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装幀家、恩地孝四郎氏の「装幀に対する5ヵ条」

いつの時代もプロには仕事に対する姿勢を持っているものです。装幀家で有名な恩地孝四郎氏の、装幀に対する5ヵ条を書籍『本が生まれるまで』(小尾 俊人 著)よりご紹介したいと思います。
 

-------- 書籍『本が生まれるまで』(小尾 俊人 著) -----------------


装幀家、恩地孝四郎氏が自戒としてあげられた五ヵ条がある。


(一) 装本は何よりも内容と合致すべきだ。
(二) 何よりも質実であるべきだ。豪華や※飄逸(ひょういつ)や※諧謔(かいぎゃく)のうちにも、それはあるはずである。衒(てら)わざることが何よりも好ましい。
(三) 過飾を戒心すべきだ。過飾を課せられた場合は、過飾のなかに素朴を盛るの心を必要とする。
(四) (1)材料を無理な用い方をせぬこと。
   (2)工程の自然な遂行を期すること。
   (3)工人の技の程度に立つこと。
   (但しこのいずれも、殊に(3)を余り容易に承認する時は、技術の低下を来たす)
(五) 視覚の外、触覚、重覚、嗅覚、その他の感覚をも加えるべきである。時には聴覚も。

(『書窓』七号、昭和一〇.一〇)


※飄逸(ひょういつ)とは、世俗のわずらわしさを気にしないでのびのびしていること。また、そのさま。http://kotobank.jp/より

※諧謔(かいぎゃく)とは、こっけいみのある気のきいた言葉。しゃれや冗談。ユーモア。http://kotobank.jp/より


●書籍『本が生まれるまで』より
小尾 俊人 著
築地書館 (1994年8月初版)
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