このページは、書籍『電子書籍の正体』(別冊宝島、宝島社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・米国型「垂直統合モデル」と日本型「水平分業モデル」(中略)
すべてを掌握する「垂直統合モデル」の黒船
Amazon
Apple
みんなで分担する「水平分業モデル」の日本国内企業たち
新聞社
出版社
端末メーカー
印刷会社
通信会社
書店
・iPad1台の重さは、一般的なハードカバー本の重さ400グラムの約1.8倍、新書や文庫(約150グラム)との比較では、5倍近くになる。
・1冊の電子書籍を出すのにかかる費用(目安)
●著者印税 売上の5~45%
●校正など内容チェック料金 数万円~10万円
●フォーマット作成代 数万円~20万円
●編集費 10万円程度
●流通販売コスト 売上の30%
●流通販売サイト年会費 8000円程度(不要の場合も)
●その他人件費など
・収益シュミレーション
【ケース1】
著者20%
出版社(コンテンツメーカー)35%
制作費15% 校正・編集・フォーマット作成など(広告宣伝費は考慮していない)
流通コスト30% 初期費用(固定費)
〔価格〕800円
↑
35%の利益を得るためにこれだけの売り上げが必要
25万円
---------- = 166万6666円
0.15
そのためにこれだけの部数が必要
166万6666円
--------------- = 2083部 → 2084部以上必要
800
このとき出版社に入るのは
35
166万6666円 × ---------- = 58万3333円
100
初期費用をカバーして赤字を出さないために必要な部数は?
25万円
---------- = 625部
400円
・今回分析をお願いした坂口孝則さんは、数年前に電子書籍の販売サイトを立ち上げて自らの著書を出版したことがある。そのときの経験から、「電子書籍は儲からない」との結論に達した。
・電子書籍が売れるための3条件
1)著者の名前が知られている
ただし有名だからっといっても売れないケースは多い
2)電子書籍でしか買えない
出版社が二の足を踏むような内容など、紙で流通しにくい本もあるにはある
3)アクセスしやすくなる
上記のような本が電子出版されたという情報が広がり、しかもすぐに販売サイトに行けるような場合だ。
・電子書籍市場は、9割近くが携帯電話向けのコンテンツで占められており、その大半がコミックです。中でも、エロ、ボーイズ・ラブなど、店頭では買いにくいジャンルのものが多く出回っています。 津田大介氏談
・私の場合はほぼ3等分で、印税率は約22%でした。大手の出版社では、電子書籍の著者印税率を15%程度にしたいそうですが。 津田大介氏談 『Twitter社会論』の例
・「電子書籍」については結局、とにもかくにも第一条件として、デバイスが劇的に普及していかない限りビジネススキームの確立は難しいと言わざるを得ません。 津田大介氏談
・電子書籍が儲からない6つの理由
儲からない理由その1
若年層向けのコンテンツを作っても若年層は利用できない!
儲からない理由その2
30-40代向けのキラーコンテンツがないと厳しい
儲からない理由その3
ネットに強い作者は自分ですべてを完結できてしまう
儲からない理由その4
ストリーミング配信だと突然読めなくなることも
儲からない理由その5
多大なコストをかけなければ管理することができない
儲からない理由その6
ネット上の劇的なヒットは難しい!?
・iTunes「AppStore」のランキングの注目度が高まり、そこに入ることが宣伝効果を発揮するようになっている。そのために電子書籍が、それ自体を売るというよりも紙の本を売るための手段として認識され始めている。
「たとえば堀江貴文の『拝金』は、AppStoreで上位に入ると紙の本のランキングが再上昇しました。出版社にとって、電子書籍は今は完全に紙の本の広告です。しかも20万円から30万円程度で作れるので、広告費として考えると非常に安上がり。紙の本の売り上げが100部増えれば十分ペイできるでしょう」出版業界に詳しく電子書籍の制作も手がける某ライターは、こう話す。
・『もしドラ』の著者、電子版を語る
作家●岩崎夏海氏(中略)
著者として受け取るお金の方は、紙の本は出版業界の慣例通り定価の1割の印税です。一方電子は、1冊ごとに入ってくる金額が紙よりも多少高めの設定です。
・実際に電子書籍を買ってみた読者からの反響はどうだったのか。
人に貸せないことに気づいたという声が、意外に多かったですね。親にも読んでほしいけど、端末に彼女からからのメールとか入っているから渡せない、とか。紙の本がコミュニケーションツールになっていることが、改めてわかりました。
・電子書籍、常識のウソ(中略)
常識のウソ①
電子書籍ならすぐに買えていつでも読める?
●端末をなくしたらどうする?
●書籍『電子書籍の正体』(別冊宝島)より
宝島社 (2010年11月初版)
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