このページは、書籍『「本屋さん」読本』(本の雑誌社 編集、本の雑誌社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・書店員がキレイな仕事と思っている人には、なぜエプロンと軍手が大歓迎されるのかもわからないだろうが、結構手が汚れる仕事なのである。しかも紙は手を傷つけることが多いので、この二つは必需品。
・書店のBGMを考える-------編集部
BGMを流している書店は多い。しかも、ここ数年で、どんどん多様化しているように思う。町の小さな書店では、ロックにジャズに歌謡曲に民族音楽とジャンル入り乱れた音楽が、大音量で鳴り渡っていることさえある。だが、演歌を流している店はなぜか少ない。(中略)
アンケートの山の中から、一店だけだが、(中略)「立ち読み客が減るから」とある。
・開店第1日目の売上がその後のすべてを決定する。なぜか開店日の売上の半分が、日々の売上高となるのだ。
・文芸書は売れないという。売れないから書店でも置かれなくなる。すると見かける機会が少なくなので読者の関心が育たない。悪循環なのだ。
・注文品の遅いことがよく問題になるが、原因は1つではない。注文短冊と注文品が読書の元に届くまでには30人以上の人の手を渡っているので、人的なミスは当然有り得る。
杉原芳雄(取次店勤務)
・1日に100点以上も新製品が誕生している業界なんで他にはないので、これに雑誌やコミックが加わると、その点数たるやまさに膨大なものになる。
杉原芳雄(取次店勤務)
・報奨金とは何か(中略)
たとえばサンリオのように、定価500円以下は1枚につき2円、501~1000円までが3円、2000円までが5円で2001円以上が10円、というようにスライドしていくものもある。
・報奨金とは何か(中略)
某書店は、東京の郊外の駅の近くに立地し、売場面積が170坪(560平方メートル)である。(中略)
この書店では、1位角川書店から33位の潮出版社までで17万960冊を売り、それに対応する報奨金は、31万3750円であった。(中略)
しかもこれは概算であり、現実にはもっと多いはずだ。(売上上位33文庫だけの集計だからね)
さらに、この31万円は文庫だけの報酬金で、実際には他の一部の教科書や単行本にも付いているので、数字はより大きくなる。
・昭和59年に、取次店の栗田販売から出された『郊外型書店出店マニュアル』という本
・閉店の仕方
本屋さんはどうやってその日の仕事を終るのか。(中略)
今回のアンケートによると、店内放送のテープが一番多くあって28.8パーセント。言葉をかける26.7パーセント。音楽で知らせる15パーセント。(中略)
閉店時に音楽を流す書店の、曲はどんな曲なのだろうか。想像どおりというか当然なのか、圧倒的第一位は、やっぱり“蛍の光”で55.5パーセント。第二位は、ドーンと下がって5.9パーセントの“家路”。
・こんなものが欲しい どうせくれるなら・・・(中略)
事務用品、文房具、軍手、エプロン、雑誌袋、ブックカバーなど消耗品は、かなり希望が多い。
・書店の主人というのは大まかに分類すると二通りあり、一つは親分肌義理人情流激情熱血漢質実剛健突破型知識人である。(中略)もう一つは冷静沈着肌合理主義的理想家近代派篤実温厚誠実微笑悠々自適知識人である。
嵐山光三郎
・書店七原則
いっさいの書店は偉大である。
いっさいの書店に出版の本質がある。
いっさいの書店がへそ曲がりである。
いっさいの書店は重労働である。
いっさいの書店が知識人である。
いっさいの書店は感情的である。
いっさいの書店は儲けが少ない。
嵐山光三郎
・1000円の本を注文受けたとして、マージンが200円。電話代で60円も70円も取られたんじゃ、ワリ合わないでしょう。だから短冊になっちゃうですね。ところが、短冊だと、荷物を置きに来る運送屋さんは持って帰って取次の担当者に渡すわけだから、時間がかかるのは当たり前なんですよね。
・例えば、文庫本1冊を返品受けてから、それを直してもう一回出すまで、ある版元では1冊につき38円かかる。380円で38円だと10%もかかるわけです。
・客注のトラブル 茶木則雄(ブックスカイ深夜ブラス1) (中略)
誤解を恐れずに言えば、書店にとって客注はあくまでサービスなのである。店頭にある商品を買っていただくのが本来の姿であり、電話代や手間賃を考えれば、文庫やコミックなどの客注品は利益がないといっても過言ではない。
・書店人のサークル (中略) 近藤 誠 (翔伝社営業部) (中略)
出版業界内に組織される「会」の存在がある。特に書店同士の交流に一役買っているものを挙げれば次の3つになると思う。
①出版社が日頃のお礼の意味で書店を招待して接待する会。「もっとウチの本を売ってね」という含みだから、やっぱり弱肉強食ではないか(中略)
②書店商業組合に代表されるギルド的な会。支部会になると互いに競合する書店も同席することになる。
③主に書店、出版社の現場担当の人間たちの比較的私的なつきあいに、「○○会」というような名前が付いたもの。
・本屋さんの歴史 植田康夫(中略)
わが国で出版業が本格的に成立したのは、寛永年間(西暦一六二四年以降)である
・本屋さんの歴史 植田康夫(中略)
つぎに「本屋」という言葉は、江戸時代においては、物之本屋、唐本屋、浄瑠璃本屋、書本屋といったぐらいに使われた。このうち、物之本屋とは、物の本(もと)、万物の根源を究めるような本をあつかう本屋で、和漢の儒書、仏書、神書、歴史書、医書、歌書などをあつかい、唐本屋は支那発行の本を売買し、浄瑠璃本屋は浄瑠璃本をあつかい、書本屋は書写本をあつかうが、江戸時代においては、本屋も多様化し、専門家していったのである。
・『出版販売の基礎知識書店実務ハンドブック』
●書籍『「本屋さん」読本』より
本の雑誌社(1987年9月初版)
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