このページは、書籍『ただいまこの本品切れです(鈴木 廉也 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・その書店で働いている人たちの現実を、出版社の人間ですらよく分かっていないということに気づいたことが、そもそもこの本を書くきっかけになったのだ。
・荷物は通常、本誌と付録が同じ束の中に分けて梱包されてくる。まずこれらを全て箱から出し、どの本とどの付録が一体になるのかを確認し、なおかつそれぞれの部数をチェックしなければならない。
・特に幼年詩に多いのだが、付録が入ってなかったとか一部抜けていた、というクレームである。
・(※雑誌本体と付録を1セットにする作業について)現状のまま書店側がその労力を負担するのならば、付録付き雑誌の正味掛け率(いわゆる書店の仕入れ値)をそれなりに下げてしかるべきだとう意見も多い。
・教科書を販売することによって、その後の学参(学習参考書)販売が見込めるのも事実である。
・朝の品出しである。早朝、配達された段ボールの山を整理しなければならない。とりあえずやっつけてしまわなければならないのが、雑誌の類である。
・単行本だが、やはり一日平均9号箱(新書版で一二〇冊程度入る)で五~六箱入荷する。
・まず一月。もちろんお正月である。しかし、もちろん書店にお正月はない。通常、一日だけは休みという店は多いが、二日からほとんどの書店は営業しているはずだ。
・書店にとって一番恥ずかしいのは、今売れ筋の本が店頭にないということである。
・本の販売について語るとき、書評の存在なしに語れないだろう。逆に言えば、本に対して書評の与える影響がいかに大きいかということである。
・朝日新聞の日曜日の書評欄に書評が載ったとすると、それだけで売り上げが俄然変わってくる。
・大手新聞や週刊誌に紹介された書評の本は、その直後から確実に店頭で動き始めるのだ。
・スリップの果たす役割は大きく三つあり。一つは、書店から版元に本を注文するための注文票としての役割だ。そしてもう一つは、書店の在庫管理のために使う在庫管理票としての役割である。最後は、書店に対する売り上げ報奨金のためである。
・棚作りこそが書店側からお客さんにアピールできる唯一の手段であると言っても過言ではない。
・みなさんは書店の棚に差してある(いわゆる棚差し)と平台(たいてい棚の下にあって平積みの本がたくさん並べてあるところ)の本では、どちらが売り上げに占める割合が多いとお思いだろうか。普通に考えれば、新刊やベストセラーの並ぶ平台の方が圧倒的に売り上げが多いと思うところだ。ところがさにあらず、なんと平台3に対し棚7と、実は棚の売り上げの方が確実に多いのだ。こういったところにも棚の重要さが現れていることになる。
・関東の人は、案外棚はサァーと眺めるぐらいで、むしろ平台の方を好んで眺めることが多いようである。それに引き換え、関西人はジィーッと棚のはじからはじまでなめ回すように見ていくのだそうだ。
・昔から言われているロングセラーの一つに、カーネギーの『道は開ける』『人を動かす』(創元社)という本がある。毎年必ず四月から五月にかけての新年度に売れる本である。というのも、新しく社会に飛び出した新社会人がこぞって読む本なのだ。(中略)そのほかにも。ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』(早川書房)なんていうのもある。(中略)誕生日やクリスマスプレゼントに本を贈ろうとする人たちの、格好のターゲットになっているらしいのだ。
・ターミナル駅周辺の書店のお客さんは、主にサラリーマンやOL、そして専門的な本を探しにきている人々がほとんどだろう。かたや、ベットタウンにある郊外の店では、主婦や学生、それに子供たちが主な客層になっている。
●書籍『ただいまこの本品切れです』より
鈴木 廉也 著
ミオシン出版 (1998年11月初版)
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