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2011年販売ルート別推定出版物販売額を紹介したい。
販売ルート |
推定販売額 |
前年比(%) |
構成比 |
書店ルート |
1,358,596 |
▲2.3 |
73.1 |
CVSルート |
261,737 |
▲8.5 |
14.1 |
インターネットルート |
137,100 |
6.7 |
7.4 |
駅売店ルート |
45,824 |
▲8.0 |
2.5 |
大学生協ルート |
38,000 |
▲4.5 |
2.0 |
スタンドルート |
17,632 |
▲8.6 |
0.9 |
合計 |
1,858,889 |
▲2.9 |
100 |
※単位:百万円
※日販 書店経営相談センター 調べ
2012年は統計が出ていないが更に下がっていることは間違いない。デフレスパイラルに突入し、所得も低くなり出版物を購入している余裕はなくなって来た。出版社各社もルートの選択を考える時期に来ている。更に楽天リサーチによると1,200人調査結果1ヶ月に書籍・雑誌を読まない人が42.5%になっていることが分かった。
書店を経由して販売された推定販売額。図書館の推定販売額・教科書推定販売額も一部含む。書店の販売額は15年間下がり続けている(10年間▲270,348百万円)。消費税増税が導入される2014年4月以降は更に売上額は下がる。大手書店は書籍のPB商品を考えているようだが、取次・書店ルートには載せないで独自のルートを使うだろう。
コンビニエンスストアを経由して販売された販売額。10年以上販売額は下がり続けているが店舗数は増加中。(10年間▲227,539百万)CVS店内の雑誌は客寄せパンダになっている可能性も否定できない。このままでは、取次の配送コストは限界にきているので、いずれ出版社にその負担が来る可能性が高い。
ネット専業書店を経由して販売された額。CD・DVD・カードの販売額は除く。アマゾンジャパン・楽天ブックス・セブンネット・エルパカブックスが上位。
駅構内売店を経由して販売された雑誌・書籍の販売額。通勤・通学の人口が減少しているので、販売額減少は当然であり、これからも増加は考えられない。全ての鉄道の構内売店に影響している。団塊の世代の退職が影響してきたのが2008年以降で2012年から年金生活者が拡大中。
全国大学生活協同組合連合会を経由して販売された額。大学生協に参加してない大学は除く。生活資金不足のため学生が本を買わないのと全国的に見ると学生数が少なくなっている。今、大学を選ばなければ誰でもが入学できる状況にあり、大学生全てが本を読むとは限らない。
スタンド販売店を経由して販売された雑誌の販売額。街中にある小売の店先に出しているスタンドは小売店が少なくなると共に消滅する運命。
2011年も前年比8%以上マイナスのルートは「CVSルート」「駅売店ルート」「スタンドルート」となる。10年以上前年比をクリアしていない3ルートは未だに底が見えない。雑誌の不振が分かる見本みたいなもので回復は難しいと考える。
統計を取り始めてから前年比をクリアしているのは「ネット書店ルートのみ」でアマゾンがダントツの売上を占めている。アマゾンへの納品に取次を経由しない出版社が1500社近くになったが、販売額は不明でインターネットルートにも計上されていない。アマゾンの電子書籍配信も始まるので、直仕入れは増えていくだろう。中古本の売上が下がり始め、運転資金が中古衣料品や中古スポーツ用具に回り始めている。
電子書籍の販売額は、電子コミックを除くと点数増加の割に販売額は増加していない。しかし、仮に年末から来年にかけて電子書籍端末機が売れるとなれば、状況が一変し、新刊書店の経営に厳しさを増すと感じるも、消費者が決めるのであってその予測は難しい。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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