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葛西 文夫 氏 書籍『ユーモアの秘策~笑いが生まれるメカニズム』より

このページは、書籍『ユーモアの秘策~笑いが生まれるメカニズム』(葛西 文夫 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・ユーモアはこうして生まれる

1 対象表現
2 類比表現
3 追い討ち表現
4 一面の真理表現
5 ぼかし表現
6 取り違え表現
7 場違い表現
8 おとしめ表現
9 矛盾表現
10 本末転倒表現
11 もじり表現
12 現存化表現
13 不条理表現
14 意表を突く表現
15 擬人化表現
16 下ネタがらみの表現


・子どもの虚心坦懐な言動が強いおかしみを感じさせることはよくある。そのような例を挙げてみた。(中略)

○テレビでしか野球を見たことがない男の子が父親にナイターに連れて行ってもらった。帰ってきてから祖母が「面白かった?」と聞くと「あのね、芝生がすごくきれいだったけど、コマーシャルはやってなかったよ」と言った。

○父親が息子に「日露戦争って、どことどこが戦ったか知ってるかい」と聞くと、「日本ハムとロッテだろ」と答えた。


・ユーモアを表現するのは、いくつかのパターンつまり型があるが、その中から比較的よく使われている16のパターンについて、ジョークなどの例を挙げながら、どのようにしてユーモアが生まれてるかについて説明する。


・1 対象表現

一つだけ採り上げてもあまりおかしくないことでも、似通った種類のことで、かけ離れた内容の物事を並べてみると、つまり比較対象してみるとおかしさが強まることがある。このかけ離れ方はできるだけ離れた方がおかしみが強くなるのが普通である。(中略)


酔ったのと酔わせたので混む終電車 (作者不明)


・2 類比表現

類比というのは、全く関係のない二つの物事が同じであったり、似通ってたりすることだが、類比によっておかしみが生み出させることがある。


・3 追い討ち表現

追い討ちとは、言うまでもないが、攻撃を加えて逃げる相手にもう一度打撃を加えることである。(中略)

ある兄弟の弟の方が、夜庭で物干し竿を振り回していたので、それを見た兄が「おい、なにしているだ」と聞くと、弟が「これで星を落とすんだよ」と言うので兄は「お前はバカだなー、そんなことで星が落ちるものか。屋根に上がらなきゃ」と言った。


・4 一面の真理表現

話全体が異常なことありえないナンセンスな話であっても、その中に少しありうることを含んでいると、おかしみを生み出すことがある。


・6 取り違え表現

取り違えというのは間違えることだが、その正しい物事と間違えた物事との関係によって色々おかしみが生まれている。(中略)


ある若い女性が治療を受けていたイケメンの歯医者が、治療の最中に「今日この後何か予定ありますか?」と言うので、食事でもご馳走してくれるのかと思って、わくわくして「いいえ、何もありません!」と言うと「では、歯を抜きましょう」と言われた。

【明石家さんまの番組に出ていた若い女性の体験談より】


・7 場違い表現

その場の状況では普通使われないような言葉を使うこと、つまり場違い表現をするとおかしみが生まれることがある。(中略)


ある飲み会でお開きになった時、幹事がまだ9月だというのに「では、皆さんよいお年を」と言った(中略)


ギャグを言って笑いが少なかったときの一言
「ここで笑わないと、あと笑うところはありませんから」


・8 おとしめ表現

おとしめるというのは、劣ったものとして扱ったり、さげすんだり、悪く言ったりすることである。自分や、自分の身内など身近な人をおとしめると、おかしみを生み出すことがある。(中略)


客席で60代後半ぐらいの酔っ払った男が、大きな声でわめいていた。そのとき、3人の芸人の中で一番年配の男が言ったジョークが、

「うるさいぞ!ジジイ!」と怒鳴ったあと
「おれもジジイだけど」と一言。


・9 矛盾表現

矛盾というのは、(中略)つじつまの合わないこととか、二つのことが両立しないことをいう。


・10 本末転倒表現

本末転倒というのは、簡単に言えば、重大なことを些細なこととして扱ったりすることである。この本末転倒によっておかしみが生み出されることがある。


家主 「毎晩、貸家の札を剥がす馬鹿者が居るので困る」
妻 「では今夜から、人の目のつかない所へ貼ったらいいでしょう」


・11 もじり表現

もじりというのは、文学作品、慣用句、ことわざなどの、元の言葉の調子はあまり変えずに、言葉を入れ替えて、おもしろみや風刺性を持たせることである。(中略)


巨人軍は永遠に不潔です


・12 現存化表現

昔のことや、実在しない世界のことや、現実実際にあることのように話すことによって、おかしみを生み出すことができる。


・13 不条理表現

不条理というのは、不合理なことた、理屈に合わないことだが、不条理なことがおかしみを生み出すことがある。ジョークの例を挙げる。

患者 「先生、僕のイビキはなおらないものでしょうか?何しろ自分のイビキで目が覚めちまうんです」

医者 「ハハア、では、ほかの部屋でおやすみになったらいいでしょう」


・14 意表を突く表現(中略)

小学校の生徒と先生の会話。
「先生、『ばら』って書ける?」と生徒が言うので、先生が「イヤー、書けないね」と言うと、「ボク、書けるよ」と言って生徒は平がなで「ばら」と書いた。


・15 擬人化表現


・16 下ネタがらみの表現(中略)

病室に診察に来た医者が、男の患者に「ヘタをすると右半身に麻痺が残るかもしれませんね」と言うと、患者はあわてて男の一番大事なところを左に寄せた。


・「起きなさい。学校に遅れますよ」
「だってぼく行きたくない。子どもたちはみんなひどい奴ばっかりだし、先生たちだってひどいんだ。家にいたいよ」
母親「そんなことをいってもね。お前はもう40だし、学校の校長じゃないか」


・「義男ちゃん、学校へ行きなさい」
「いやだ」
「いかなきゃだめよ」
「いやだ」
「どうしても行かなきゃだめよ、あんた校長先生なんだから」


・ありそうなことで、人があまり意識していないことを描く(中略)

だれもが経験し、だれもが考えていながら、それまでだれも表現することを思いつかなかったような事柄が、はじめて生き生きと表現されたとき、誌は最も感銘深いものになるという意味のことをポワロー(仏)もいっている。

※ポワロー(フランスの詩人)


・日本コトバの会(中略)

言語知識の向上と、言語能力を高めることを目的として運営されている非営利団体である。

※参考:http://www.ne.jp/asahi/kotoba/tomo/kotoba/niko.htm


・日本笑い学会(中略)

笑いに関する総合的・多角的研究を行い、笑いの文化的発展に寄与することを目的として設立された。

※参考:http://www.nwgk.jp/index.html


●書籍『ユーモアの秘策~笑いが生まれるメカニズム』より
葛西 文夫 著
角川学芸出版 (2011年3月初版)
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