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櫻井 弘 氏 書籍『「話す力」が面白いほどつく本』より

このページは、書籍『「話す力」が面白いほどつく本』(櫻井 弘 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・ある有料トイレで、女性のトイレに順番を待つ列ができていました。その中に、和服を着た年配の上品な女性がいて、その人の番になったとき、彼女は一言、「お先に失礼します」と列のほうにわざわざ顔を向けて、会釈をしました。そして、トイレから出てくると、再び列に向かって、「お待たせしました」と会釈をしたそうです。


・ある役所の窓口の出来事です。(中略)「失礼ですが、ご印鑑をお持ちでしょうか?」と尋ねたのです。(中略)


「印鑑、忘れてしまったのですが・・・・・・」
「そうですか、それでは拇印で結構ですから、ここに押していただけますか?」
そのとき、何を勘違いしたのか、そのお客様は、「あらっ!拇印は主人が会社へ持っていってしまったのですけど・・・・・・」(中略)


その担当者は少しも慌てず、そして怪訝な表情ひとつ見せずに、次のように言ったのです。


「そうですか。それでは、恐れいりますが、右手の親指に朱肉をつけて、ここに押していただけますか?」(中略)


このエピソードは「お客様に恥をかかせなかった、すばらしい担当者」と題して、新聞の投書欄に掲載されたものです。相手に恥をかかせないということ。それはほんの些細なことかもしれませんが、実は大変な技術と経験、それにセンスの裏づけがあってこそできることなのです。

・「上手な言い方」三つのポイント(中略)

何かを「謝る」「断る」「確認する」「説得する」(中略)


〈ポイント①〉相手サイドにたった言い方(中略)
「先日送らせていただきました資料は、お手元に届きましたでしょうか?」という言い方をすると、「私が送った」という「私メッセージ」になってしまいます。同じ内容でも、「先日お送りしました資料、ご覧になっていただけましたでしょうか?」


〈ポイント②〉肯定的な言い方工夫
「この書類が足りませんので、手続きできません」という言い方ではなくて、「この書類さえ揃えば、すぐに手続きできます」という「肯定」の言い方にすることです。(中略)


〈ポイント③〉視点を変える言い方の工夫(中略)

①雨の日にパーティに出かけるとき
マイナス 「大変だね・・・」
プラス 「みんなが待っているよ!」

②飲み物を聞かれたとき
マイナス 「お茶でいいです」
プラス 「お茶をお願いします」

③試験の残り時間があと10分
マイナス 「あと10分しかありません」
プラス 「まだ10分ありますヨ」

④途中入場したとき
マイナス 「前から入らないでください」
プラス 「どうぞ後ろからお入りください」

⑤説明会のとき
マイナス 「ご存知ないかも・・・」
プラス 「ご存知の方もいらっしゃると思いますが」


・話力を上達させる“必勝の心構え”

“か・い・わ”で覚える三ポイントの原則(中略)

一番目の頭文字の「か」は、「簡潔に話す」ということです。(中略)三つのポイントを頭に入れて、簡潔な会話を心がけてください。

①“キーワード”を入れる(中略)
②“歯切れよく”話す(中略)
③「結論先行」で話す(中略)


二番目の頭文字の「い」について。これは「印象深く」(中略)これについても、ポイントを三つ示しておきます。

①相手の“イメージ”に訴える
「色」「形」「様子」「姿」など(中略)

②“膨らみをつけて”話す(中略)
「落語」に代表される話し方です。「クマさん!」「何だい、八つぁん!」(中略)

③“気持ちを込めて”話す(熱意が人を動かす)(中略)


三番目の頭文字の「わ」です。これは「わかりやすく」の「わ」となります。ここでも、「わかりやすく」話すポイントを三つ押さえておきたいと思います。

①“分けて話す”
「わかる」とは「分ける」ことだと言われます。「全体と部分」「原因と結果」「よい例と悪い例」などと分けて話すと、わかりやすい話になるのです。(中略)

②相手の目線で話す(中略)

「道順」を聞かれた場合、「現在位置はどこですか?」(中略)などと質問して、相手が「どこまで知っているか」が明確になれば、「どこから説明したらよいか」もおのずと明確になるのです。

③“具体的に”話す


・「あいさつ」の4つの心がけ

あ  明るく、さわやかに
い  いつでも、どこでも、誰とでも
さ  先に、先手で
つ  続けて、粘り強く


・「話す」と「書く」の違いは?

【話す】          【書く】

あがる          あがらない
その場対応       事前対応
即時性          時間がかかる
消せない         消せる、推敲できる
リスクがある       リスクが少ない
ニュアンスが伝わる   ニュアンスが伝わりにくい


・相手を不快にしないための、巧みな「質問力」
-------“一人よがりの会話”にならないためには・・・・・・(中略)

「理解(リカイ)の逆は、怒り(イカリ)になる」と言います。まずは「質問」によって、「相手の理解度」を確かめた上で説明していくことを心がけてみましょう。


・「質問をする」にもさまざまなやり方がある

①全体質問(オープン・クエスチョン)
②限定質問(クローズド・クエスチョン)
③折り返し質問(フィールドバック・クエスチョン)
④リレー質問(バトンタッチ・クエスチョン)


・マジック・フレーズを添えればスムーズに

お客様の左側からお茶を出すのがマナー。でも、どうしても右側からしか出せないときは?

“こちらから失礼いたします。お茶をどうぞ”


・“教科書どおり”でも、「言わないほうがトク」の表現(中略)

尊敬語の「れる」「られる」は使わない!(中略)たとえば、お客様に対して「そう申されますが・・・・・・」などと、謙譲語に「~れる、~られる」をつけてしまう場合です。(中略)


これはあくまでも、普通の動詞に対してつけるのであって、謙譲語につけるのは間違った使い方となります。(中略)


「お母様、このひどい雨の中、お一人で買い物に行かれるのですか?」(中略)お姑さんは「この雨の中、一人で行くことができるのですか?」という意味に受けとってしまったのです。


この例からもわかるように、尊敬語のつもりで使った「~れる、~られる」という言い方は、「可能・不可能」の意味でとられてしますことが少なくありません。


・会社でこんな敬語の使い方をすると致命的!(中略)

「総務部の中田部長ですね。はい、いらっしゃいますので、少々お待ちください」(中略)

「外(お客様)とのやりとりにおいては、身内(社内)に対しては尊敬語を使わない」ということです。(中略)

「総務部の中田ですね。はい、おります」


・特に日本人の言い方は「主語」と「目的語」を省略してしまうことが多い


・相手の気持ちに目を向けた「マジック・フレーズ」

●お急ぎですね・・・
●ご心配ですね・・・
●大変ですね・・・
●ご存じなのですね・・・
●まったく、そのとおりですね・・・
●お気持ちはよくわかります・・・
●お察しいたします・・・
●お手数ですが・・・
●ごていねいに・・・
●お忙しい中、恐れ入ります・・・


・言葉は“自分の思いどおりに伝わらない”のが大前提


・その人に合った表現の工夫

事故で船が沈没寸前!さまざまな国語の人を何と言って説得するか?

●イギリス人には・・・・・・「紳士なら飛び込みなさい」
●アメリカ人には・・・・・・「保険がかかっているので、安心して飛び込みなさい!」
●ドイツ人には・・・・・・「船長の命令だ。飛び込め!」
●日本人には・・・・・・「みんな飛び込んでいる。さあ、飛び込みなさい!」
●イタリア人には・・・・・・「飛び込むな!」


・「お名前は何でしたっけ?」と聞いてしますのです。(中略)相手は、「内田です」と、自分の名字を答えるでしょう。そこで、すかさず「いやー苗字のほうは、存知あげています。下のほうのお名前は何でしたっけ?」と聞き返すのです。(中略)こうすれば、本当は苗字がわからなくても、そのことを気づかれないで、相手のフルネームを聞き出せるのです。


●書籍『「話す力」が面白いほどつく本』より
櫻井 弘 著
三笠書房 (2003年9月初版)
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