このページは、書籍『私にはもう出版社はいらない(アロン シェパード 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
●特別寄稿 佐々木俊尚氏
伝統的な日本の出版業界で行われてきたのが次の4つだ。
(※本のプロモーションのこと)
取次営業
書店営業
出版広告
献本
新聞や雑誌などの書評担当者、著名な書評家などに本を送って、書評してもらうよう依頼する。
・アマゾンの画面で表紙画像を目立たせないといけない。3×3センチの極小サイズだから、普通の本みたいにキャッチコピーを入れたり細かい描き込みをしても誰も気づいてくれない。だから本書では「当然ながらポイントは『わかりやすさ』」だと断言している。
・インタネットの中では、「検索されるかどうか」も非常に重要だ。これはしばらく前から日本の出版業界でも少しずつ知られるようになってきているけれども、副題やタイトルにできるだけ検索されそうなキーワードを埋め込んでおくことが非常にたいせつな要素になってくる。
・アマゾンの検索システムにうまく検索される方法という上級スキルもある。
・私は今後は本の書き手は、次のようなスキルが必要だと考えている。
●多様なソーシャルメディアを駆使する能力。
●多くの人々とつながり、そこでコミュニティを構築していける能力。
●お仕着せではなく、自分自身の声でダイレクトに情報を発信していける能力。
つまりはいままでのように取次や書店とコミュニケートするのではなく、その先にいる読者と直接的につながり、情報を送り届けるスキルこそが本当のプロモーションスキルとなってくるということだ。
---- ここまで 佐々木俊尚氏 ------------------------
・セルフパブリッシングビジネスの古典的指南書(ダン・ポインターやトム&マリリン・ロス、ジョン・クレーマーなどの著者)は、数十年前の初版以来、何度となく改訂を重ねてきた。
・セルフパブリッシングのニュースレターを購読したい方は、以下のURLで「Subscribe(購読する)」欄にメールアドレスを入力すれば、ウェブサイトの更新情報が届くようになっている。
・私はいつも、これから書こうと思っている分野のベストセラーをアマゾン・コムで調べて予測を立てている。書きたい分野のセールスランキングの上位を見れば、本のクオリティやマーケティングの上手さだけでなく、どのようなテーマに読者の関心が集まっているかがわかる。
・私はランキングの範囲ごとに以下の目安を設けている。
トップ10,000位以内
長期間にわたってこの範囲にランキングされていれば立派な大ヒット。平均ランキングが5,000位前後なら、1ヵ月の売上部数は250部くらいだろう。
●10,000位から50,000位
なかなかのヒット。
●50,000位から200,000位
人気作とまで言えないが、一目置いていい売れ筋。
●200,000位以下
儲けが目的なら出版しないほうがいい。
・アマゾンのランキングは動きが早いので、インターネット上のフォローツールがあれば便利なのにと思う人には、私がつくった無料ツール「セールス・ランク・エクスプレス」が役に立つ。
お目当ての本を検索し、右にある「Get Pairings」ボタンをクリックすると、その本と「よく一緒に購入されている商品(Also Bought)」のトップ10と、それぞれのセールスランキングが表示される。これを見れば、その分野で人気のある本が一目瞭然だ。ほかにもいろいろな機能があるので、ぜひ販促分析に利用してほしい。
・セルフパブリッシングに関する本の最高峰といえば、アマゾンでも書店でももう何十年もロングセラーとなっているダン・ポインターの『セルフパブリッシング・マニュアル』がある。
・アマゾンで本を売る場合、タイトルはふたつにわけて考えるといい。読者の注目を集めるためのタイトルと、本を検索にかかりやすくするためのサブタイトル------副題だ。(中略)
キーワードを探すツール
ぴったりなキーワードを探すときに私が活用しているのは、ウェブサイトの最適化で参考にしているのと同じツールだ。有料だけど、便利で使い勝手がいいのは「ワードトラッカー(WordTracker)」だ。
最近登場した無料の類似サービスに、グーグルの「グーグル・インサイツ・フォー・サーチ」がある。このシステムにはおもしろい機能がたくさん盛りこまれている。
www.google.com/insights/search/
・表示をデザインする(中略)
せっかく本を作るのだから、書店に並んでいる本みたいにおしゃれ表紙にしたいかもしれないが、じつはああいう表紙はアマゾンでは効果がいまひとつだ。
アマゾンで表示される表紙の写真は、キャビネ判や六切判のような大きなサイズでないためだ。せいぜい3×3センチ程度とほぼ切手大。(中略)おまけに「なか見!検索」機能を用いていれば、あのマークのおかげでまた5分の1ほどのスペースが削られる。(中略)
切手大のスペースを生かすには(中略)
入れるべき要素は以下の3点となる。
1 タイトル[本題のみ]
2 著者名
3 訴求力のあるグラフィック要素ひとつ
3つすべて入れる必要はない。ふたつ、もしくはひとつに減らしたほうがより目立つかもしれない。
・表紙画像におすすめの仕様(中略)
正面画像[傾斜画像や3D画像は不可]
枠なし
フォーマット JPEG
解像度 72ppi[dpi]
縦横の最大長 9インチ[648ピクセル@72ppi]
カラーモード RGB
カラースペース sRGB
カラーデプス 24ビット[8ビット@チャンネル](中略)
ここで筆者が紹介しているいるのはあくまで「ほかの用途にも仕える」仕様だ。
・アマゾンのシステムは、売上が伸びれば伸びるほど検索結果やほかの一覧に表示されやすくなり、そのおかげでまた飛躍的に売れるという好循環が特長だ。ただし、版型が異なると売上も別々に計算されてしまい、全体で売上を達成できなくなるのだ。
・本の販促に一番役立つのは評判だ。アマゾンならカスタマーレビューがあるが、その前にぜひ、推薦文やメディアの書評を集めるところから始めよう。
・ディスカウントの仕組み(中略)
アマゾンでは、通常は掲載から2、3週間後に値引きを始め、とくに本が売れだしたときは積極的な値引きを行う。
・なか見!検索で公開されたデータは通常の検索対象にもなるので、書籍が検索に引っかかりやすくなるメリットもある。アマゾンのシステムが公開データを分析して、カスタマーに関連書籍をすすめるときに利用する場合もある。なか見!検索を使って書籍の購入を決めるカスタマーは多い。(中略)
ただ、メリットよりも大きなデメリットがある。まず、なか見!検索マークのために、表紙画像の上部が削られてしまう点だ。たとえば本書の執筆時点では、検索結果に表示される表示画像はこのマークによって20%程度削られる。(中略)
私の出版戦略にとって表紙画像はきわめて重要なので、その一部が削られるのは大問題だ。なか見!検索プログラムが、このデメリットを補えるほどの売上増をもたらすとは思えない。(中略)
いずれにせよ、私個人の経験から言うと、この機能でそれほどの売上増は得られない。なか見!検索でのデータ公開をやめた拙著で、とくに売上減は起きていないのだ。
・マーケティング効果の高いタグの例を挙げておこう。
●著者名
●タイトルからキーワードやキーフレーズ。
●タイトルに入れらなかったキーワードやキーフレーズ。
●ノンフィクションの場合は、読者の関心を引きそうなサブテーマ。本の中で小さいながらも重要な位置を占める登場人物、地名など。
●フィクションの場合は、物語の構成要素。物語の舞台や、主な登場人物の職業など。
●アンソロジーや選集なら、収録作品にまつわるキーワードやキーフレーズ。
●上述のタグ候補の別スペル、よくあるミススペル例。
タグづけの際は、タグの目的を忘れないこと。書籍の内容を「説明する」のではなく、類書と共有できるタグをできるだけ多くつけるのが目的だ。そうすることで、カスタマーはほかの書籍を見たり買ったりするときに、自著が表示・推薦される確立が高くなる。そう考えると、タグはほかのカスタマーも考えそうな一般的で短いものが望ましい。たとえば「骨粗しょう症を独自の観点から考察する」というようなタグは、無意味だ。この場合は「骨粗しょう症」とシンプルなタグをつけるのがいい。
・本が売れだすと、売上がさらに売上を誘う。アマゾンの販売メカニズムと販売力学によって、勝者はじわじわとトップへ押し上げられていく。ただ、それには時間がかかるのである。
・ランキングを追跡するツール(中略)
筆者の「セールス・ランク・エクスプレス」(中略)
http://www.salesrankexpress.com/(中略)
また、パラドクサル・プレス(Paradoxal Press)が提供するセールス・ランク・ウォッチャーというウィンドウズ用のフリープログラムもある。
http://www.paradoxalpress.com/Software_SalesRankWatcher.aspx
・ランキングの変動を読む(中略)
どういう変動なのか判断するには、競合本のランキングに注意する手もある。調べるのは簡単で、「セールス・ランク・エクスプレス」で「Get Pairing(比較する!)」ボタンをクリックすればいい。
・アマゾン・アソシエイトのIDを加えて紹介料を手に入れるには?こうすればいい。
http://www.amazon.com/dp/093849743X/ref=nosim?tag=simpleproduction
「simpleproduction」は筆者のアソシエイトIDである。また「ref=nosim」は本の詳細ページに直接とぶための「スイッチ」で、もし代わりに「SimilaritiesPage」とあれば、類書のページにとぶことになる。
・(※2行に分割しないような)事態を回避するには、URL全体を山カッコではさめばいい。これにより、URLが複数行にわたっても、ほとんどのメールプログラムできちんと認識される。
●書籍『私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法』より
アロン シェパード 著
佐々木 俊尚(特別寄稿) (監修),
平林 祥 翻訳
WAVE出版 (2010年6月初版)
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