Tweet
電子書籍を販売する会社には、どんなところがあるのでしょうか。大手企業でいうと7社あります。その企業名と現状の電子書籍コンテンツ数を案内します。
名称 |
運営事業者 |
コンテンツ数 |
○ Reader Store http://ebookstore.sony.jp/ |
ソニー |
3万点以上 |
○ Book Web Plus http://bookwebplus.jp/ |
紀伊國屋書店 |
2万2千点 |
○ Honto http://hon-to.jp/ |
大日本印刷とNTTドコモ |
5万点 |
○ ガラパコスストア http://galapagosstore.com/web/btop |
シャープ |
3万9千点 |
楽天 |
2万8千5百 |
|
○ Book Live http://booklive.jp/ |
凸版印刷とインテル |
3万8千点 |
○ ヤフーブックストア http://bookstore.yahoo.co.jp/ |
ヤフー |
3万点 |
2010年公正取引委員会のウェブサイトを思い出すと、著作物再販適用除外制度は、独占禁止法の規定上「物」を対象としています。一方ネットワークを通じて配信される電子書籍は「物」ではなく「情報」として流通します。したがって電子書籍は著作物再販適用除外制度の対象となりません、と発表されました。
以上のことから電子書籍は「書籍」ではありません。出版物=紙の本と同一価値を求める事に無理があります。これは出版流通にも同じことが言えます。電子書籍は「閲覧サービス」であって「所有物」ではないことが一般的に認識されていないことが気になります。
本の場合は、コンテンツと再生装置(紙)がセットになって長く定着しているのが電子書籍に対する誤解の温床と考えます。
電子書籍の書店は表のように乱立気味ですが、最後は3社位に落ち着くでしょう。未だアマゾンとグーグルは日本語で上陸しておりません。どのような電子書籍の世界が実現するかは推測で議論されているにすぎず、デバイス側とコンテンツ側も試行錯誤を繰り返しているのであります。
但し何年先かわかりませんが、電子教科書が普及し始めたら世界は変わるでしょうが、狭い日本語圏で電子書籍が飛躍的に拡大することはないと思います。
読者の購買行動が不透明であり、文字コンテンツの消費のあり方が多様化しているだけなのに、まるで「電子が紙に置き換わる」とか「電子書籍に呑まれて書店がなくなる」とか言う極端な論調は、大きな誤解と思いますが、購買人口は間違いなく減っていくでしょう。これは各種統計数字を見ていれば一目瞭然です。
最近、EPUB3.0が噂されております。これが電子書籍フォーマットの主流になると思いますが、その時には電子書籍と紙(出版物)が同時にリリースするのがひとつの流れになるでしょう。
従来は出版企画・制作+印刷出版がセットですが、将来(来年かもしれません)は出版企画・制作になり印刷出版と電子出版を使い分けると思います。出版社は出版物を作る会社ではなく文字・活字コンテンツを使ってデータ化し、多様な媒体に活用する会社になるでしょう。
そうなると、出版社が電子出版を作るという専売特許はなくなり、オールカマーで参加してくるでしょう。これからは印刷物と言う手段に囚われることなく、様々なメデイア媒体を用いなければ書籍出版は生き残れないと考えます。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
Copyright (C) 2003-2024 eパートナー All rights reserved.