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書籍『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』(楽園計画 著、ネコ・パブリッシング 刊)より

このページは、書籍『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』(楽園計画 著、ネコ・パブリッシング 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・武雄市長 樋渡啓祐(ひわたし けいすけ) × コミュニティデザイナー 山崎亮(中略)


・樋渡:いまの公共図書館なんか、実態は官営図書館であって、全然、公共じゃないですよ。そして官営だから面白くない。だから今回の図書館のプロジェクトというのは、私からしてみれば図書館の解放宣言なんです。


・樋渡:朝10時に開館して、夕方の6時には閉まっちゃうんですよ。これじゃあ、サラリーマンの人とか行かれないでしょう? こんなのサービスの名に値しないですよ。


・樋渡:人は見えるものですか判断できない。だから見せる。そのためにスピードが必要なんです。


・樋渡:僕は批判させることが大好きなんです、批判させることは無関心でいられるよりも、よっぽどいい。


・新しい図書館はCCCを指定管理者とすることによって、従来よりも閉館時間を拡大しながら、かつ運営経費は10%以上削減されているのだ。さまざまな市民価値を付け加えながらなお、経費を抑制できる。


・長い歴史の中でほとんど閉架が常識だった。これは印刷技術の誕生以前は、書物とは極めて高価な、一種の工芸品であったためであろう。19世紀末のアメリカでカーネギー図書館が開架式を取り入れたとき、それは図書館にとって革命的な出来事でさえあった


・「武雄市図書館」(中略)開架が基本なのだ。これまでは、蔵書全体の半数以上が閉架だったのだが、新しい図書館では20万冊のうち、18万冊が開架に。


・図書館にあるとうれしいサービスを市民アンケートで聞いてみたところ、「カフェ」という回答が群を抜いて多いという結果に


今後増えたらうれしいサービスはどれですか? ※複数回

カフェ(喫茶店)
レストラン
販売「本」
レンタル「CD・DVD」
販売「中古本」
電子書籍での閲覧
販売「CD・DVD」
レンタル「コミック」

※補足 多い順にグラフが掲載 27ページ参照


・図書館では商業行為ができないため、販売は館内に併設される蔦谷書店で行われることになるが、利便性の向上は間違えなく図られるだろう。


・今後増やしてほしいジャンルはどれですか? ※複数回答


雑誌
文庫・新書
専門書
趣味実用
ビジネス書
文芸書
参考書
コミック
児童書
郷土本
新聞
その他

※補足 多い順にグラフが掲載 29ページ参照


「今後増やしてほしいジャンル」での回答は、雑誌が最も多かった。新しい武雄市図書館には600タイトルもの雑誌が並ぶ


・TSUTAYAで提供しているのは、書籍やDVD、CDなどの“モノ”ではなく、それらを通して表現されるライフスタイルそのものだ


・時代に適った(かなった)書籍の分類と検索が拓く、未知の“発見”という知的スリル。(中略)


例えば1次区分でいうと、ガーデンニング関連の書籍は「産業」の類、フィッシング関連は「芸術・美術」に分類されることになる。ベランダでガーデンニングを楽しむ主婦で、自分の行動を産業活動の一環と捉えている人は、おそらくそう多くはあるまい。新しい「武雄市図書館」においては、この「日本十進分類法」に代わり、「代官山 蔦谷書店」で採用されている、22進の分類法が採用される。


・ポイント(中略)

本を借りる際に、いま挙げた3種類のカードのうち、新カードとTカードのどちらかを使ってセルフカウンター(自動貸出機)を利用すると、1日1回、3ポイントが貯まることになるのだ。これは本を借りるという行為につくポイントではなく、あくまでもセルフカウンターを利用することを通して、図書館業務の効率化に貢献いただいた人に発給させるもの。(中略)


図書館司書に手続きをしてもらう代わりに、利用者が自分自身でこのプロセスを行うことで、貸出の時間が短縮させるのもはもちろん、利用者のプライバシーを守れるという側面もある。


・「武雄市図書館」を創り続ける人々の肖像

井上祐次 (武雄市文化・学習課長)(中略)

これまでの図書館は、自分たちでも気づかないうちに制限を設け過ぎていた。夕方に閉まるのが当然だとか、飲食はだめだとか。そうした制限のため、来館する人の種類もこれまでは限られていたんですね。


・本による町興しが、日本各地で行われている。(中略)


世界中の書籍愛好家の間でヘイ・オン・ワイという地名は、“いつしか行ってみたい町”として、しばしば会話に登場する

※補足:ヘイ・オン・ワイとは

ヘイ・オン・ワイ(Hay-on-Wye)は、英国ウェールズのポーイスにある古書店街。1960年代から形成され、30軒以上の古書店が立ち並ぶ。古書を核とした地域おこしの先駆的事例であり、今では「古書の聖地」として知られる。ウェールズ語では「イ・ゲリ」という。

※ウィキペディアでさらに詳細を見る


・“日本のヘイ・オン・ワイ”を目指して歩みを進める。

--- 長野県伊那市高遠町

2009年から2年にわたり開催された「高遠ブックフェステバル」。(中略)

中心となって推し進めたのは、東京・西荻窪でブックカフェを経営していた斉木博司と、フリーライターの北尾トロ。


・本による町興しが、日本各地で行われている。(中略)

--- 福島県南会津群只見町(中略)

1994年の1月某日、日本経済新聞の朝刊に“家庭の古本や中古CD、雑木林と交換します”という記事が大きく掲載された。同日、朝日新聞の夕刊も同様の記事を掲載。(中略)


交換する森は山の斜面の雑木林。家を立てることはおろか、キャンプをすることも常識的には難しい。だがしかし、本やCDを低下の10%で評価し、1750円につき森1坪と交換できるという。“本と森の交換”事業は成功を収める。(中略)


目先の利益ではなく、森のオーナーとなってゆっくり森を育てる喜びを知ってほしいと思っています(中略)


世津耕一(中略)


販売できない状態の本は別棟のコンテナを本棚に作り替え、入場料500円で好きな本をお持ち帰りできるという「たもかく只本館」なども誕生させた。(中略)


本のダンボール、蔵書は176万冊に達し、古書店としては桁外れの規模を保ち続けている。


・本による町興しが、日本各地で行われている。(中略)

--- 山形県東置賜郡川西町

自他ともに認める遅筆の作家だった、故・井上ひさし。独特のユーモアを込めて、自ら“遅筆堂”の号を名乗った。(中略)


蔵書約22万冊はすべて、井上から寄贈されたもの。作家が執筆にあたって買いそろえた資料だ。


・本による町興しが、日本各地で行われている。(中略)

--- 群馬県甘楽郡南牧村

深刻な過疎化が進む山あいの村。そこに、およそ1,000冊の書籍をベースに、地域活性化の拠点となる図書館を創ろうというプロジェクトが舞い降りた。1,000冊の蔵書の主は、故・筑紫哲也氏。そして構想を立ち上げたのはひとりの主婦。(中略)神戸とみ子


・ヘイ・オン・ワイの奇跡(中略)


英国ウェールズの田舎町、ヘイ・オン・ワイ。世界に知られる古書の町だ。3度訪れたことがあるという小説家の逢坂剛氏に、この町の成り立ちを尋ねた。


・ヘイ・オン・ワイの象徴、ヘイ・キャッスルから見た町の情景。この青空書店ではボックスに代金を入れれば本を自由に持って行っていい


・ヘイ・オン・ワイの奇跡(中略)

「なにしろ圧倒的な物量に、驚かされ、魅せられました。私が訪れた当時は、確か70軒ほどの商店のうち、35軒が古書店だった。街の中をぶらつくと、古本屋だらけの感じ。小さな店から消防署や映画館、果ては城までが古書店になっていて、その佇まいもよかった」

※小説家の逢坂剛 氏談


・愛書家だったマザランが個人の蔵書を基にして開いたマザラン図書館がフランス初の公共図書館として知られ、1660年代には2万5000冊もの蔵書があったといわれている。マザラン図書館をモデルにした公共図書館はそののち100年ほどの間にフランスで50も誕生。


・「武蔵野美術大学図書館」
設計者・藤本壮介が描く図書館像(中略)


「図書館というのは本来、機能的にできているべきもの。しかしただそれだけで割り切ってしまっては、ワクワク感が失われてしまうでしょう。より自由に散策できて、未知の世界を体験できる場所にできたら、それは新たな図書館の可能性になるのではないと思い、それならばその空間全体を森にしたらどうだろうかと考えたのです」

※藤本壮介 氏談
※参考:武蔵野美術大学図書館のウェブサイトはこちら


・カルチャア・コンビエンス・クラブ(CCC) CEO・増田宗明が語る目的地とそこに至るまでの道程。(中略)


私は企画を立てる際、“守・破・離”という思考のプロセスを踏むように自らに課している。(中略)


①守=形をまねる。基本を学ぶ
②破=一転して、違う形を試みる
③離=これを繰り返し、その積み重ねにより一段上に立つ


・カルチャア・コンビエンス・クラブ(CCC) CEO・増田宗明が語る目的地とそこに至るまでの道程。(中略)


いまは第3のステージにいる。(中略)


次に顧客が価値を認めてくれるのは、“選ぶ技術”ではないだろうか。自分のとって価値の高いものを、納得性の高い説明とともに提案してくれる者。それが第3のステージにおいて、より大きな顧客価値を提供し、競争において優位に立つ存在になると思う。


・カルチャア・コンビエンス・クラブ(CCC) CEO・増田宗明が語る目的地とそこに至るまでの道程。(中略)


書店は本を売る場所ではない!(中略)

いま、人が求めているのは、提案なのだ。その提案が凝縮されているものが、「たまたま本なのである。ならば本を売ろうとするのではなく、その中の提案を売ろうとするべきなのだ。(中略)


「文庫本という物体が欲しい」という人は、あまりいない。この分類はあくまで流通事情の問題。つまりは店側の都合である。顧客の立場には立っていないから、顧客価値も顧慮されていない。

・カルチャア・コンビエンス・クラブ(CCC) CEO・増田宗明が語る目的地とそこに至るまでの道程。(中略)


「この街に欲しいものは、何ですか?」という質問をすると、ほとんどすべての街で「カフェ」が回答の1位となるのだ。(中略)“BOOK&CAFE”スタイルの店舗は非常に好調で、顧客の支持も高い。そこでの真の商材は実は、書籍でも珈琲でもない。それはライフスタイルなのだ。


●書籍『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』より
楽園計画 著
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