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若桜木 虔 氏(書籍『プロ作家養成塾』より)

このページは、書籍『プロ作家養成塾(若桜木 虔 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・新人の原稿を読んでいて、しばしば出会うのが、回想シーンの多用である。これは拙い。


・守るべき鉄則を具体的に整理してみよう。

①主人公を決める。
   ↓
②主人公の目で見たこと、耳で聞いたこと、肌で感じたこと、心で思ったこと意外の内容を文中に書かない。
  ↓
③視点の固定。


・最も一般的なカギカッコ「」が登場人物の喋った台詞を意味しているのは、日本語表記における共通認識である。
にもかかわらず、いちいち「と言った」と書くのは、「馬から落馬」「赤い顔して赤面」の類である。


・ここで最大の注意点は、ジュニア物の読者は元気満々で、大人向けの読者は疲れ果てているということだ。


・息の長いプロの作家になろうと願うのであれば、やはり古典的であろうとオーソドックスな手法で書くのが無難である。


・小説を読むことによって脳の中で様々な想像が広がり、自分自身の世界が広がっていく。これこそが、小説の楽しみの真髄である。


・何か「日常的ではない行動」をしている場面から描き始めることが、初心者が面白い物語を創作できる秘訣である。


・ジュニア小説でのプロ・デビューを考えている人は次の点に留意してほしい。

①誰が喋っているのか明確にする。
台詞が連続すると、作者はわかっていても、読者には誰の台詞か判然としなくなり、ときには混同や誤解を起こす。
②どういう口調で喋ったのかを明確にする。
「!」「?」などの記号で口調を伝えるのは限界がある。怒鳴ったか囁いたのか、などを表現することで読者が容易に状況を把握できる。
③どういう表情で喋ったのかを明確にする。
特に「・・・・・・」のみで切り抜け、口調や表情を省いてしまうのはよくない。


・【現代小説を執筆する際の形式面での決まりごと】

①カッコ(「 」や『 』など)を閉じる直前のマルは打たない。
②台詞の後の行頭は行替えに準じ、空白一文字を入れる。
③文章の余韻を表現するための点々は「・・・・・・」(二マスに中黒が六個)。
④「?」や「!」の後は一文字分の空白を入れる。ただし、その後すぐのカッコを閉じる場合は、入れない。
⑤段落の冒頭に、空白一文字を入れる。
⑥「 」や『 』〝〟など、どんな種類であれ、カッコで始まる段落は行頭に空白一文字を入れない。
⑦本の題名は『 』で括る。


・体験できない比喩は、イメージがわきにくいので、もっと一般的な言葉に置き換えてもいいと思う。


・読者を怖がらせようと考えたら、日常生活の中でありそうでいて、実は絶対に目撃することがないシーンを持ってこなければならない。


・原稿の長さと物語で取り上げる期間については、左記のような目安がある。

<枚数>          <日数>       <登場人物>

五十枚まで       二日以内       三人以内
五十枚~百枚     一週間以内      四人以内
百枚~二百枚     一ヶ月以内      五人以内
二百枚~三百枚    半年以内       六人以内
三百枚~五百枚    一年以内       八人以内
五百枚~千枚     五年以内       十人以内


・歴史小説は、克明に忠実を追う描き方に主眼を置く。
正確さ堅持のためには、多少は物語展開が退屈になっても致し方ないという考え方で書く作品である。


・いわゆる歴史小説は、嘘はまったく許されないという考えておかなければならない。


・長剣を背負う場合には、柄は左肩に来なければ抜けないのである。


・時代物全般の考証については『歴史考証事典』『時代考証事典』(新人物往来社)などにも、細かい記述を見つけることができる。


・既存作家の誰かに酷使した文章、作品を書いたら、デビューすることは不可能だと思った方がよい。


・日本人には、なかなか外国人の名前は頭に入ってこないもので、プロ作家の作品でも容易にヒットしないことが常識になっている。


・どんなジャンルであれ、読者は一般的にある特定の作家を好きになったら、とことんその作家の作品を読みまくる傾向がある。


・応募作品の場合には、選考委員に「これは、○○○を下敷きに書いたな」と感じさせたら、即座に大減点の対象となる。


・出版社や編集者は、応募要綱も守れず、自社の出版物のターゲットやカラーから大きく外れた作品をよこすような作家を欲しいとは思わない。


・インターネットで新人賞を研究しているサイトなどで、一覧表を作っているものもあるから、参考にしてみるのもよいだろう。


・新人賞の傾向と賞を見分けるポイント

①エンターテイメント系か純文学系か?
境界は曖昧だが、それでも傾向はある。受賞作を一読すれば、だいたいわかる。
②大人向けかジュニア向けか?
一口に大人向けと言っても、文体や内容の難易度も違う。
ジュニア向けでも、ターゲットの年代や、作品のテーマは細かく分かれている。
③ジャンルは何か?
賞の名称や応募要綱だけでは、詳細なジャンルの判別は難しい。受賞作で研究すること。
④内容の難易度や、題材は何が好ましいか?
斬新な内容であることは必須だが、賞ごとの傾向もある。
ミステリーではトリックの重要度、歴史物ではフィクションの度合いなどにも違いがある。
⑤地方賞か出版社主催か?
地方自治体などが主催する賞は、作家デビューには直結しないと考えたほうがよい。
⑥選考委員は誰か?
選考委員の得意ジャンルにも注意すること。得意ジャンルには特に点が辛くなる傾向がある。
⑦応募作品数
ビック・タイトルほど応募数は少ないが、実力が無ければ倍率も関係ない。応募数が少なくて競争率が低くても、該当作なしになる可能性もある。


・新人賞を受賞する正道は、魅力的なキャラクターを創造し、目新しい切り口を持った作品で挑む以外にない。


・新人賞に求められる要素を私なりにまとめてみた。

①斬新さ
②話のスケール
③既存作家にない着眼点、情報
④読者に感動を与える内容
⑤魅力的な人物が創造できているか、描けているか?
⑥冒頭から読者の興味を引き付け、スピーディな展開で読ませる。
⑦起承転結の起状がある。
⑧情景描写、心理描写に過不足がない。
⑨わかりやすい文体、構成で書けている(誤字、脱字などはそれ以前の問題)。


・筆客商売
※参考:http://sakka-gr.hp.infoseek.co.jp/

●書籍『プロ作家養成塾~小説の書き方すべて教えます』より
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