FaxDMトップ > 会社案内 > 成功者の知恵 > 若桜木 虔 氏(書籍『稼ぐ作家になるための裏技Q&A174』より)

若桜木 虔 氏(書籍『稼ぐ作家になるための裏技Q&A174』より)

このページは、書籍『稼ぐ作家になるための裏技Q&A174(若桜木 虔 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・Q4
単行本の原稿料はどのように計算されるのですか?

A(中略)
単行本の場合、部数×規定の印税率になりますが、一割とは限りません。新人なら、一割に満たない版元が大半でしし、逆に売れっ子だと、十二%、十三%という場合もあります。


・Q5
雑誌の原稿料はどのようになっていますか?

A(中略)
小説誌の売れ行きが悪いので、小説誌の原稿料は概して安く、企業のPR誌の随筆などは驚くほど高額です。

・Q16
作家デビューするのは難しいのでしょうか?

A(中略)
十二球団を合計して二百四十人。まあ、作家で生計が維持できて飯を食っている人間は、最大に見積もって、その程度の人数です。

・『公募ガイド』などを見ると、ビック・タイトルから地方の小さな文学賞まで、年間およそ五百くらいの文学新人賞が存在します。


・プロ作家を志すのであれば、地方の文学賞を狙うのは、ほとんど無意味です。(中略)狙いは、東京の出版社が主催する賞に絞ることで、それも長編に限ります。短編賞では、受賞しても単独に本にできないために、やはり依頼が入らず、結局は長編を狙い直すことになりますから。


・面接も原稿も、第一印象が重要。原稿の第一印象は、もちろん原稿の一枚目だ!


・Q48
デビューするのにお勧めの新人賞、出版社を教えてください。

A
権威のある賞なら、ほぼ大丈夫。
ただ、作家として生き延びるには受賞しただけではダメ。


・Q51
「エンターティメント」という言葉の定義は?

A
エンターティメントと純文学には明確な区別はない。強いて言えば、掲載される雑誌で判別される。


・通常、編集部はボツの場合には、連絡せずに放置してしまうものなので、これも“業界の常識”として心得ていないとヒドい目に遭います。


・企画書に決まったフォーマットはないが、ざっと目を通しただけでも“面白い”と感じさせる文面に!


・Q72
出版後の有効な営業活動とは?

A
新しい版元開拓をすることが、最善。新規の依頼は、足で稼げ!自分で、できる限りのことはやるべし!

(中略)

私の場合は、発売当日と、数日おいての二回、市内の書店に片っ端から電話をかけて、「○○○○○の『書籍名』という本は、ありますか?」と聞きました。店員さんの頭の中にタイトル、著者名をインプットしてもらうためです。


・「売れている」ことは言っても良いが「売れていない」ことは絶対に言ったらダメです。どこの社でも、“売れている作家”が欲しいのですから。


・Q77
打ち合わせに呼ばれる時、手土産は必要?

A(中略)
手土産は逆効果です。潔癖な編集者は「作品に自信ないので、賄賂だろう」と見なします。


・Q83
自分の体験を元に、主人公の成長を描きたいのですが。

A(中略)
初心者の鉄則を書いておきます。
それは、「変化を書いてはダメ」ということです。
(一)主人公が徐々に精神的に成長していく。
(二)主人公の政治信条・思想が変わっていく。
(三)例えば主人公が恋人や周囲の人間影響で改心する。
こういったことです。
(中略)

「実体験だと面白いけど、小説(や漫画など)になるとつまらない」という話は、世間には沢山転がっています。


・主人公は必ずどこかで危機的状況に陥ったほうが良い。そのピンチは、絶対にワンパターンにならないこと。このピンチを、どれだけバラエティに富ませられるかが作家としての腕の見せどころでしょう。


・時事ネタの後追いは絶対にダメ!一部に使用したでけでも、賞狙いには圧倒的に不利に!


・自分で面白いと思ったことをどんどんメモしていき、自分を分析してみるのが大事です。


・Q101
文章の区切りは何か法則がありますか?

A
一般的な好みはないが、ある程度の目安も存在する。考えもなく闇雲に区切ればいいというものでもない。(中略)

章・節の区切り、一行空けに関する基準も、絶対的な者は存在しませんが、目安としては以下のようです。

(一)章の区切り……時間もしくは場所が変わった場合。

(二)節の区切り……時間もしくは場所が、小さいながらも変わった場合。例えば、時間的に連続していても、主人公のいる部屋が変わったりした場合。
主人公が同じ場所にいても、かなり時間が経過し、その経過中に大した出来事が起きず、全部を描写したら退屈してしまう場合。
時間と場所は同じなのに、主人公が別人に交代した場合。
尚、これを一行空けで表現する書き手も多いです。

(三)一行空け……他人の文章・詩・手紙などを引用する場合、前後を空白で挟む。
これが最も一般的な手法で、私は罫線で囲むことも、よくやります。そのほうが読みやすいのので。


・多く人の受け入れられる小説を書くことが、作家としての企業努力。読者あっての作家であることを忘れてはならない。


・行替えは文字の詰まり具合は、本の形態や編集者の好みで決まる。但し、ページによってバラツキがあるようでは困る。


・(渡辺真澄)現在小説では、視点は統一しなくてはならない、ということになっています。ですが、頻繁に視点移動が行われる小説ジャンルが一つだけ存在します。それはポルノ小説です。


・Q113
どうしたら恐怖の感覚を伝えられるか、ご指導を。

A
恐怖の映像や皮膚感覚を全て文字に変換しているか?受け手の白紙の状態に何を書き込んでいくかが重要。


・新人章応募の際の注意点を具体的に纏め(まとめ)ますので、参考にして下さい。

(一)できるだけ主語を省かない(予選委員は飛ばし読みするので、主語を省略すると文意が把握し難くなる場合が起きる)。

(二)人間以外のものを主語にする文章は、可能な限り書かないようにする。そういう文章は、推敲時に人間主語の文章に書き換えられないかチェックする(理由は同じ)。

(三)「そして」「しかし」「だが」「それから」「とにかく」「ところで」などの接続詞の多様をチェック。接続詞が多ければ多いほど、水増しの印象が強い悪文になる。読み返して、削っても文意が通じる場合には、全て削除する。

(四)文中の「という」「ということ」「その」などもチェック。これも、削っても文意が通じる場合は全て削除する。

(五)一つの文章の中に、動詞の数が多すぎないこと。一文に五つ以上の動詞が含まれていると、リズムも悪くなり、難解になる。


・小説は文字のみで全ての情報を伝えなければならない制約がある。男言葉を使う女性を書く場合には、それなりのテクが必要。

(中略)

甘い声、ハスキー・ボイスか、といった声質の特徴以外にも、大声か、囁き声か、嬉しそうな声か、半泣き声か、などの喋り方に伴う感情表現を克明に描くように心しなければなりません。


・Q118
作品中に特定の地名を出してもいいのでしょうか?

A
地名を出すことで、臨場感を出せる。多少の嘘は可能。地方なら、方言を使ってより地域性を演出も。


・文章力をつけるのに最も手っ取り早い方法は、実績のある作家の文章を丸写しする“写経”です。


・私の考える悪文の条件は、以下のようなものです。

(一)会話のカッコに続いて「と言った」という文章を乱発している。
カッコがあれば人物が台詞を言ったことは明白なので「と言った」は、“馬から落馬”になる。
怒鳴った、呟いた、囁いた、叫んだ……など、口調まで工夫しているか。

(二)やたらと擬音・擬声語・擬態語が用いられていないか。擬音・擬声語・擬態語を用いれば表現は簡単に、文体は軽薄になる。

(三)やたらと「……」だけの無言の台詞はないか。
人物が黙るのには理由が存在する。喜怒哀楽の感情が激しくなれば、人間は言葉を出せずに黙り込むことがある。
「……」を多用する作家は、そういう感情の揺れ動きを表現する能力が欠如していると考えられる。

(四)やたらと空白行を用いていないか。
空白行は通常、そこで時間が経過したり、大きく雰囲気が変化した場合に用いられている。が、これは文章作法としては卑怯で、時間経過や雰囲気の変化もまた文章で表現できなければならない。
空白行を多用する作家は、その表現能力が未熟だということです。


・プロ作家を目指しているのなら、感想は編集者に求めるべきです。一面識もないプロに一方的に原稿を送り付け、忙しい執筆時間を割いて読んで感想を返してくれと願うのは、失礼ではないでしょうか。
何の見返りもなく、相手の“時間”や相手からの“情報”を引き出そうとする行為は、潔くないと思います。


・Q158
一作品を書くために何冊くらいの資料を使いますか?

A
時代ごとによって違うが、とにかく資料の数は膨大。一冊・二冊……と数えられるものではない。(中略)

しかし、いずれの時代を選ぶにせよ、まず幅九十センチ、高さ百八十センチの本箱にぎっしり二つ分くらいは資料がなければ、話にならないでしょう。亡くなられた松本清張さんや司馬遼太郎さんは、トラックに何台分も資料を購入しておられました。(中略)さらに、アイデアのバッティングを回避するために、他の作家の作品も目を通す必要があります。何冊というレベルで考えていたのでは、とうてい時代・歴史小説は書けません。


・売れ筋の歴史物の舞台は、戦国・江戸・幕末の三時代です。


●書籍『稼ぐ作家になるための裏技Q&A174』より
若桜木 虔 著
筆客商売 著
文芸社 (2002年12月初版)
※amazonで詳細を見る