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書籍『白書出版産業 2010』(日本出版学会 著)より

このページは、書籍『白書出版産業 2010』(日本出版学会 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


●出版産業の構造

・02年3月に日本標準産業分類(総務省)が改訂告示され、大分類項目として「情報通信業」などの五つが新設され、出版業が「情報通信業」に移行した。


・出版業は「41 映像・音声・文字情報制作業」の中に入り、小分類「414 出版業」、細分類「4141 出版業」となり、コンテンツ産業の中に分類された。


・出版業の生産・物流・情報・サービス・マーケティングなどにかかわる業種としては、編集プロダクション、翻訳権代理業、翻訳業、速記、ワープロ入力業、デザイン業、情報通信業、ソフトウェア業、情報処理サービス業、情報提供サービス業、そして印刷業、製版業、写真業、製本業、印刷物加工業、洋紙製造業、板紙製造業、洋紙販売業、広告代理業、新聞業、テレビビジョン放送業、映画・ビデオ製作業、ゲームソフト製造業、信書送達業、固定電気通信業、書籍・雑誌取次業、一般貨物自動車運送業、集配利用運送業、倉庫業、等がある。


・大きな格差が存在
出版産業の労働実態


・「出版社に関わるフリーランスの実態調査報告」(出版労連 出版ネッツ料金プロジェクト)

(※参考:出版労連のウェブサイトへ


・共有書店マスタを管理・更新するためのデ-タ収集は小学館の小会社である一つ橋企画が行なっているが、後に日本書店商業組合連合会も協力し、新規開業書店のみならず廃業・移転などについての精度も高まっている。


・出版物の流通経路図 P.31


・日本の読者は新刊書籍を欧米先進国に比べ30~40%以上安く入手している


・取引形態に買切扱と委託扱の二つがある。前者は注文品、買切、延勘の三つがあり、後者には普通委託(新刊委託)、長期委託、常備委託の三つがある。


出版社は新刊書を委託配本する委託型と買切制をとる注文買切型の二つのタイプに分類される。

出版社は正味制からは一本正味型と定価別正味型の二つのタイプに分類される。


・現在イギリスの書店に足を運ぶと、「この棚から2冊購入すれば、3冊目は無料」などという日本の書店では想像できない掲示を目にすることがある。


・欧州主要国における書籍の価格拘束の事例


・文庫の歴史

文庫とは、叢書のうち、主にA6判サイズの出版物を指し、廉価で2次出版を主とすることを特徴とする。その嚆矢は1903年の袖珍名著文庫(冨山書房)と言われるが、一般に定着したのは1927年創刊の岩波文庫と見てよい。戦後は角川文庫(49)が創刊され、47年に第3次が創刊された新潮文庫と合わせた3大文庫体制が確立した。


・マンガとは、一般に、絵と言葉とコマという三つの要素の組み合わせによる表現形式・情報伝達手段を指す。したがって、必ずしも紙媒体を必要とはしない。

日本の出版業界では、マンガ単行本をコミック本、またはコミックスと呼び、マンガ雑誌をコミック誌と呼ぶ習慣があり、『出版指標年報』のおいても、この呼称が用いられている


・教科書供給の仕組み

教科書発行会社(56)→大取次(6)→教科書供給会社(特約供給所)(53)→教科書取扱書店(取次供給所)(3,435)→小学校(約23,000)、中学校(約)11,000、高等学校(5,000)


・出版社の類型(中略)

チャネルによる類型化(中略)

①取次―書店ルート型(中略)
②専門取次―専門店ルート型(中略)
③取次―大学内書籍部ルート型(中略)
④取次―書店外商ルート型(中略)
⑤書店直取引ルート型(中略)
⑥読者直販ルート型(中略)
⑦加除式ルート型

加除式ルートとは読者直販ルート型の一つであるが、個人向けではなくて機関購入が大部分を占める点が特徴的である。主に自治体などが購入する法令書に多く見られる形態である。


・①取次―書店ルート型

日本の出版流通では書籍・雑誌を問わず、取次を経由した流通ルートが全体の物流のおよそ70%を占めるといわれる。


・⑤書店直取引ルート型(中略)

物流や売り掛け回収を自前で担う必要が生じるため、営業コストが高くなる。しかし、一方で取次との新規取引開始時の正味の低さや業界特有の高返品率の弊害から逃れることができ、書店の独自のプロモーションが可能であるというメリットがある。

代表的な社に永岡書店、ディスカバー21、トランビュー、アスク出版、ミシマ社などが挙げられる。


・出版社の所在地では東京に3057社(77%)が集中している。次いで大阪167社、京都135社、神奈川91社、埼玉58社、愛知48社など大都市圏に多い。


・出版物のプロモーション(中略)

FAX通信(中略)

留意点は下記の通りである。

1 A41枚に書店にとって必要な情報を的確に示し、かつ見やすいレイアウトを工夫する

2 受注のためだけのFAXではなく、書店にとって今後役に立つ情報発信ツールとして考える

3 受注データをジャンル別に集約・分析し、類似企画があった場合、効果的な展開をはかる

4 データの分析を心掛け、自社独自の「定期訪問書店(販売協力店)」データを作る

5 忙しい時間帯でのFAXは慎む。また深夜、早朝でのFAXには十二分に注意する


・編集制作業経営白書


・読者にとっての「よい書店」を追究していくことになる。「求める本があること」「どこにあるかすぐにわかること」「取りやすいこと」―この三つが揃ったお店が「よい書店」の条件だ。この「品揃え」「分類」「陳列」と基本要件が不足、あるいは欠如していたために“苦闘局面”を招いたのではなかったのか


・日本書店大学は松山の明屋書店・安藤明氏を創設者とした全国中堅書店の書店経営勉強会で、のちに有志が株式会社書店大学館を設立、「志夢ネット」を組み、共同仕入・共同販売をはじめた。この共同販売では先輩格の「ネット21」がある。


・セブンネットショッピングは取引取次のトーハンに在庫、調達、発送の業務を委託しており、楽天ブックスも日本出版販売の物流を利用している。TRCの事業部門になったbk1は、図書館向けの流通センターである新座ブックナリーで物流業務を行なっている。


・コンビニでは、何かのついでに雑誌を買う、いわば「衝動買い」が多い。(中略)

さらに、本の管理にかける手間の違いなどから、愛蔵したい本は書店に買い、コンビニでは読み捨て感覚のものを買う人が多い。低価格帯の雑誌、文庫がコンビニ伸長を支えているのもこのためである。


・日本では、図書館は江戸時代までは主に文庫と呼ばれ、一部の特権階級が利用する機関であった。今日のような広範な市民が自由に利用する近代的な意味での図書館は、1872年に明治政府が設置した書籍館が始まりであり、この影響で書籍館という名称の施設が作られ始めたが、当時の自治体財政の悪化と自由民権運動を巡る政治的対立の激化等により、書店館は普及しなかった。

「図書館」という名称は1877年の東京大学法理文学部図書館の設置がその初出であり、1899年の図書館令の公布により図書館という言葉が定着し広まり始めた。この図書館という用語は日本だけでなく、中国や朝鮮でも使われ東アジアにおけつ共通用語となった。


※書籍『白書出版産業 2010』より
日本出版学会 著, 編集
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