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寺澤 芳男 氏 書籍『スピーチの奥義』(光文社 刊)より

このページは、書籍『スピーチの奥義』(寺澤 芳男 著、光文社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・スピーチをする人よりも、スピーチを聞く人のほうが緊張しているのだ。「どんな人がスピーチするのだろう」「どんな話をするのだろう」(中略)


聞く人はゆったりと構えているわけではなく、とても緊張しているのである。このことを認識するだけで、自分自身の緊張はかなり和らぐ。


・どうすれば話し手と聞き手の間にある“緊張の壁”を崩すことができるのか。一番いいのは、まずは気のきいたジョークでみなさんに笑ってもらうことだ。


・スピーチのうまい人というのは、(中略)日常風景を切り取ったような身近な話から始めることが多い(中略)演者が自分と似たような日常生活を送っているという部分で聴衆は親しみを覚え、話に聞き耳を立てる。


・自分が言いたいことより相手が聞きたいことを話す


・人間というのは不思議なもので、自ら弱点を堂々とさらけ出す人のことは逆に信用するものなのだ。(中略)


聴衆が話し手である自分に懐疑的もしくは否定的な目を向けているような集まりでは、まずそういう聴衆の気持ちをしっかり受け止めること。その気持ちを代弁しながら「そう思われるのはごもっともです」と自分の弱点をさらけ出すことが大事だ。


・注意を喚起する工夫(中略)

ぼくがよく使う手は長めの間をとることである。急に黙ったり、何も言わずにステージを行ったり来たりしていると、聴衆は「あれ、どうしたあんだろう?」と心配してくれる。


そのころ合いを見計らって、「次に何を話すか忘れました」などと言って笑ってもらったり、何食わぬ顔で話を再開したり、いずれにせよ間を長くとることで、ともすれば(中略)聴衆の関心を呼び戻すのである。


・スピーチの出来・不出来は長さとテーマの数に反比例する(中略)

時間は短ければ短いほど、テーマは少なければ少ないほど、スピーチの出来映えは上がるのである。


・自分がやって欲しいことを主張する前に、胸に手を当てて自分に何ができるのかを考えなさい

※セヴァン・スズキ 氏談


・海部俊樹元首相には何度も「本当に演説がうまいな」とうならされたものである。(中略)いったい彼は国会でも街頭演説でも聴衆をうならせた。いったい彼はスピーチの基本をどこに置いていたのだろうか。彼に言われると、

●カタカナ外来語を使わないこと
●専門用語や難しい言い回しを使わないこと
●ウウとかエエとか言わないこと

の三点に尽きるらしい。


・財貨を失ったのは、いくらか失ったことだ。
名誉を失ったのは、多くを失ったことだ。
勇気を失ったのは、すべてを失ったことだ。
生れなかったほうがよかっただろう

(『温順なクセーニエン』より)


・質疑応答にもマナーがある(中略)

関連する質問ならまだしも、独立した項目で複数の質問を投げかけるのはマナー違反である。一人でいくつもの質問をするのはほかの人の質問チャンスを奪うことでもあるからだ。(中略)質問は一人一つが原則である。


・レクチャーというのは立場的に上の者が下の者に対して行うものである。たとえば、学校で生徒が先生の講義を受けるといった場合がレクチャーなのだ。

※補足 : 立場が上の人に、「レクチャーをします」といったように使わってはいけない言葉だということ。


・ハーバードではネゴシエーションに関する講義を夫婦間のコミュニケーションから始めることをご存じだろうか。(中略)夫婦関係というのは互いの考えをすり合わせて理解し合い、妥協点を見つけ協力していくことが基本だから


・妻の「あなた」には二十通りの意味がある?(中略)

怒っているのか、甘えているのか、同意を求めているのか、ただ話を聞いて欲しいだけなのか、文句を言いたいのか、うれしいことがあったのか、相談事があるのか、褒めて欲しいのか、いっしょに怒って欲しいのか、話し合いたいのか・・・・・・妻のそのときの心情を、「あなた」の一言で男が聞き分けるのは実に難しい。


・「世界にはさまざまな習慣や生活が混在している。たとえば、両膝をついて両手で襖をあける昔の日本人の婦人、この習慣は日本だけのもので、アメリカ人にはまずなじめない。


こういう日本人ならではの習慣を日本の文化という。青信号になったら進み、赤信号で止まるアメリカの文化は普遍的だから、無理なく世界中で流行る。これを文明という」


作家の司馬遼太郎さんはそんな意味のことを言った。


●書籍『スピーチの奥義』より
寺澤 芳男 著
光文社 (2011年5月初版)
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