このページは、書籍『ヒマワリはなぜ東を向くか』(滝本 敦 著、中央公論社)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・アメリカ、アイオワ州立大学のディットマー氏が三〇センチメートル四方、深さ五六センチメートルの植木鉢に一本のライムギを植えて四ヵ月育てたのち、その中にはこびっている根を一本一本ていねいに測定したところ、その全長は約六二〇キロメートルになり、これに根の表面に生えている小さな毛(根毛)を加えると、全長は実に約一万一二〇〇キロメートルにも達したという。六二〇キロメートルとは東京から兵庫県の西明石の先までの距離、一万一二〇〇キロメートルとはシベリア鉄道よりもはるかに長く、地球の三分の一周に近い長さである。
・雨後のタケノコ(中略)
竹博士として有名な上田弘一郎氏(京都大学名誉教授)によると、マダケのタケノコで一日に一二一センチメートル、モウソウチクのタケノコで一日に一一九センチメートルも伸長した例があるという(中略)
とくに、昼間の伸長は速く、一時間に八~一〇センチメートルも伸びることがある
・東を向いて開くヒマワリの花(中略)
ヒマワリの花を見てごらん。一日中同じ方向を向いているよ。ただし、花が開いていない若いヒマワリは、太陽を追って動くけどね
・「そうだよ。家の軒下に植えてあるヒマワリは、東西南北と無関係に、外側に向かって花をひらくのがふつうであり、これは植物が明るい方へ向く性質をもっているからです。何も障害物のない所に生えているヒマワリは必ず東を向いて花を開くはずだよ」
「そんな場所はめったにありません」
「だから日本ではなかなか気づかないのだろうね。ヨーロッパやアメリカの広い畑に植えられたヒマワリは、全部の花がみごとに同じ方を向いて咲くそうだ。(中略)」
・ヒマワリはアメリカ原産の植物であり、コロンブスがアメリカ大陸を発見したあと、スペイン人がヨーロッパに持ち帰り、これが世界中に広がったものといわれている。
・共通していることは、夜になると、西を向いていたヒマワリは間もなく立ち上がり始め、明けがた前にはすでに東を向いているということである。
・植木鉢に植えて野外においたヒマワリを、ある日の正午に一八〇度回転させ、これまで東を向いていた側が西を向くようにして、その後のヒマワリの動きを調べた。(中略)(中略)
一八〇度方向を変えたあとの数日間、ヒマワリは太陽の方向を無視して、あたかも自分がもとの位置にあったかのごとく動いたのだ。いいかえるならば、このヒマワリは毎日、朝は西を向き、夕方には東を向いていた。(中略)
しかしながら、数日後には太陽の動きを追うようになった。したがって、ヒマワリは本来太陽を追って動くものであるが、それが繰りかえされると、そのように動く“くせ”がつき、このくせを取り除くのに数日間を要するものであるらしい。
・若いヒマワリが東や西へ首を振るのは、茎の東面と西面の成長が交互に促進されることによるものであるから、茎が成長する能力を失えば、首を振ることができなくなるのは当然であろう。ヒマワリは開花することにはほぼ完全に成長を停止するので、そのために首を振ることができなくなるものと考えられる。
・たとえば、読者のうりの何人がホウレンソウに雄株と雌株のあることを知っているだろうか。ホウレンソウの花を見ることはめったにないし、花をつけていないホウレンソウを見て、雌雄を区別することも不可能であるから、知らないのがふつうであろう。
・アサガオの花はなぜ朝開く(中略)
アサガオの開花時刻が季節によって大きく変わる(中略)初夏のアサガオは、だいたい夜明けとともに開花するが、季節が進むにつれて開花時刻は早くなり、秋になると、花は夜中に開いてしまう。
・一般には、アサガオの花は日没後約一〇時間目に開くものだと考えてよさそうである。
・(※アサガオの)気温との関係を調べたところ、朝の気温が低い日ほど開花が早く、朝の気温が一度低いと、開花は約一五分間も早くなることがわかったのある。
●書籍『ヒマワリはなぜ東を向くか~植物の不思議な生活』より
滝本 敦 著
中央公論社 (1986年3月初版)
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