少・普通・多数)
④経過年数(十六年以上・十-十五年・六-九年・五円以下)
⑤古書店扱い頻度(極少・少・普通・多数)
●書籍「読書人の周辺」より
紀田 順一郎 著
実業之日本社 (1979年11月初版)
読書人の周辺 (1979年)
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