このページは、書籍『子どもが本好きになる七つの法則(有元 秀文 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・日本の子どもたちの「読解力」は国際的に低い(中略)
2000年に初めて日本がOECD(経済協力開発)が主催するPISA(ピザ)という国際調査に参加してみると、高校1年生では、数学や理科は相変わらず世界のトップでしたが、読解力は8位でした。
※参考:PISAとは、Programme for International Student As essmentの略語
※参考:文部科学省のサイト内にある「OECD生徒の学習到達度調査~2006年調査国際結果の要約」のPDFファイルにリンク
・2000年に「毎日、趣味として読書をどのくらいしますか?」という問いに「まったくしない」と答えた子どもが半分以上いて、参加国の中で最も多かったのです。
※上記国際調査
・フィンランドの子どもたちが、読解力で高得点をとる理由に、次のようなことがあげられます。
①子どもたちがたくさん本を読み、読書することへの意欲が非常に高い。
②本や新聞などを読んで、読んだことについて討論する討論学習が盛んに行われている。つまり、日本と反対のことをやっているのです。では、日本もフィンランドと同じことをやれば、必ず読解力世界一になることはできるのでしょうか。ことは、そう簡単に運びません。
■日本がフィンランドになれない四つの理由(中略)
①親が本を読まない(中略)
②教師が本を読まない(中略)
③親が子どもに意見を言わせない(中略)
④教師が子どもに意見も言わせない
・フィンランドを抜いて読解力世界一になった韓国の事情
OECDの読解力テストで、韓国の得点は2000年が6位でほぼ日本と同じでした。ところが、2003年には2位に躍進しています。そして2006年には堂々1位になってしまいます。(中略)その理由は次の三つと思われます。
①10年前に思い切って教育を改革して、アメリカ型の教育を取り入れ作文とディベート(討論)を重視するようにした。
②大学入試問題に自由記述問題がふえ、その結果、中学高校のテストにも自由記述問題が増えた。
③受験戦争が非常に激しい。
・本を読んでいると、読解力がつく以外にどんないいことが身につくのでしょうか。ざっとあげるだけでも、18の項目が考えられます。
①集中力が育つ(中略)
②記憶力が育つ(中略)
③考える力が育つ(中略)
④他人の気持ちがわかるようになる(中略)
⑤他人の迷惑がわかる人間に育つ(中略)
⑥自己中心にならない(中略)
⑦想像力が育つ(中略)
⑧他人の考えが理解できる(中略)
⑨井の中の蛙から抜け出られる(中略)
⑩成功への近道がわかる(中略)
⑪語彙力が育つ(中略)
⑫まともな文章が書ける(中略)
⑬学ぶことに対する意欲がわいてくる(中略)
⑭芸術的な感性が育つ(中略)
⑮道徳観が育つ(中略)
⑯欲望に歯止めがかかる(中略)
⑰困難な課題を解決できる(中略)
⑱一流の人間になれる
・芥川龍之介の『羅生門』を読んで、この終わり方でよかったかどうかを考えさせるような読み方をクリスティカル・リーディング(直訳だと批評的読書とでもなるでしょうか)といいます。欧米人は、クリスティカル・リーディングをとても重要視します。なぜ重視するとかいうと、ほんとうに価値があるかどうかを確かめることによって、本のほんとうのおもしろさがわかってくるからです。
・子どもが本好きになる七つの法則
法則1・・・親が本好きなら、必ず子どもも本好きになる。
法則2・・・読み聞かせをするほど、読書好きな子が育つ。
法則3・・・親が、おもしろい本をどんどんすすめれば、必ず子どもも本好きになる。
法則4・・・本屋や図書館に子どもと行けば行くほど、読書好きな子が育つ。
法則5・・・好きな本ばかり読み続けていれば、どんどん本好きになる。
法則6・・・同じ本を読んで親子で話し合えば、ますます読書能力が高まる。
法則7・・・ニュースや毎日のできごとについて親子で話し合うほど、読書力が高まる。
・本を選ぶ基準は、次の条件を満たしていることです。
①文章がわかりやすく、主語がはっきり書いてある。
②お話のすじがわかりやすく、だれにでもよくわかる。
③読んだ後に考えさせられたり、心に残るところがある。
④子どもが聞いていて、わからないことろがほとんどない。
⑤子どもが聞いていて興味を感じ、もう一回読んでほしいと思う。
⑥挿し絵が、大人が見ても美しく感じがよく、子どもが見ても興味をひかれる。
・本が好きな子どもを育てるには、子どもが好きな本を見つけてあげることです。
・スペイン生まれの、魔法の読書教育。それがアニマシオン。(中略)基本的なやり方は、子どもたちが同じ本を読んだ後に、その本についてのクイズやゲームをするというものです。そうやって遊んでいるうちに、知らず知らずのうちに本に親しむようになり、いつのまにか本好きな子どもに育っていくのです。(中略)
間違え読みのアニマシオン
一度、絵本を読み聞かせします。次に、絵本の文字が書いてあるところを子どもに見せないようにして、
「もう一度読むからね。読み違えたら教えてね」
と言い、ところどころの単語をわざと少しづつ間違って読んでみます。
たとえば、「笑いました」を「泣きました」のように間違って読んでみます。
・このアニマシオンは、読書に対する集中力を高めてくれます。そして、何より子どもが自然の形で、楽しみながら本に興味を感じてくれるのです。
●書籍『子どもが本好きになる七つの法則』より
有元 秀文 著
主婦の友社 (2008年11月初版)
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