このページは、書籍『現代の出版業(青木 春雄 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・出版業の目的
企業としての出版の目的には、大別して二つの側面がある。その一つは、出版行為の本質からいって文化的寄与を果たそうとする目的であり、他の一つは、出版を企業として成立させるための営利目的である。
・日本における出版業の経営実態調査
・「主要国の出版流通事情」は、日本書籍出版協会の国際交流から得た情報を基にして、書協事務局と協力してまとめたものである。
・書籍の価格構成比の基準例(A)戦時下の価格査定
-------日本出版会制定(昭和18~20年)-------
直接生産費 35%
25% ---------- 用紙(表紙・見返し・扉・口絵・本文等)
製版(写真版・凸版・紙型・鋳込み等)
印刷(オフセット・活版・輪転等)
製本(工賃・材料・金版・外箱等)
装釘・挿絵
10% ---------- 印税・原稿料・翻訳料
間接生産費 65%
30% ---------- 企画費・編集費(交際・会合・資料費等)
経営諸費(広告宣伝費10%、人件費・売残品・交際費・会合費・
光熱費・支払利子・保険料・事務費・運搬費・管理費)
25% ---------- 販売手数料
10% ---------- 利益
注)戦時中、統制団体日本出版会が書籍の価格査定をおこない、パスしたものに許可価格の○許(※○の中に許可の“許”)、停止価格の○停((※○の中に停止の“停”)の承認マークが与えられた。当時のいわゆる公定価格○公(※○の中に公定の“公”)に相当した。この基準例はある部門の一例である。
・書籍の価格構成比の基準例(B)戦後の学習参考書
-------学習書協会作成(昭和36年)-------
間接生産費 58%
利益 ---------- 5%
販売手数料 ---- 26%
経費 ---------- 20%
宣伝費 --------- 7%
直接生産費 42%
印税 ---------- 7%
製造原価 ----- 35%
注1)この基準例は、書協の調査に応じて作成された学習参考書部門の一例である。
2)一般書との主な相違点は、印税10%、宣伝費10%が一般の基準である。この調査の後、販売マージンが昭和40年以来、通算して約4~5%ふえた。
・生産費と広告費とはほぼ三対一の比率である。要するに、出版経営にとって何よりも警戒しなければならないのは、出版部数の刷りすぎである。
・「(省略)近代的出版業の基礎づくりをした博文館の功績は大きい」(小林一博氏『大橋佐平翁伝』解説)
・丸善は、今日の株式会社組織で出発した明治期の唯一の出版社であるばかりか、『丸善外史』の著者木村毅は、「いいかえれば日本最初の近代的株式会社は丸善だったということになる。この歴史は特筆して伝えるに足るであろう」と評価している。
●書籍『現代の出版業』より
青木 春雄 著
日本エディタースクール出版部 (1975年10月初版)
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