このページは、書籍『古本通(樽見 博 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・今日では、巨大出版社となった岩波書店も有斐閣も、元は古本屋から出発したし、三省堂や東京堂も古くから出版と書店とを経営している。
・古本と新刊書の流通上の一番の違いは、新刊書における日販とかトーハンとおった流通の中間に立つ卸問屋がないということである。(中略)大正の初め頃、大阪に古本を露天の古本屋に卸す問屋で長谷川というのがあったのが、古本の問屋の唯一の例であろう
・古本の流通を担う交換会の組織と、実際の運営の様子を紹介しよう。交換会開催の一番多い神田の東京古書会館の例を挙げる。東京古書会館では一年間を通して毎週月曜から金曜まで六つの交換会が開催されている。
月曜日が一般書の中央市会。昭和四十二年に創設された会で、コミック、文庫、娯楽雑誌、小説類など一番出品量が多い。正に交換会場が本であふれる状態となる。
火曜日は古典中心の東京古典会と洋書を扱う東京洋書会。(中略)
水曜日は、雑誌・資料の東京資料会。人文・自然科学などの専門書、学術雑誌を扱う昭和十四年創立の伝統ある交換会である。(中略)
木曜日は神田の支部会である一新会。一般書、学術書など普通の交換会で、新刊学術書がいち早く出品されることでは一番の会である。昭和二十五年創設。
金曜日が文学や趣味的なもの中心の明治古典会である。昭和二十二年創設、現在の古本界で何が人気であるかが最も端的に表れる華やかな交換会である。東京以外の業者も熱心に参加している。毎年七月に開催される七夕入札会は、一般の人も参加できる市として、東京古典会十一月の古典入札会とともに毎年豪華に開催され、マスコミにも取り上げられる。
因みに、大阪、京都、兵庫、名古屋の組合でも同様の専門書市がある。
・古本インターネット販売サイトの本格的運営に先鞭をつけたのは、紫式部という会社を横浜で立ち上げた河野仁美さんという若い方であった。
・東京都古書籍商業組合による「日本の古本屋」の開始は平成八年九月、以来試行錯誤を重ねサーバー力を強化してきた結果、現在では登録データ四二八万件(タイトル件数ではない)、参加書店全国七一三軒、一ヵ月の受注額一億五千万円に達するまでに成長した。
・山下敏明『本の話』室蘭民報社
・辞書事典のコレクター、研究家として知られた故惣郷正明さん
・池谷伊佐夫さんの『書物の達人』(東京書籍・二〇〇〇年)
・客観的に価値ある蔵書とはどんなものか。条件をいくつか挙げられる。
一、蔵書として筋が通っていること。
二、保存状態が良いこと。
三、肝心な本、珍しい本が抜けていないこと。
●書籍『古本通~市場・探索・蔵書の魅力』より
樽見 博 著
平凡社 (2006年4月初版)
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