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経済産業省は、2002年5月に「出版産業に関する商慣行改善調査研究報告書」といった51枚のレポートを出版関係者のごく一部に配布しました。その数は80部と言われています。
※そのレポートを見たい方はこの記事の一番下に紹介しています。
そのときの一人が、経済産業省商務情報政策局、情報経済課 課長補佐 境 真良氏です。その境 真良氏が、今後、コンテンツ産業において取り込もうと思っている課題を記載している書籍があります。書籍『デジタルコンテンツをめぐる現状報告』(ポット出版 刊)です。ご紹介したいと思います。
沢辺 … コンテンツ産業について、経産省が今後取り込もうと思っている課題はありますか?
経済産業省 境真良氏 …
まず一つめは新市場の開拓。これは日本国内だけでなく、インターネットや海外にもどんどん売っていくということです。そしてもう一つは、メディア産業とコンテンツ産業との関係性の整理です。これはコンテンツ課が立ち上がって以来ずっと抱えている課題でもありますが、要は「コンテンツを制作する人と、コンテンツを流通させる人、それぞれが得られる利益のバランスが取れていない状態」を是正することです。
たとえば本の場合、著者印税はだいたい10%ですが、それだけで暮らしていくには、そうとう本が売れなければ難しい。実際、印税だけでは食っていけず、困っている著者はたくさんいます。でも、その本を出している大手出版社の社員は、年収1,000万とか平気でもらっているわけです。これはいったいどういうことか?と。(中略)
本当に儲かるべきはコンテンツを作っている人、つまり実際に絵を描いたり文字を書いたりしている人であるべきなのに、実際はそうなっていない。今までは、流通させる側の環境が安楽に作られすぎていて、コンテンツ制作者に渡る利益が少なすぎたと思うんです。コンテンツ課ではこの問題を解決するために、流通事業者の間に競争を起こすべきだと考えています。(中略)要は「作る人にもっときちんと利益を還元したい」ということです。※経済産業省 境真良氏
●書籍『デジタルコンテンツをめぐる現状報告』より
出版コンテンツ研究会 著、岩本 敏 著、小林 弘人 著、佐々木 隆一 著、加茂 竜一 著、境 真良 著、柳 与志夫 著、
ポット出版 (2009年7月初版)
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※経産省文化情報関連産業課とは ……
経済産業省内の一部署。日本のコンテンツの国際取引の増加、海賊版対策強化など、日本のメディア・コンテンツ産業を活性化させることを目的としている。
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※経済産業省の「出版産業に関する商慣行改善調査研究報告書」を見るのはこちら↓
経済産業省のウェブサイト経由でPDFが開きます
※さらに、詳しく見たい方は以下の書籍もあります。レポートと書籍の大きな違いは、4名の対談が載っていることです。
書籍『出版ルネサンス』より
佐野 真一 著、四元 正弘 著、田中 秀幸 著、境 真良 著、
長崎出版 (2003年6月初版)
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