このページは、書籍『社長! 「経理」がわからないと、あなたの会社潰れますよ!』(井ノ上 陽一 著、ダイヤモンド社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・経理は「経営管理」の略称であり、貴重な財産を生む出すものです。業務を分担することはあっても、丸ごと人任せにしてはいけません。
・経理担当者の仕事は、3ステップに分かれる(中略)
1つ目は「記憶する」。(中略)
2つ目は「分析する」。(中略)
1つ目は「助言する」。(中略)
経理担当者は、(中略)ほとんどの場合、1つ目のステップ、「記録する」で終わっているのです。その理由は4つあります。(中略)
①経理で必要な簿記では、「記録する」ことしか習いません。(中略)
②「分析する」「助言する」をやりたくても。「記録する」ことで精一杯な場合も多くあります。(中略)
③経理担当者には、コミュニケーションを苦手とする方は多い印象を受けます。(中略)
④決算書を作り、税金を計算するだけなら、「記録する」までで十分なのです。「分析」や「助言」は会社のためにやることであって、税金の計算には必要ありません。
・経理担当者がやるべき3つの仕事
①会社のお金の出入りを記録し、決算書を作る(中略)
②記録した数字を分析し、異常値などを調べる(中略)
③分析の結果を社長や経営陣に報告 助言
・経理担当者にも苦手な分野があるのです。例えば専門分野の会計(中略)
●経営分析:会社の数字から、経営を判断する
●決算予測:決算時の数値を予測する(中略)
●税金:税金の計算方法、税金を減らす方法を提案する
・経理担当者に対する3つの誤解
①習っていないこともある
②「ITが得意」というわけではない
③経営をしたことがない
・売上と経理担当者の適正人数
売上高 適正人数
~1億円 0~1人
~5億円 1~2人
~10億円 2~3人
10億円~ 3人~
明らかに多い場合は見直しを!
・会社経営を支える数字は3つあります。(中略)
①お金
②会計
③税金
・会社の業績を表すものとして、主にB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)があります。
・P/Lだけなら、いくらでもごまかせるわけです。P/Lだけを見ても会社の真実は見えません。(中略)つまりB/Sにこそ、会社の本当の力が現れるのです。
・B/Sは、会社の財政状態を表すもので、主に次の4つの要素が載ったものだと理解して下さい。
①お金(中略)
現金、または預金を指します。
②将来お金になる可能性があるもの(中略)
売上代金でまだ回収していないもの:売掛金
過去に仕入れた商品でまだ売れてないもの:商品(中略)
③将来お金が減る可能性があるもの(中略)
仕入代金でまだ支払っていないもの:買掛金(中略)
④元手
資本金(中略)これまでの利益:利益剰余金
・B/Sを見れば、これからのお金がどのように増減するかがわかります。(中略)将来お金になるもの(中略)将来お金が減るもの」が重要です。
・P/Lは1事業年度の売上高、費用、利益などを表したものです。つまり、過去・現在の数字しか読みとれません。一方、B/Sは過去・現在に加えて未来の数字も読みとれます。会社の命綱である資金繰りの予定を立てるには、正しいB/Sが欠かせません。
・P/Lとは、「Proft(利益) and Loss(損失)」の略で、その名の通り、会社の利益(又は損失)を表します。P/Lの基本構造は、「収益-費用=利益」というものです。
・P/Lには5つの利益が登場します。(中略)
①売上総利益=粗利とも呼ばれ、最初に出てくる重要な利益
②営業利益=粗利から家賃、人件費などを引いたもの
③経常利益=営業利益に財務、投資の要素を加味したもの
④税引前当期純利益=経常利益に特別な損失、利益を加味したもの
⑤当期純利益=税引前当期利益から法人税などを引いたもの(中略)
最も重要なのは経常利益です。
・勘定科目に「雑費」は使わない
便利だけど、明細がわからなくなる
・わかりにくい勘定科目の攻略法(中略)
●法廷福利費→社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険料、労働保険料等)の会社負担分
●租税公課→印紙税、自動車税、固定資産税などの合計
●法人税、住民税および事業税等→中間申告の税金(法人税、都道府県民税、市町村民税、事業税等)、確定申告の税金(今期分で来期払う分)※仮払金等の別の科目にある場合もあります。
●仮払消費税→経費に関する消費税で、売上に関する消費税(仮受消費税)と通算して未払消費税にします。例:仮払消費税100、仮受消費税500→未払消費税400
●預り金→給料を支払ったときに天引きした源泉徴収税、住民税、社会保険料の従業員負担分など
・時間の使い方をうまくする3つのコツ
①時間には限りがあることを強く意識(中略)
②時間を制限する(中略)
③時間を記録する
・「利益につながらないものへの時間投資」が、結局は、利益を増やすことにつながります。時間と利益(お金)の両方の視点が欠かせません。
・お金の流れを止める2大要素とは?
いつまでたっても資金繰りが厳しい
儲かっているはずなのにお金が残らない
↓
こんなことを感じたら
●売掛金 → 回収してはじめてお金に変わる
→ 未回収がないか
→ 回収条件が妥当か
●在庫 → 売れない限りお金にならない
→ 在庫管理が適切か
→ 不良在庫がないか
この2つをしっかりチェック!
・資金繰りを良くする3つの秘訣(中略)
入金のサイトはできるだけ短く(当月、翌月など)、支払いのサイトはできるだけ長く(翌月、翌々月など)します。
・お金が不足してきたときにどの使い道を削るかも考えておくべきです。削る順番は次のように考えて下さい。
①役員報酬
②経費
③社会保険料、税金
④借入金
⑤仕入金、従業員の給料
・ムダ遣い(中略)
例えば、保守料、顧問料、購読料などがその代表です。
・減価償却(中略)
一定期間に一定額を費用にする定額法。(中略)一定期間で最初多くの金額を費用にし、徐々にその費用が減っていく定率法。トータルの費用は同じですが、定率法のほうが定額法よりも早く費用化することができます。
・社会保険料とは次の5つを指します(中略)
①健康保険料→病気やケガの際の診療費にあてられます。
②介護保険料→介護保険料にあてられます。
③厚生年金保険料→年金の積み立てです。
④労災保険料→仕事中のケガや病気に対する保険です。
⑤雇用保険料→失業手当や育児休業手当に関する保険です。
・よくいただく質問として、「給料を○○円にしたら、どのくらい保険料がかかりますか?」というものがあります。ざっくり計算するならば、給料などの金額(通勤費を加算)の約13%が給料から差し引く個人負担分の保険料であり、約14%が会社負担分の保険料です。会社視点で考えた場合、「給料+給料の約14%」が出費になります。
・社会保険料の観点からは、昇給などは7月にしたほうがいいといえます。また、この給与には残業代も含まれますので、「4~6月は残業しないほうがいい」という噂話は本当のことです。
・社会保険料を節約する5つの方法(中略)
①アウトソーシングを増やす(中略)
②月末退社、月末入社を避ける(中略)
③給料を抑えて賞与を増やす(中略)
④手当を一時金に(中略)
⑤計算のしくみを理解して活用
・労働分配率(中略)
高収益企業を目指すのであれば、やはり役員報酬を含めて50%を目指しましょう。
・経費にまるわる9つのウソ(中略)
①領収書があれば何でも経費に→領収書の内容によります。
②領収書をなくすと経費にはできない→そうとは限りません、ただし、数が多いと怪しまれるでしょう。(中略)
⑨支払わないと経費にならない→支払ってなくても、請求書などにより支払いが確定していれば経費になります。ただし、モノの場合は納品され使っていること、サービスの場合はそのサービスが提供されていることが原則として求めれます。
・ある行為を行うだけで、税金が増える可能性があります。次のような行為は特別な理由がなければやらないようにしましょう。
①資本金を増やす
資本金が1000万円超になると、住民税(都道府県民税、市町村民税)などが増えます。さらに、資本金が1億円超になると、税金上のとり扱いが変わります。(中略)
②役員報酬を期中に上げる
上げた分は経費として認められません(事業年度開始から3カ月以内なら変更可)。
③役員報酬を期中に下げる(中略)
④役員にボーナスを出す(中略)
⑤配当をする(中略)
⑥600万円以上交際費を使う(中略)
⑦無理な節税をする
・節税策(中略)
退職金を出して節税(中略)
退職金の金額は退職金規定に定める必要があります。「退職時の報酬月額×在籍年数×3」とすることが多いです。
・会社と個人、お金はどちらに残せばいいのでしょうか。税金面から考えてみましょう。(中略)
会社は、所得に対しておおむね25~40%の税金がかかります。
個人は、所得に対しておおむね15~50%という税率です。しかも給料に関する税金は、手厚く優遇されています。(中略)
ある一定の金額までは個人に給料を支払ったほうが有利ですが、どこかで会社が有利となる分岐点があるはずです。おおむね年間1200万円、月100万円くらいまでが、社長個人に給料を支払ったほうが全体の税金は少なくなると考えて下さい。
●書籍『社長! 「経理」がわからないと、あなたの会社潰れますよ!』より
井ノ上 陽一 著
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