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この調査はインターネットで楽天ブックスが実施した電子書籍調査の一部分として読者(3,000人)が何を基準にして出版物を購入するか購買行動のアンケート結果である。
順位 |
事項 |
% |
1位 |
好きな著者の作品だから |
56.3 % |
2位 |
タイトルに興味があったから |
54.8 % |
3位 |
立ち読みなどで書籍の中身を確認して |
49.4 % |
4位 |
新聞・雑誌の書評を見て |
36.8 % |
5位 |
新聞・雑誌の広告を見て |
28.8 % |
6位 |
店頭でのポップや書店員のコメントを見て |
17.0 % |
7位 |
書籍のパッケージ・デザインに惹かれて |
15.1 %
|
8位 |
上司・知人・友人からの意見 |
14.9 % |
9位 |
コミュニティサイトでの意見 |
8.6 % |
10位 |
レコメンド機能などで提供される内容を見て |
3.9 % |
1、商品購入の判断の一番のポイントはタイトル。ネット書店における商品の選択もタイトル・棚に陳列するかどうか書店のプロの判断もタイトルが重要となるが、読者が棚から手に取る最大のポイントもタイトルであると思われる。
2、衝動買いの読者の判断は商品の中身を見て更に著者の略歴も確認する場合もある。特に専門書にその傾向が強い。
3、新聞・雑誌の書評・広告は昔から読者の判断の基本でもある。但し書籍によって広告掲載先の選別も重要で、見当違いのメディアに書評・広告を載せても効果はない。
4、平積み商品はデザイン・パッケージとタイトルが重要で人目につかないと無視される。
5、インターネットでの口コミ(ブログ・SNS・ツイッター等)は商品によって好き嫌いがでてくる。関係者が期待するほど効果は無いことが分かった。過去に流行したアフェリエイトも商品によってはそれほどの効果は無かったのである。
以上読者側が書籍を購入する判断基準であるが、一方で出版流通側からすれば著者・編集者の志がどうであれ、読者がその本をどう解釈しようと取次と書店にとっては売れるか売れないかが最大の問題であり、それは他の産業と何ら変わりは無く、コンテンツを紙にパッケージしただけの商品であることの認識が気薄化しているように見える。
特に、書店においては店舗の家賃を始めとする固定費が営業経費の主力を占める為、売上が落ちれば家賃比率が高くなり収益が悪化しバランスシートが悪くなる。不特定多数の読者を相手に販売をしているので当然商品の回転率を重視せざるを得ない。出版文化の志の高い商品もあるがそれが年2回転しかしないのであれば、その商品は書店にとって不幸な商品であると言える。
出版流通には良書も悪書も無く回転率の良い商品が全て良書である。読者を見ないで書店ばかり見ているから売れると思われる本を創ろうとして『読者が欲しい本を創っていない』から売れないのである。
寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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