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和田 誠 氏 書籍『装丁物語』(白水社 刊)より

このページは、書籍『装丁物語』(和田 誠 著、白水社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・初めて頼むにくる編集者の中にはスケッチを出してくれ、A案B案を示せとか言う人もいますが、これは困ります。(中略)アイデアが二つ浮かんだ時どちらかにするか、そんなことは自分で決めいたいとぼくは思っています。(中略)Aという答とBという答を書いて、合っている方に丸をつけてくれ、っているのは虫がよすぎる。


・装丁は内容を正確に伝えるものでないといけないと思っている。固い本は固く、地味な本は地味に装丁したい。そうでないと看板に偽りがあることになるし、この装丁者は内容を理解してないと言われかねません。


・本ができると丸谷(※才一)さんは手紙で感想を書いて下さる。それが嬉しかったですね。著者から装丁の令状をいただくことは皆無ではありませんが、たくさんあることでもないんです。


・戸田奈津子さんの『字幕の中に人生』(94年・白水社)と言う本は、現代映画の字幕翻訳の第一人者である戸田さんのエッセイ集で字幕の話が中心です。


戸田さんの先生にあたる清水俊二さんの『映画字幕五十年』(85年・早川書房)の装丁もしましたが、あの時はぼくの描き文字を使いました。


・昌文社の本は主に平野甲賀さんのデザインで、昌文社らしいムードの統一がされていいんですね。


・カヴァーはアート紙を指定することが多いです。アート紙は印刷インクと相性がいいといいますか、いい発色が得られる。


・文庫本というのは単行本と中身を同じでも、性質の違うものですね。もともとはできるだけ本を安く作って安い値段をつけて、たくさんの人に読まれるようにする、という目的で作られた形式ですから、美しさとか洒落っけよりも実質を貴ぶものでした。したがってカヴァーなんてなかったんです。同じデザインの表紙で、書名、著者名の文字だけを刷りかえる、というスタイルのものだったんですね。


・同じ出版社でも単行本と文庫では担当者が違うことはよくあります。自分が新たに作る本なのだから、前と似たようなものじゃない方がいい、と考えることもあるでしょう。さらに単行本と文庫で出版社が違うということもあります。


・たいていの本好きは、内容も外側も一緒になった本の総体が好きだと思うんです。だからブックデザインがあるんだし、きれいな装丁が喜ばれるんですね。


・図書設計家協会というのは装丁家の集まりです。

※参考:http://www.tosho-sekkei.gr.jp/


●書籍『装丁物語』より
和田 誠 著
白水社 (1997年12月初版)
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