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[ 出版業界について ]

出版社が考える出版流通ルートは (寄稿:冬狐洞隆也氏)

「本は書店で買う」と本屋からという方が多いと思います。しかし、読者が本を手元にするまでには多くの出版流通が存在します。出版マーケットに詳しい冬狐洞隆也氏によると、その経路は20以上存在すると言います。詳細をご紹介したいと思います。
 

ルート別
取次
備考
書店ルート
出版物65%以上の販売ルート
ネット書店ルート
上位10社で販売額2000億円超えた
CVSルート
雑誌販売不振が今後も続く
生協・農協ルート
大学生協も含む
駅売店ルート
JR・私鉄・地下鉄中心だが現役世代人数減少進行中
スタンド販売ルート
下り坂販売ルートと揶揄されているが?
教科書販売ルート
教科書供給所54社の電子教科書の影響は?
新聞販売店ルート
各新聞販売店ルート
図書館ルート
TRC・丸善・紀伊國屋書店中心
10
ホームセンタールート
書店直営も有るが出版物を商材として模索中
11
家電量販店ルート
PC書籍中心だが他の商材も
12
通信販売ルート
大手総合通販会社の利用
13
職域直販ルート
ムック・児童書・実用書・辞書
14
玩具販売ルート
絵本・児童書
15
楽器・音楽ルート
楽譜・写真集・タレント本等
16
学校・幼稚園ルート
専門学校・学習塾・予備校・生涯学習も含む
17
スポーツ用具販売
スポーツ用具店・ゴルフショップ等
18
各業種専門店ルート
出版物を扱える店は多岐に渡る
19
流派・家元ルート
生け花・茶道・書道等やスポーツ各流派を持つルート
20
著者直販ルート
著者のネットワークが販売先

※○印は取次ルート・△印は取次ルートが僅かながら関わっている。この他にも出版社の直販流通ルートは多岐に渡る。


全出版物販売額の内、取次ルートは65%で残りは取次を経由していない

全出版物の販売額の内、取次ルートは65%で残りは取次を経由していないルートである。取次ルートは書店の力が削がれれば益々力が弱くなる。非取次ルートは物流コスト・売掛金回収コスト・販売促進コストが取次ルートに比較して多く掛かるのでローコストコントロールが必要となるが、利益額は取次ルートより大きい。


出版社に欠けているマーケティングに基づいたサプライチェーンマネジメントを確立し、販売額の向上と効率化を実現すれば、取次ルート以外のルートも可能性は大いに有る。読者の趣味趣向が細分化され、出版物購入の選択肢も多岐に渡ると当然販売のステージも書店ルートだけではない。


書店数が減少し、複合書店が多くなり店内の出版物シェアが少なくなり、取次ルートだけでは今後売上は上がらないと認識すれば出版社は自らリスクを採りながら新しい読者層を開拓していく重要性が更に増していくと確信する。今後、取次依存型の出版社は自然淘汰される恐れも出てくるだろう。


寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏