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[ 出版社について ]

出版社の社名には大きく分けて4つある

出版社の社名には、大きく分けて4つあると言われています。


  1、 会社の理念やシンボルから社名をつけたケースや、
  2、 創設者の名前や出身地から社名をつけたケース、
  3、 発行物との関係するものから社名をつけたケース、
  4、 イメージ的、その他から社名をつけたケースです。


文化を担う出版社の名前には、その歴史や思い、気持ちが秘められていることが多いです。では、具体的にその4分類にはどんな出版社があるのか、書籍『本の情報事典(紀田 順一郎 監修)』より学んでみたいと思います。
 

----- 書籍『本の情報事典(紀田 順一郎 監修)』より ---------------------------


出版社の社名には大別して、①創立者の名前や出身地名、②主要刊行誌名との関連、③創業の理想を象徴、④ムード的なネーミングその他、の四種類がある。


①は岩波(茂雄)書店、河出(孝雄)書房、角川(源義)書店といった名前の場合と、首脳陣が長野県筑摩郡出身の筑摩書房、「みすずかる信濃」出身のみすず書房など郷土名の場合がある。


②は『新潮』社(前身は『親声』社)、『文藝春秋』社、『中央公論』社(前身は『反省会雑誌』の西本願寺、普通教校反省会)、『暮しの手帖』の暮しの手帖社、『主婦の友』の主婦の友社など。


③は小学生の学習と児童文化の向上をめざした小学館、大正八年の三・一独立運動にちなんだ三一書房、戦後の主権在民的自由をうたった自由国民社など。


また③の創業の理想が同時に②であるケースも多い。講談社は雄弁の士を待望する雑誌『雄弁』の大日本雄弁会で発足し、のち『講談倶楽部』を創刊して大日本雄弁会講談社となり、簡略して講談社となった。『実業之日本』(現在は『実業の日本』)社は福沢諭吉の実業精神を理想とし、『ダイヤモンド』社は小粒ながら稀少価値で光ることを念願し、オーム社はドイツの物理学者オームから雑誌『OHM』(同時に電気抵抗の実用単位)を創刊、それを社名とした。出版分野をそのまま社名にとり入れたものとして、医学書院、音楽之友社、近代映画社、出版ニュース社、電気書院などもある。


④も数多いが、平凡社は「平凡がいいですね」の妻の一言から創業者下中弥三郎がつけたもの。雑誌『平凡』を出したが、戦後、雑誌名は凡人社(現在はマガジンハウス)にゆずられた。『サザエさん』の姉妹社は、著者と発行社が姉妹。


国に国旗、家に家紋があるように、それぞれの出版社は出版にかける人々の思いや歴史が秘められた社章を持っている。


●書籍『本の情報事典』より
紀田 順一郎 監修
出版ニュース社 (1986年12月初版)
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※書籍『本の問答333選(出版ニュース社 著)』にも同じものが掲載あり
出版ニュース社 刊(1976年10月初版)
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