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豊崎 由美 氏 書籍『ニッポンの書評』(光文社 刊)より

このページは、書籍『ニッポンの書評』(豊崎 由美 著、光文社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・面白い書評はあっても正しい書評なんてない。それが自分のブックレビューを書いたり読んだりする際の基本スタンスなんです。いや、正直いえばかつてありました、良い書評の基本が。でも、(中略)大勢の書評家の皆さんの書評観をうががうちに、自分の基準なんてどんどんどうでもよくなっていって


・わたしはよく小説を大八車にたとえます。小説を乗せた大八車の両輪を担うのが作家と批評家で、前で車を引っ張るのが編集者(出版社)。そして書評家はそれを後ろから押す役目を担っていると思っているのです。


・わたしは書評を書く時、いつの指定枚数の倍以上の分量の原稿を書くようにしています。そこから文章を削っていくわけですが、この時、真っ先に排除するのは自分にまつわる部分です。エッセイ的な自分語りの記述を削り、それでもまだ分量オーバーな場合は「自分はこんな面白い文章を書けます」的な遊びの部分(中略)自慢したい情報を削除。


・今もかつても変わらないわたしの書評観を挙げます。

①自分の知恵や頭の良さをひけらすために、対象書籍を利用するような「オレ様」書評は品性下劣。

②贈与としての書評は読者の信頼を失うので自殺行為。

③書評は読者に向かって書かれなければならない。


・書評の文字数(中略)

もっとも本の売上げに影響があるといわれている「朝日新聞」が一二六〇字×一本、七二五字×五本、五三三字×三本と、数打ちゃ当たるとでもいいたいかのよう。

「日本経済新聞」は八五〇字×六本、に、無署名の五五〇字レビューが三本と“経済的”紙面になっております。

七七〇字×六本の「読売新聞」と、八五〇字×四本、三二〇字×四本の「産経新聞」にもがっかり。そんなスペース出し惜しみ気味の新聞のなかにあって、「毎日新聞」の書評文化に向ける愛情の深さは感涙ものです。一三三〇~一九五〇字×六本、三二〇字が三本。かなり読みでのある書評欄になっているんです。


・トヨザキ流書評の書き方(中略)

少しでも気になったら傍線を引いたり、カギカッコで囲んでおく。そして、付箋をつけた箇所を拾って読み返す時に、その中から「ここぞ!」という箇所を選び出せばよいのです。


・わたしが書評を書く時、一番気をつかうのでは書き出しの部分です。(中略)「読者は最初の二、三行でその記事を読むかどうか判断する」ことを編集者から徹底的に仕込まれた(中略)読んで面白いものでなくてはならない


・対談 (中略)
豊崎由美×大澤聡

大澤  日本の場合、雑誌にせよ新聞にせよ、書評の分量は八〇〇字から一二〇〇字のあいだが主流。海外の状況をかんがみるに圧倒的に少ない。(中略)


・豊崎  雑誌や新聞にはお金を払うけど、なかの記事ひとつひとつに払っている意識はない。


●書籍『ニッポンの書評』より
豊崎 由美 著
光文社 (2011/4/15)
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