このページは、書籍『ゲーミフィケーション~<ゲーム>がビジネスを変える』(井上 明人 著、NHK出版 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・ゲーミフィケーションはゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するものとして一般には定義される。(中略)
ウォーキング、ジョギング、ダイエット、健康維持、旅行、食事、プロジェクトマネジメント、営業、会議、学習、執筆作業、読書、消費、節電、貯金、目覚まし、禁煙、車の運転・・・あらゆるものがゲーミフィケーションの対象となる。
・選挙にネットを活かすという手法は二〇〇四年のハワード・ディーンの民主党大統領予備選での活動が原型となっている。ハワード・ディーンは選挙期間中に四〇〇〇万ドルの献金を集めたが、それらは大口の献金によるものというよりも、小口のネット献金だった。一人当たりの平均献金額は八〇ドル。
・オバマは「ソーシャル」の力で勝利したのだろうか?(中略)
「マイバラクオバマ・ドットコム」をもう少し詳しく見てみよう。(中略)
その人が活動したことの度合いを示す指標が現れる。そのなかには、現在のあなたのレベルは★3で、次のレベルは★4です。現在のあなたのポイントは何点です、といったステータスが表示されている。(中略)
たとえば、献金をしかたか、電話をかけたか、戸別訪問をしたか、誰かをマイバラクオバマ・ドットコムに誘う電子メールを出したか。そういうことが、マイバラクオバマ・ドットコムのなかでデータとして集積され、支援者はマイバラクオバマ・ドットコムのなかでレベルを上げていくことができるのだ。
・なぜ、ゲームはアクティブ率を伸ばすことに貢献できるのか。第一の理由は、ゲームがコンピュータと結びついたことによって「コンピュータが一人遊びの相手をしてくれる」ということが生まれたからだ。(中略)
第二の理由は、「一度」で終わらないゲームというメディアの特徴にある。(中略)連続して、少しずつうまくなっていったり、キャラクターが成長していく。その過程こそがたのしいのだ。
・現在、ゲーミフィケーションがこれほど話題になっている大きな理由は、こうした顧客(ユーザー)に製品やサービスを繰り返し利用してもらい、関係性を維持する(アクティブ率を高める)ことに大きく貢献する可能性が見えたからだ。
・ゲーミフィケーションは明日からでもはじめることができる------カルマ・カップ(中略)
アメリカでは、一年間に二三〇億の紙コップが使われ、そのために九四〇万の木が切られているという。(中略)
この紙コップの廃棄量を減らすための解決策を募るため、二〇一〇年、スターバックスがパートナーとなり一般からアイデアを公募した。優勝賞金は二万ドル。(中略)
アイデアの方向性は、いくつかあった。一つはカップの素材を紙よりも、もっと環境負荷の低い素材に変えるような提案。(中略)他にはたとえば、携帯しやすいようなマイカップをつくってはどうかという案など(中略)
しかし、アイデアコンペに優勝したのは、新しいコップを考えるものではなく、利用者の行動を変えるため「ゲーム」だった。
そのアイデアの名前は「カルマ・カップ」。このサービスは、誰でもすぐにはじめることができる。手順は、次のようなものだ。
1.まず黒板を店頭に置く。
2.マイカップを使った人がいたら、黒板にチェックをしていく。
3.その数が一〇人になったら、一〇人目のキリ番となった人は飲み物が無料に。
4.さらに、二〇人目のキリ番の人も無料に。
5.三〇番目の人も同様に無料に・・・という形で一〇人ごとに無料にしていく。
「カルマ・カップ」の仕掛けはこれだけだ。
※参考:ゲーミフィケーション情報サイトに詳細が書かれています。
・実は、グーデンデルグよりも三〇〇〇年ほど昔、最古の「印刷」は発見されている。それは、およそ紀元前一七世紀ごろのものと見られている。円盤状の粘土に、スタンプのようなものを使って二四一個の象形文字が丁寧に、刻印されている。(中略)「ファイストスの円盤」
・「測る」テクノロジーはそれがあるだけで、ゲームを立ち上げることができる。たとえば、それももっともわかりやすい例はギネス・ワールド・レコーズ社の存在だろう。
・ゲーミフィケーションの着想を得るための方法は大きく二つに分けられる。第一は、すでにある行動をべースにアイデアを発想する方法だ。すなわち、既存の業務や行っていることのなかに、いかにしてゲームを持ち込むかということだ。ダイエットや禁煙、あるいは顧客や従業員とのエンゲージメントなどのなかにゲームの要素をどう持ち込めなよいのかを考える。
第二は、新しくゲーミフィケーションを立ち上げる方法だ。スカベンジャーやフォースクエア、あるいは「#denkimeter」のような新しいゲーミフィケーションのサービスを立ち上げることも考えられる。
・「ゲームプレイワーキング」という言葉を提唱する人もいる。ゲームをしていると思っていたらいつの間にか交通整理をしている。ゲームをしながらお金が手に入る。そういった世界が、五〇年後、一〇〇年後に訪れるのではないかという予言だ。
●書籍『ゲーミフィケーション~<ゲーム>がビジネスを変える』より
井上 明人 著
NHK出版 (2012年1月初版)
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