このページは、書籍『うつ病~正しく知って治す』(野村 総一郎 著、NHK出版 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・注意したいうつ病の症状(中略)
●自己否定の考えから抜け出せない
悲観的な方向にばかり考えてしまう。現実には決してそんなことはないのに、破産してしまうと思い込む「貧困妄想」、“世間に顔向けできない”と考える「罪業妄想」などが現れることもある。(中略)
●やたらと自分を責める
まったく自分に関係ない事柄でも「自分が悪い」「迷惑ばかりかけてすまない」などと言って、ひたすら自分を責める言動が出てくる。
・うつ病で起こしやすい性格で代表的なものが「まじめで几帳面」「コツコツと努力を惜しまない」という傾向です。これは専門的には「メランコリー親和性性格」と言われるものです。(中略)
→大うつ病に多い
・高齢者のうつ病は、認知症と紛らわしいことも少なくありません。認知症だと思っていたらうつ病だった、あるいは逆だった、というケースが多くみられます。両方が合併していることもあります。
・うつ病の場合は憂うつ感などの「気分の変化」がありますが、認知症では目立ちません。認知症が進んでいる患者さんでは、もの忘れをしている自覚がありませんが、うつ病では、もの忘れの自覚があります。そして、そのことがまた気持ちを落ち込ませます。
・認知症があると、脳の変化も関係して、うつ病を発症しやすくなります。また、認知症を自覚したとき、そのショックからうつ病を発症することもあります。
・認知症とうつ病の違い(中略)
●うつ病では悲哀感が強い
うつ病の場合、体の症状が苦痛だと訴えるなど、悲哀感、抑うつ感が強い
●アルツハイマー型認知症では、無気力感が強い
・血液検査、尿検査、心電図、胸部エックス線検査などの一般的な検査のほか、症状などから必要と思われる検査を行って、ほかの病気がないかどうかをチェックします。
・薬以外の治療(中略)
主に行なわれるのは、脳に電気刺激を与える「通電療法」「経頭蓋磁気刺激療法」です
・有酸素運動を楽しむ
●“1日30分”を習慣にする
●コースを工夫する
●いろいろなものを見たり、聞いたりしながら歩く
・うつ病を診断する際の基本となっているのは、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-Ⅳです。この診断基準によれば、9つの症状のうち、5つ以上の症状が2週間以上、ほぼ毎日続いている場合に、うつ病と診断されることになっています。
・うつ病と間違われやすい病気
●総合失調症
●内分泌疾患(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、糖尿病など)
●がん
●パーキンソン病
●脳血管障害
・付き沿う人は患者さんの代わりに話さずふだんの様子などを伝える(中略)
診察では患者さん自身への面接が基本となることを忘れないでください。
・できたことに気づかせる
うつ病の患者さんは、できなくなったことばかり目がいきがちで、回復して、再びできるようになったことにはなかなか気づきません。
・通電療法と経頭蓋磁気刺激療を比べると・・・・・・
経頭蓋磁気刺激療
メリット
●通電療法より負担が少ない
●麻酔の必要がない
デメリット
●あまり普及していない
●方法がまだ確立していない
まだ研究中の治慮法だが、メリットが大きい。
通電療法
メリット
●効果が高い
デメリット
●入院などの負担、手間が大きい
●再発予防効果が低い
通電療法は即効性が高いため、自殺の危険性が高いときなどに行なわれるケースが多い。
・最初に目標を決める(中略)
単に「うつ病を治したい」などの漠然としたものよりも、「よく眠れるようになったら旅行に行く」(中略)など、具体的なものにします。
・1日常活動表をつける
・ 死にたいと言われたときの対応のしかた
1 ゆっくり聞く
問いただしたりせず、できるだけ落ち着いて本人の話を聞く。(中略)
2 「つらいんだね」など気持ちを受け取ったことを伝える
「指示」ではなく「支持」を
「こうすれば」などと指示をしたり、誤りを指摘しても意味はない。まずは本人の気持ちを受け止め、「サポートする」ことを伝えよう。
3 「それはうつ病のせいだ」ときちんと伝える
今の状態はうつ病の症状で、治療すれば改善できると伝える。
・「死にたい」と口にするのは、“そのくらいつらい気持ちなのだ”ということを伝えようとするサインでもあるのです。本人にとってが重要な話なので、話を聞くことが大切です。
●書籍『うつ病~正しく知って治す』より
野村 総一郎 著
NHK出版 (2008年2月初版)
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