FaxDMトップ > 会社案内 > 成功者の知恵 > 西岡 常一 氏(書籍『木に学べ~法隆寺・薬師寺の美』より)

西岡 常一 氏(書籍『木に学べ~法隆寺・薬師寺の美』より)

このページは、書籍『木に学べ~法隆寺・薬師寺の美(西岡 常一 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・棟梁いうものは何かいいましたら、「棟梁は、木のクセを見抜いて、それを適材適所に使う」ことやね。


・仕事とは『仕える事』と書くんですわな。塔を建てることに仕えたてまつるいうことです。もうけとは違います。そんだけの違いです。そやから心に欲があってはならんのです。


・ヒノキという木があったから、法隆寺が千三百年たった今も残ってるんです。ヒノキという木がいかにすぐれていたか昔の人はすでに知っておったんですわな。


・木を知るには土を知れ


・いちがいには言えませんけど、50mの木の高さやったら、50m下まで根が入りこんでるといわれてます。枝が幹から10m横に伸びたら、根も横に10m根を張っているといわれます。


・科学が発達したゆうけど、わしらの道具らは逆に悪うなってるんでっせ。質より量という経済優先の考え方がいけませんな。


・(※法隆寺の)この中門、金堂、五重塔と回廊は飛鳥時代のもんです。向こうの大講堂は藤原時代のもんです。


・近頃のアメリカのまね、イギリスのまねをやっている日本人は勉強しなければなりませんな。飛鳥の工人は、自分たちの風土や木の質というものをよく知っていたし、考えていたんですな。


・建造物というものは重いもんでっせ、その荷重を、いかにうまく分散して太い柱で支えるかが構造ちゅうもんです。それぞれの部材が十分役目を果たして、余分というもんがないというのは美しいもんです。飛鳥の工人が作ったものは、その代表ですな。


・こうした構造が地震などに強いんですな。一階が右に揺れると二階はそのまま伝えるんではなく、逆方向にいくんです。それで、大きな揺れを吸収してします。いわゆる柔構造です。
※法隆寺のこと


・次は東の回廊から金堂、五重塔と巡ってみましょか。この回廊がゆるい坂になっているのがわかりますか?これはわざとこうしたんではなんでっせ。自然の地形にさからわず、建てたんですな。


・木にはくせがありますのや。こんな柱でも、みなくせがあります。この木は右による、これは左によるいうふうに。その木のくせを見抜いて、右によるとうのは寄らないように、左に曲がるのはそうならないように、旨く抱き合わせて組みあげていかなあきませんのや。


・法隆寺の解体修理のときには飛鳥の釘、慶長の釘、元禄の釘と出てきますが、古い時代のものはたたき直して使えるが、時代の新しくなるとあかん。今の鉄はどうかというと、五寸釘の頭など10年もたつとなくなってしまう。今の鉄なんてそんなもんでっせ。


・学者の人たちにヒノキの持つ力を計算できるか、それもわからんで鉄の方がヒノキより強い、なんてこと言うなというわけです。ヒノキの耐用年数は二千年、鉄の耐用年数は百年でっせ。


・学者たちはヒノキをそんなに強いと思っておらんのですな。法隆寺や薬師寺東塔が、千三百年保っているという現実をどう考えておられるのかな。


・土質学、植物学、植物生理学、環境のことなど、皆わからんありませんから。そういう意味でうと、人間は偉いもんでっせ。カンでわかるんですな。コンピューターでわからんで、カンピューターならわかるんですからな。


・飛鳥時代のような鉄でしたら強いでっせ。千年はもちますな。法隆寺の飛鳥時代の部材から釘抜きまっしゃろ、抜くとゆがみますが、このゆがみさえ直せば、飛鳥の釘はまた使えますのや。今まで千三百年もってますねん。これから、まだ千年もちまっしゃろな。


・木の使い方というのは、一つの山の木でもって一つのものをつくる。これが原則ですわ。


・21世紀、21世紀というけど、本の1ページをめくるのと一緒でんがな。必ず前のページがあって、次がありますのや。今は、前のページの続きでっしゃろ。21世紀を迎えるためには、今から改めな。


・本当にこの人こそという人にだけ、口をもって伝える。それで口伝や。


●書籍『木に学べ~法隆寺・薬師寺の美』より
西岡 常一 著
小学館 (1988年2月初版)
※amazonで詳細を見る