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[ 出版業界について ]

文芸書における刊行状況 10年間の推移  寄稿:冬狐洞隆也氏

文芸書(単行本)新刊発行データを紹介したい。
 

新刊発行点数
新刊点数
前年比
推定発行
部数
(万冊)
推定
発行
部数
前年比
推定
発行
金額
(百万)
推定
発行
金額
前年比
平均
単価
2002
3,088
8.2
2,060
2.0
32,303
3.2
1,568
2003
3,031
▲1.8
2,012
▲2.3
31,025
▲4.0
1,542
2004
3,059
0.9
2,013
0.0
30,487
▲1.7
1,515
2005
3,008
▲1.7
1,949
▲3.2
29,273
▲4.0
1,502
2006
2,964
▲1.5
2,081
6.8
30,665
4.8
1,474
2007
3,211
8.3
2,429
16.7
33,941
10.7
1,397
2008
3,281
2.2
2,344
▲3.5
33,603
▲1.0
1,433
2009
3,186
▲2.9
1,996
▲14.9
29,298
▲12.8
1,468
2010
3,053
▲4.2
2,043
2.4
29,399
0.3
1,439
2011
3,138
2.8
1,809
▲11.4
25,443
▲13.5
1,406

creative-writing.jpg

※出典:出版科学研究所より作成


「文芸書」ここ10年の特徴と傾向

10年間を比較すると発行点数は増え、部数は減少、発行金額も減り、平均単価も落ちている。発行点数は増えているのに売り上げが落ちているという典型的なパターンだ。2012年の数字は出てないが、ノンフィクションと小説の売れ行きが低迷し、1500円前後の価格設定の単行本が厳しくなってきたと言われている。


「文芸書」における回転率

日販の書店経営指標によると、文芸書回転率の全国平均は2.6回転。立地別・規模別の違いはあるが、それでも最高は4.6回転となっている。日販によると文芸書に限らないが書店店内で年間1回転もしない不良在庫が約4割あるとのこと。


常に棚をチェックしないと死筋商品を持つばかりでなく、不良在庫があるため新たな商品が置けなくなる可能性がある。他業種では考えられない事である。


読者は小説を文庫で、ノンフィクションは新書で読むと言うように変わってきているようだ。しかし、書店の売り場構成も変化していくのだろろうか。いくら単価の低い文庫・新書が売れても書店の売上にはそれほど寄与せず、厳しい書店経営を強いられていくのではないかと考える。


読者の中には書店で単行本を買わずに、新古本書店で購入したり、図書館で借りるという傾向も進んでいる。読者は本の入手方法が新刊書店だけではないということをよく知っている。人口構成比率も従来からの変化が激しく少子化により将来の読者も減っていくので文芸書の単行本の売上も先が見えなくなってきた。


寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏