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[ 書店売上ランキング ]

年商100億円以上の書店売上ランキング (寄稿 :冬狐洞 隆也 氏)

日経MJ(流通新聞)と商業界が2010年に発表した年商100億円以上の書店売上ランキングをご紹介したい。
 

順位
企業名
決算月
売上高
(百万円)
伸率
経常
利益
(百万円)
店舗数
1
紀伊国屋書店
8月
114,509
▲4.4
634
63
2
丸善
1月
88,975
▲7.2
▲538
44
3
ワンダーコーポレーション
2月
63,263
▲3.0
1,298
119
4
有隣堂
8月
53,754
▲1.7
363
43
5
ジュンク堂書店
1月
44,666
5.9
▲603
38
6
ブックオフコーポレーション
3月
44,463
0.3
2,488
917
7
文教堂
8月
44,132
▲13.9
▲228
186
8
くまざわ書店
9月
42,429
▲2.0
-
193
9
未来屋書店
2月
41,088
12.0
1,054
172
10
フタバ図書
3月
39,685
13.0
648
71
11
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション
5月
32,075
19.4
3,200
312
12
三省堂書店
8月
28,623
0.3
92
35
13
トップカルチァー
10月
28,508
0.0
778
62
14
三洋堂書店
3月
27,975
▲1.8
508
88
15
リブロ
2月
25,700
15.3
-
85
16
精文館書店
6月
18,883
1.2
414
48
17
明屋書店
6月
16,926
▲6.2
-
89
18
文真堂書店
6月
15,910
▲5.6
-
51
19
あおい書店
8月
14,770
▲5.8
-
45
20
キクヤ図書販売
6月
14,443
5.1
-
31
21
オーエンタテイメント
2月
14,143
▲3.1
519
43
22
すばる
2月
12,717
-
244
32
23
ブックエース
3月
12,608
▲9.7
-
31
24
京王書籍販
3月
11,758
▲5.6
76
37
25
積文館書店
2月
10,688
38.9
47
32
※日経MJ・商業界より


書店の売上げは、成長する都市・止まる都市・衰退する都市が鮮明


この他に年商100億円以上の企業は多数あるが粗利益率から考えると最終利益で儲かっている企業はそんなに多くは無い。殆んど複合書店と化し、出版物の粗利益率の不足から他商品の扱いを拡大し、結果的に出版物の扱いシェアを収縮させている。これから各書店の決算報告が出てくるが、今年も売上・経常利益ともマイナスが続くと予想する。


最大の原因が消費人口不足と少子化で、特に子どもの人口が少なくなる地方圏の都市は書店の成長が厳しくなると予想する。出版物都市別データを東京23特別区・政令指定都市と212都市の書店を調べると成長する都市・止まる都市・衰退する都市が鮮明となりそれが書店の売上と連動していることが分かる。


全ての小売業が1996年をピークに連続マイナス(新規店を除く)になり、当分回復は難しいし、現実の経済は悪循環の方向に向かっている。経済を動かしているのは、景気の波ではなく人口の波であり、生産年齢人口(消費人口)=現役世代の数の増減である。現役世代が退職すれば当然個人所得額が減額し、市町村別課税対象所得額の減額が続き家計消費支出は11年連続マイナスになっている。これでは出版物を購入するだけの余裕は全く無い。現役世代の回復には30年以上は掛かることを覚悟しなければならない。


底なし沼に入り成長が止まっている出版業界も同様、具体的にどういう症状に対してどういう対策が効果を発揮するのか現状分析の段階から新聞紙上や発言ではあやふやな意見が多く、いわばお坊さんのお経に過ぎない。出版社が4000社近くある中で全てに対応は出来ないが『基本は多品種・少量販売』であると考える。企画の厳選ではなくベルトコンベアーに流されている出版企画では出版しても売れないと見たほうが早い。


寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏