このページは、書籍『指示待ちスタッフが変わる仕組み』(森 昭 著、現代書林 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・現在歯科医院は全国に7万軒あり、これはコンビニの1.6倍の数です。犬も歩けば歯医者にあたる時代。歯科医院1軒当たりの患者数は明らかに減り続けています。
・実は「指示待ちスタッフ」はあなたがつくりだいているのです。そして「指示待ちスタッフ」をあなたがつくりだしているとしたら、「指示待ちじゃないスタッフ」もあなたがつくりだすことができます。
・[一流の人材を集めるのではなく、いまいる人材を一流にする 永松茂久・講演会]
・これまでの私は「スタッフが悪い。スタッフが悪い。スタッフが悪い・・・・・・・・・・・・」と言いながら、這い上がろうと踏み込めば踏み込むほど、どんどん奥深く入り込んでしまう泥沼に、深く落ち込んでいました。
・『もし自分が相手の立場だったらどうしてくれたらうれしいかな?』とか、『目の前の人がどうやったら喜んでくれるかな?』とか、『隣で働く仲間のために何ができるのか?』、この『FOR YOU精神』を追及していこうと決めた瞬間から、店が変わったんです。
・この追求から、私のクリニックも歯医者なのに、玄関にノボリがあったり、待合室にガチャポンがあったり、節分にはスタッフが鬼に扮装したり、雑貨店があったり、エステをしたり、託児施設や患者送迎車というさまざまな企画が生まれ、どんどんクリニックが変化を続けています。
※補足:この追求とは、『FOR YOU精神』のこと。
・「透明の板」がスタッフを指示待ちにする(中略)
大きな水槽を透明な板で仕切って、一方にはおなかを空かせた肉食の魚の群れ、もう一方には小魚を放します。
肉食の魚たちは小魚を食べようとしますが、透明な板が邪魔をします。何度やっても板にぶつかるばかりで、小魚を食べることができません。(中略)繰り返すうちに、小魚を食べることをあきらめておとなしくなってしまいます。(中略)
次に、水槽の中の透明な板をとってみます。自由に小魚を食べ始める・・・・・・と思いきや、魚たちはいっこうに小魚を食べません。(中略)
『食べようとしたら頭をぶつける』という回路ができてしまったからです。これを『心の壁』っていいます(中略)
このかわいそうな魚たちに小魚を食べさせる方法があるのですが、わかりますか?(中略)
正解は・・・・・・『心の壁ができていない別の魚を一匹水槽に入れる』という方法です。(中略)
新入りの魚が喜んで小魚を食べている様子を見て、あきらめていた魚たちも小魚を食べ始めるそうです。
・スタッフが自由に動こうとすると、「私のイライラ」という「透明の板」に当たり、ケガをする。その傷の痛みを避けるために、自分からは動かない、また動けない状態になっているのです。
※補足:だから、指示待ちになってしまう。「私のイライラ」とは、経営者や上司と置き換えると理解しやすい。
・人が一番渇望しているのが自己重要感です。『あなたは価値のある人間なんだよ』『あなたはここに必要な人間なんだよ』と相手に伝えること、それが自己重要感なんです。(中略)
ですからどんな時も、相手の重要感を満たせるように接していこうって考える習慣を身につけると、(中略)どんどん人が集まってくるようになりますよ
・「FOR YOU」の風土(中略)
勘違いされることが多いのですが、自分のことを考えてはいけないのではないのです。自分のこと“だけ”を考えてはいけないということです。(中略)誰の心の中にも「FOR ME」(中略)どちらも併せ持っているのです。
・イライラの原因を見つけよう(中略)
イライラした出来事があったら、ノートに書くのです。(中略)10日もするとあることに気づきました。毎日だいたい同じことでイライラしているのです。(中略)
そして、大きく分けると「自分に対してのイライラ」と「スタッフに対してのイライラ」とふたつに分けることができました。(中略)
「イライラ手帳」をつけて、そのあとに分類するという作業は、かなり有効です。
・私はゴミを見つけたら、拾うようになりました。ますます気持ちよかったので続けていると、スタッフが私より先にゴミを拾うようになりました。(中略)
スタッフはリーダーの鏡であるということです。スタッフを変えようとしたら、まずリーダーが変わることです。
・イライラが一瞬で消える魔法の言葉(中略)
イライラしたときに、「それって、それほどたいしたことですか?」と心のなかで自分に語りかけるのです。(中略)そもそも私の命にかかわることでも、クリニックの存続にかかわるような大問題でもないとそのとき気づけば、気持ちが少し落ち着きます。
・「幹部が育つまで待つ」は大間違い(中略)
幹部を任せるとしても、「透明の板」を知らない新人を一緒にしないといけません。
・前職が飲食店勤務という経歴で、前職で培われた顧客第一主義が歯科クリニックにはない発想なのです。
「夏の暑い日におしぼりを冷蔵庫で冷やして患者さんに渡す」
「雨の日は貸し出し用の傘を患者さんに用意する」
「七夕には受付スタッフは浴衣で患者さんを迎える」
・いきなり幹部に指名する(中略)
●今日から二人は幹部スタッフになったこと
●これから医院経営はすべて幹部スタッフに相談して進めていくこと
●二人を信頼しているということ
●『陽なた屋』というお店をモデルにしていること
●院長主導ではなく、スタッフの個性を活かした医院にしたいこと
・顧客中心主義(中略)改革(中略)プロジェクト
●患者満足向上プロジェクト
自分がお客さまとして体験した他のサービス業を参考に、そのサービスをクリニックに取り入れる(中略)
●ニュースレター発行プロジェクト
毎月手づくりのニュースレターを発行し、患者さんのお宅に郵送するプロジェクト。
●院内美化強化プロジェクト
院内に季節の花や絵を飾る。その日に合ったアロマオイルをたく。正月、節分、ひな祭り、子どもの日、七夕、夏祭り、ハロウィン、クリスマスのときには、院内に装飾する。
●イベントプロジェクト
1年に1回、子どもたちを集めて夏祭りイベントを行う。スタッフの誕生会を企画する。
・「信頼して丸投げ」とは、裏切られても、結果がうまくいかなくても信頼するという覚悟でいるというレベルの信頼です。いわば、「幹部とは運命共同体である」という覚悟が私にとっての丸投げなのです。
・議論に勝つための唯一の方法は議論しないこと
・改革をはじめてから人が辞めるというのは、実は改革がうまくいっている証です。残念ですが、この現象はかならず起こります。だからといって変革のスピードを落とさないように注意してください。
永松茂久 氏談
・●陽なた屋八訓
一、約束は守れ、嘘はつくな
二、蔭口はいうな、愚痴はいうな
三、笑顔で元気よく挨拶しろ
四、他人を見るな、目標を見ろ
五、型から入り、中身を磨け
六、人の心のわかる優しさのある人になれ
七、すべての人に感謝できる人になれ
八、物事をすべてプラスに解釈し、明るく前向きに行動できる人になれ
・朝礼は、できるだけ楽しい雰囲気になるよう意識してやっています。毎日簡単なゲームをし、そのゲームに負けたスタッフが罰ゲームとして、『森歯科八訓』を唱和します。
・私は面談の2週間前になると、スタッフ全員に次のようなアンケートをとっています。
●あなたがいま、はまっていることは何ですか
●他のスタッフがはまっていることがあれば、コッソリ教えてください
●あなたがいま、がんばっていることを教えてください
●他のスタッフががんばっていることを、コッソリ教えてください
●あなたは仕事をしていて、いまどんなときにモチベーションが上がっていますか(中略)
この事前のアンケートを参考に、面談のはじめにそのスタッフがはまっていることを話題にするようにしています。そうすることで、まずスタッフが自分の話をしてくれます。
※補足:経営者とスタッフが面談するとき、上役が一方的な話にしないための方法
・「FOR YOU」の考え方を大切にし、スタッフの得意分野を生かしていくうちに、歯科クリニックなのに、非常識な感じになってきました。(中略)
●夏祭りをしている
夏には、スーパーボールすくいや射的などの露店をだします。ビンゴ大会もあり、毎回100人以上の子どもたちが集まります。歯科医院が夏祭りをすることが珍しいためか、テレビ、新聞、雑誌の取材を受けたこともあります。
●ハロウィンにはカボチャをかぶって診療(中略)
●院内に保育士が常駐し、無料の託児サービスがある
●送迎車があり、患者さんを家まで送り迎えしている(中略)
これらは、奇をてらって売上を上げるとか、患者数を増やすとか、そういう視点でやっているわけではありません。「FOR YOU」を追求することで自然と変化しているだけなのです。
・午後5時までに経営を成り立たせようという考えは、そもそも歯科の常識から大きく外れています。そこで考えたのが、本来は来院者数が少ない、日中の患者さんを増やすことです。まず、歯科クリニックに来たいのに来られない人を対象に、送迎専用車による無料送迎を始めました。
そして、子どもが小さくても治療に来られないママさんを対象に、保育士による無料託児をはじめました。また、訪問診療にも力を入れました。
・子育てスタッフが働きやすい仕組み(中略)
●妊婦健診による遅刻早退は出勤扱い
●妊婦の体調不良による欠勤、遅刻、早退は出勤扱い
●子どもの体調不良による欠勤、遅刻、早退は出勤扱い
●子どもの予防接種、健診による欠勤、遅刻、早退は出勤扱い
●1年以内に復職してくれる場合は、休職前のキャリアを踏まえて給与を決定する
●1年以内に復職してくれる場合には、月に1万円の補助金を支給する
●子どもが3歳になるまでは正社員でありながら、労働時間は短くていい
●子どもを預かってくれるおばあちゃんに手当てとして、子ども1人5000円を支給する
●書籍『指示待ちスタッフが変わる仕組み~いつも忙しいリーダーのための』より
森 昭 著
現代書林 (2013年12月初版)
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