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田中 菊雄 氏 書籍『現代読書法』(講談社 刊)より

このページは、書籍『現代読書法』(田中 菊雄 著、講談社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・読書は何のためにするのか(中略)

まず第一に、読書は智を増すためにするものである(中略)

第二に読書は休養のため、娯楽のためにするもである。(中略)

第三に------そしてこれこそ何にもまして大切なことなのだが、「吾々の思索と体験とを補うための読書」である。


・米国の哲人エマーソンの提示した書籍選択の三大原則である。(中略)

第一、出版してから一年を経たものでなければ、いかなる書物も読むな。
第二、声価のある書物でなければ読むな。
第三、自分の好む書物でなければ読むな。(中略)


近刊の多くが愚書で、中には五年十年を待つまでもなく一年経たないうちに忘れられてしまうものもあるから、一定の歳月を距(へだ)てて、ふるいにかけられた名著を読むというも一説であるが、いやしくも読書家たるものが、自然淘汰や世評の一定を待つというのは何という不見識であろう。


・一冊の書物を読むときは、一章毎にその大意を知るに力(つと)めなければならぬ。(中略)この一章は何のために書いたものか、その大要の意味はどうであるか。これを注意しなければならぬ。


・古人は文を作る三秘訣として厠上馬上枕上ということを言うたことがある。すなわち、これらの機会が一番よいというのである。


・読書の時間について古人は三余ということを言った。(中略)冬は歳の余なり、夜は日の余なり、陰雨は時の余なり


・指導者というものは、「人間」というものを知らなくてはならない。「人情の機微」というものを知らなければならない。「愛」というものを知らなければならない。「縦横の機略」と「人愛温情」とを兼ね備えなければならぬ。それらを諸君に教えるものは諸君の読書である。


・書物の取扱い注意と保存法(中略)

一、日光に直射させぬこと。
二、火にかざして読まぬこと。
三、枕にして寝ぬこと。
四、頭垢(ふけ)を本の上に落とさぬこと。
五、手に唾をつけてページを繰らぬこと。
六、紙小口を折らぬこと。
七、本を開いた上で物を食べぬこと。
八、湿気のあるものの上に置かぬこと。
九、小口をとんとついたり、又は下向きに置かぬこと。
十、書架に曲げて立てぬこと。
十一、書物の保蔵には暑熱、湿潤、乾燥いずれも極端を避けること、人間の住まうのに適する処がやはり書物にも適する処である。
十二、梅雨季など書物に黴(かび)の生じた時は一刻も猶予せず、取出して布片でていねいに拭き去り、風に当ててしばらく乾す。ただし直接太陽にあてることは禁物である。
十三、本は少くとも年一回書架から出して埃を払い、風にあて、防腐剤で装幀の箇所をていねいに擦る(こする)。埃を払う時は湿気の少ない好天気な日を選び、書斎から書物を下す際には、持った手を緩めず、上の方を下向きにして刷毛(はけ)で軽く払い、蠹魚(しみ)などの有無をしらべたならば、しばらく本を開いたまま卓上にたて、風を通し、防腐剤で擦ってから書棚におさめる。


・雑誌は古くなればなるほど価値を増すものである。(中略)雑誌はその号その号で絶版となるもので、西洋では雑誌のバックナンバーというものは中々高値なのが常である。


・○読書の心理的研究  松尾長造著
大正八年十二月

読書という現象における精神的生理的機能の研究書で、読書機能の内部的攻究に及んでいる。読書問題に対して種々の材料を提供した科学的研究の書。


●書籍『現代読書法』より
田中 菊雄 著
講談社 (1987年2月初版)
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