このページは、書籍『萌えるアメリカ~米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか(堀淵 清治 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・スティーブ・ジョブズが十億円でこのCG部門を買い取ったのが、現在のピクサーの始まりというわけである。
・どうしてアメリカのコミックスはは一般書店ではなくコミックショップでしか売られてこなかったのか。それにはふたつの理由がある。
ひとつは、アメリカにおける書籍流通システムの複雑さと、販路拡大の厳しさである。アメリカには、日本のトーハンや日販(日本出版販売)のように書籍の通通を一手に仕切る大規模な取次業者が存在しない。したがって出版社側は、コミックスならダイレクトマーケットという具合に、出版物の種類や流通チャネルによって、全く異なる取次会社、セールスマングループと組まなくてはならない仕組みになっているのだ。
しかも、それぞれの流通チャネルには、それに適した出版物のフォーマットがある。各マーケットの取次会社やセールスマンたちは、各小売店の要望に沿った出版物を供給しなくてはならない。したがって、コミックショップに流通しているページの薄い中綴じのアメコミを、そのまま一般書店で売るということはできない。それは、トレードブックマーケットに敵したフォーマットではないからである。
・出版社は通常、出版する書籍のラインナップを遅くても発売の九ヶ月前までに決定し、ページ数や内容などの情報を記載したカタログをシーズンごと(主に春夏期と秋冬期)に作成しなくてはならない。このカタログに間に合わなかった出版物は、次のシーズンに回されることになる。したがって、緊急な追加や変更はできない。企画が持ち上がったときにすぐ出版を行える日本とはかなり状況が異なる。
・現在、アメリカで売られている雑誌のうち、八七パーセントが定期購読によるものだということをご存知だろうか。つまり、アメリカ人はほとんど外で雑誌を買わないのである。電車で長い通勤時間を利用して雑誌を読むという習慣が珍しくない日本人からすると、これはちょっと驚きの数字と言える。
・雑誌を定期購読するという習慣がアメリカ人にとって非常にカジュアルなものだ。これには、十九世紀後半にアメリカ合衆国政府が制定したある政策が影響している。それは、雑誌の全国への郵送料金を低額化するというものだった。
・ご存知のように、小学館と集英社は兄弟会社である。相賀昌宏氏の祖父にあたる相賀武夫氏が、学習雑誌の出版社として一九二二年に小学館を設立、その四年後に、娯楽雑誌部門を立ち上げるべく集英社を設立した。(中略)
この他、集英社から枝分かれした白泉社も同じ、いわゆる「一ツ橋グループ」に属している。
●書籍『萌えるアメリカ~米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか』より
堀淵 清治 著
日経BP社 (2006年8月初版)
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