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岸本 葉子 氏 書籍『エッセイ脳~800字から始まる文章読本』(中央公論新社 刊)より

このページは、書籍『エッセイ脳~800字から始まる文章読本』(岸本 葉子 著、中央公論新社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・エッセイの依頼は、400字詰めで何枚程度といった形で、いただくことが多いです。二枚から四枚のケースが大半です。


・エッセイの基本要件(中略)

他者が読みたくなるように>自分が書きたいように

これが大前提です。


・書き出しの一行で引きつけよ、とよく言われます。エッセイの選考委員は、書き出しの一行でもってはねてしまうんだよ、と。


・書き出しの一行に意外性を持たせて、つかみを作る。まれには成功するかもしれません。が、そっぽを向かれる危険性も合わせ持っています。


・言葉の選び方

①正確かどうか=言葉と(それが表す)対象との関係を検討する。
②文法上、整合性がとれているかどうか=言葉と(それが受けたり係ったりする)他の言葉との関係を検討する。
③語感がふさわしいか=言葉と(それが含まれる)エッセイ全体との関係を検討する。


・文末の否定が続くと、読者はなんとなく、突っぱねられる感じがする。内容は、読者を突っぱねるものではなくても、です。(中略)

「言えない」を「言い難いものがある」と無理やり肯定にしたり、「のだ」をくっつけて「言えないのだ」とした


・比喩は、多過ぎると、読み手がそれに振り回されてしまって、話の筋道を追いにくくなる。ですので、たくさん使うことは慎む。


・語感がふさわしいかどうかを検討する際、頭に置くことを。七つ挙げました。

①否定表現の効果
②(読み手の微妙な)心理への配慮
③常套句の効果
④硬軟の配合
⑤重複を避ける
⑥文末の処理
⑦比喩、(付随して)擬態語、擬音語


・まったく違う読み方をされることがあるのでしょう。そのとき、相手の読解力の不足のせいにしてはならない。一人がそう読んだなら、自分に反応が返ってこないところへ、その文章が出れば、同じ読み方をする人が、十人、百人といる。そのように読まれる可能性が、自分の文章に内包されているということです。


●書籍『エッセイ脳~800字から始まる文章読本』より
岸本 葉子 著
中央公論新社 (2010年4月初版)
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