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日経MJの「第40回 日本の専門店調査」から「書籍・文具業の売上高ランキング」を紹介したい。
順位 |
企業名(本社) |
本社 |
決算月 |
売上高 |
前年比 |
経常利益 |
店舗数 |
1 |
紀伊國屋書店 |
東京 |
8月 |
109,806 |
▲2.8 |
430 |
63 |
2 |
ブックオフコーポレーション |
神奈川 |
3月 |
75,716 |
3.2 |
3,803 |
1,016 |
3 |
ジュンク堂書店 |
兵庫 |
1月 |
51,135 |
7.0 |
▲624 |
50 |
4 |
有隣堂 |
神奈川 |
8月 |
50,638 |
▲6.5 |
716 |
45 |
5 |
未来屋書店 |
千葉 |
2月 |
48,014 |
2.1 |
1,513 |
222 |
6 |
ヴィレッジヴァンガード |
愛知 |
5月 |
39,807 |
8.6 |
3,570 |
365 |
7 |
フタバ図書 |
広島 |
3月 |
37,072 |
▲3.7 |
860 |
65 |
8 |
文教堂 |
神奈川 |
8月 |
35,524 |
▲10.8 |
50 |
184 |
9 |
トップカルチャー |
新潟 |
10月 |
33,402 |
▲1.4 |
1,012 |
72 |
10 |
丸善書店 |
東京 |
1月 |
28,117 |
- |
▲146 |
34 |
11 |
三洋堂 |
愛知 |
3月 |
27,635 |
▲1.2 |
613 |
86 |
12 |
三省堂書店 |
東京 |
8月 |
27,552 |
▲2.5 |
78 |
35 |
13 |
リブロ |
東京 |
2月 |
23,472 |
▲5.2 |
- |
88 |
14 |
カルチェ・イケダ |
東京 |
9月 |
22,996 |
▲1.1 |
- |
95 |
15 |
精文館書店 |
愛知 |
6月 |
18,704 |
2.7 |
553 |
48 |
16 |
ニューコ・ワン |
熊本 |
3月 |
18,029 |
- |
- |
35 |
17 |
キクヤ図書販売 |
兵庫 |
6月 |
15,524 |
▲3.9 |
- |
29 |
18 |
くまざわ書店 |
神奈川 |
9月 |
14,234 |
3.4 |
- |
74 |
19 |
文真堂書店 |
群馬 |
6月 |
13,866 |
▲4.0 |
125 |
- |
20 |
オー・エンターテイメント |
大阪 |
2月 |
13,588 |
▲1.7 |
374 |
51 |
21 |
あおい書店 |
愛知 |
8月 |
12,911 |
▲7.4 |
10 |
40 |
22 |
すばる |
千葉 |
2月 |
11,684 |
▲4.0 |
150 |
31 |
23 |
京王書籍販売 |
東京 |
3月 |
10,703 |
▲1.7 |
- |
43 |
24 |
アシーネ |
東京 |
2月 |
9,676 |
0.5 |
- |
93 |
25 |
戸田書店 |
静岡 |
9月 |
9,183 |
12.0 |
108 |
37 |
26 |
四国明屋書店 |
愛媛 |
6月 |
6,663 |
- |
35 |
29 |
27 |
くまざわ |
東京 |
9月 |
3,605 |
0.7 |
- |
14 |
※単位百万円
※日経MJ 2012年7月 「第40回 日本の専門店調査」から作成
出版物以外の販売額が含まれている書店もあるので注意する。日経MJ新聞 (2012年7月掲載)の調査結果 4期連続売上減少した書店が 3件あるが、いずれ経営の在り方が顕在化してくるだろう。
前年比を見ると複合書店、もしくは新規書店出店があった書店のみがクリアしている状態で、経常利益も公表できず、大手チェーン書店が売上不振に陥っているのを見ると地方の書店は立地条件にもよるが厳しい経営を迫られているのは間違いない。
従来の出版ビジネスモデルは徐々に崩壊しているのが見えているが、何ら有効手段が立てられないのが今の現状である。生産年齢人口が益々減少して行き、買う人が減少すれば結果は悪い方にしか出てこないと考える。
書店数は 1997年の 22,279店をピークに下がり続け 2002年には 20,000店の大台を割り 2012年には 14,696店にまで減少した。この数字も実店舗数ではないため、実際は 11,000店舗前後にまで減少していると推測する。
一方で、書店個々の売場面積(出版物の売場だけではない)は増加しており、大手書店による店舗の大型化が政令都市・特例市を中心に進む傾向がうかがえる。しかし何時まで続くかは不透明である。
地方の有力書店は地域一番店への争いが進み、店舗間競争が激化したことで、資金不足が顕在化し、支払いに充てる資金を工面するため不振の既存店を廃業・撤退する必要性が生じている。これも委託制があるから出来ることである。
新規書店の出店への投資は昔と違い10年間では回収できない状況で、それは実際に購買する生産年齢人口減少(団塊の世代)をだれにも止められないからである。
JPO(※日本出版インフラセンター)の統計によると 100~ 299坪が 3,006店舗・ 300坪以上が 1,068店舗で内 1,000坪以上が 82店舗ある。中小出版社は 300坪以上の書店管理が重要で、それ以外は管理効率が悪くなると見なければならない。後は取次に任せるかネット書店に任せればいいことである。
書店数が減少することで、読者が出版物に触れる機会が少なくなり、出版物の販売部数が減少するという悪循環が生じていると出版業界関係者は言い切る。しかし、読者は書店で購入できなくても出版物を入手する方法は他にいくらでもあり、困ってはいない事の認識が出版業界関係者には不足している。「書店数が減少しても、読者は困っていない」。これは逆にいえば必要性が薄いから本屋は減っていっていると言える。
最近は、生産年齢人口の減少で各業界に変化が見られるが、小売業界が影響を受けるのは各都市の「人口総数」ではなく「人口構成」だということである。いくら人口総数が増え続けても、老人人口だけが増え続けていては、老人コストばかり増えて、生産性が全くない状況になっていく。結果、限界部落が地方都市にも出現してくるだろう。
各地方都市の人口構成の中で老人人口比率が 30%を超えてくると各小売業の売上が大幅に減少し、特に食料品は年を取るにつれて摂取量が半分になるので消費の少ない老人天国商店街の出現があると感じている。
書店を取り巻く環境は絶望的である。巷では電子書籍の成長が噂されているが、電子書籍があってもなくても書店経営としてのビジネスは成り立たなくなるのは遠くないと見ている。それでも書店経営を継続させたいとの思いのある経営者には、ポイントカードの導入や中古本の併売・時限再販・複合商品の導入・出版社直取引等、新たな手法も考えられると思うが決断できるかどうかがポイントになるだろう。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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