このページは、書籍『素人でもできる出版社のつくり方(嘉藤 慎哉 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・その出版社の広告部員がぜひこの雑誌に広告を出してくれと企業に対してお願いして回ることになる。(このことを広告営業と呼ぶ。ちなみに書店に対して自社の出版物を取次店に注文して仕入れてくれるようにお願いして回ることを書店営業といい、ふつう出版社で《営業》というときににはこの二つを指す。さらに大手の出版社になると宣伝と取次店との仕入れ交渉を専門に扱うそれぞれの営業部門が存在することになる。)
・出版社がもつ魅力はむしろ次の諸点にあるものと思う。
一、小資本で始められる。
二、小さな会社にも大きなチャンスがある。
三、社会的な信用が得やすい
四、求人に困らない。
五、誇りを持って取り組める事業である(ポルノ等の出版が別だが)。
・出版社には多額の資金も、事務所も、設備投資もセールスマンもいらない。しかし考える力=企画力だけは、必須の条件なのである
・悠々会というのは書店のなかの団体
・ちなみに書店には七掛けで入れたとのこと(取次ルートだろふつう書店に雑誌は八掛けで入る)。
・では、どのような出版社が『星雲社』と契約を結べるのだろうか?社長の平野明久氏は次のように語る。
「条件は二つあります。第一点は、最低年間に二~三冊の書籍は出版できるだけの機能をもっているかどうかということ。第二点は、社会を混乱に陥れるようなものでないこと、抽象的ですがそういうことです。」(中略)
それでは、もし『星雲社』と契約を結んだ場合、どのようなことをしてもらえるのか、『星雲社』の機能というべきものをみていこう。
第一に、取次店に対する折衝を引き受けてくれる。(中略)
第二に、書店からの注文に対する各取次店への出荷を代行してくれる。
第三に、書店から取次店を経由して戻ってくる返本の管理をしてくれる。これは『美光社』という出版サービスの専門会社と提携して行われ、返本の再生研磨(汚れ傷んだ返本をグラインダーで磨いて新品同様にすること)。カバー掛け替え、帯取り替えなどの作業も加えられる。
第四に、各取次店、書店向けの販売促進活動も代行してもらえる。
さらに、情報誌や図書目録の発行、編集業務の代行、印刷、製本業者の凱旋なども行われ、最後に最も重大な、売上代金の回収と支払送金が行われる。(中略)
手数料はどのくらい見込んでおけばいいのだろうか?平野明久氏によると、一律に何パーセントと決まられているわけではなくて、出版物の定価や部数、実力によっても異なるそうだが、およそ四~六パーセントだそうだ。
・ご一読しておわかりのように、出版者(社)にとって非常に有利な内容となっている。(※日本書籍出版協会の「出版契約書」のこと
・二、三年前に小田原の伊勢治書店が年間の書籍の売上げスリップ五一三社九四一六枚を整理したデータを発表したことがあった。上位一〇社四三・〇%、二〇社五三・六%、五〇社七一・二%、一〇〇社八三・一%の占有率で、二〇〇社だけの本を扱っていれば九三%の売上げをキープできるということであった。
(西武百貨店書籍事業部部長小川道明氏論文より)
※参考:伊勢治書店の創業は、延宝8年(1680年)。神奈川県小田原市を中心に営業している。
伊勢治書店のウェブサイトはこちらから
●書籍『素人でもできる出版社のつくり方』より
嘉藤 慎哉 著
あいであ・らいふ (1984年1月初版)
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