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出版業は2通りあると言われています。“漁業説”と“農業説”です。2通りと説いたのが大宅壮一氏です。では、漁業説と農業説とは具体的に何なのか?書籍『実業と虚業(大宅 壮一 著)』より学んでみたいと思います。
-------- 書籍『実業と虚業 大宅壮一の本〈第6〉企業編(大宅 壮一 著)』より ----------
出版事業は、企業としてはきわめて特異なもので、これには“漁業説”と“農業説”との二通りある。
“漁業説”によれば、出版という仕事は、魚の大群のいるところをいちはやく発見し、これに網をうてば、たちまりベストセラーとなり、一挙に産をなすことができる。そのかわり、シケや不漁がつづくと、すぐ借金だらけとなり、破産するというふうで、すこぶる不安定であり、投機性の強いものである。
“農業説”によれば、出版は本来、地道なもの、地道でないと長つづきしないものだ。一定の土地をコツコツと耕して、わずかではあるが確実に収益をあげていくのがほんというである。反当り収穫というのは、年によって多少の農凶はあるが、いわゆる略奪経営をやると、翌年からは収穫がガタおちになる。「もうけすぐないよう、損しないよう」というのが、最上の出版経営である。
●書籍『実業と虚業 大宅壮一の本〈第6〉企業編』より
大宅 壮一 著
サンケイ新聞社出版局 (1966年12月発行)
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