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出版流通別の販売額と伸び率 ※取次経由 (寄稿:冬狐洞隆也氏)

本を読者に届けるための出版流通ルートは、取次経由で7ルートあると言われています。1つめに書店ルート、2つめにCVSルート、3つめに駅売店ルート、4つめつめにインターネットルート、5にスタンド販売ルート、6つめに生協ルート、7つめに輸出ルートです。


中でも、大きく伸びている出版流通ルートがあります。インターネットです。各流通別の売上金額と前年比、構成比を冬狐洞隆也氏のまとめたものをご紹介したいと思います。
 

 
販売ルート
2008年の
販売額
(百万円)
前年比
2009年の
販売額
(百万円)
前年比
構成比
書店ルート
1,384,889
▲0.7
1,355,797
▲2.1
68.05 %
CVSルート
356,103
▲9.9
313,305
▲12.02
15.73 %
駅売店ルート
121,876
▲30.6
101,816
▲16.46
5.11 %
ネット書店ルート
83,400
-
93,500
12.11
4.69 %
スタンド販売ルート
78,716
-
74,200
▲5.74
3.72 %
生協ルート
42,574
▲13.3
41,725
▲1.99
2.09 %
輸出ルート
14,778
▲4.6
12,151
▲17.78
0.61 %
合計
2,082,336
▲2.0
1,992,494
▲4.31
100.0 %
※日販経営相談センター調べ 07年より全ルートの算出方法を変更した。

 

1)取次ルートの集計であり非取次ルートは算出されていない。取次ルート全体では12年連続して販売額の減少が続いている。


2)書店ルートは地方都市圏を中心に販売額の減額が続くが2013年以降から6大都市圏の書店の販売額にも影響が出て来る。2005年の国勢調査以降人口動態の急激な変化で各販売ルートの販売額が変化しているのは否定できない。


3)CVSルートは少子化の影響と民間給与の減額で売上の回復は当分見込めない。


4)ネット書店ルートはネット専業大手3社を含めて今後も拡大が続く。2009年の販売額は過小評価である。読者が何処で出版物を購入するかは中古本ルートを含めて選択する機会が増えてきた。


5)駅売店ルートは団塊世代の大量退職と生産年齢人口減少で売上の回復は見込めない。


6)生協ルートは現状維持だが大学生協調査で学生の年間図書購入費が減額続いている状況を考えれば売上の増加は見込めない。


7)スタンド販売ルートは下り坂販売ルートと言われているように今後も大きな期待は持てない。


8)輸出ルートは日本語のパッケージそのものの輸出ではなくコンテンツの2次3次利用の輸出が増加する可能性が出てきた。


9)その他非取次ルートは出版社が考えるだけで15ルートはあるが、自らがリスクを採りながら新しい読者開拓をしていく重要性は更に増して行くと確信する。それには出版社に欠けているマーケティングに基づいた生産性の向上と効率化・ローコストコントロールを実現する必要がある。


寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏