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書籍『誰も気づかなかった 噛む効用~咀嚼のサイエンス』(窪田 金次郎 監修、日本咀嚼学会 編集、日本教文社 刊)より

このページは、書籍『誰も気づかなかった 噛む効用~咀嚼のサイエンス』(窪田 金次郎 監修、日本咀嚼学会 編集、日本教文社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・【咀嚼の十大効果】

1 人類の「進化の原動力」は咀嚼だった!
2 頭がよくなる! 記憶力アップする!
3 がんや糖尿病などの成人病を予防する!
4 スポーツ能力がアップする!
5 容貌・表情がよくなる!
6 肩こり・腰痛が治る!
7 肥満を防止する!
8 姿勢がよくなる!
9 ボケを予防する
10 寝たきりから立ち上がる!


・成人の肩こりや腰痛の多くは、噛み方に原因があることも分かってきました。容貌や姿勢についても噛み方に大きな原因があることが分かってきました。また、骨粗鬆もよく噛んで健康な歯をもつことによって防げることや、さらには、よく噛んで唾液をたくさん出すことによって免疫力を飛躍的に高め、ガン予防はもとより、糖尿病などの成人病の予防にも大きな役割が果たす仕組みもしだいに明らかにされてきました。(中略)


日本咀嚼学会 会長(中略)窪田金次郎


・ナイジェリア人に虫歯はない


・口の中の歯は単にものを噛み砕く道具ではないのです。例えば、食事中にご飯の中に一本の髪の毛が混じっていても、それを識別できるぐらい、歯は敏感な感覚をもっています。(中略)


咀嚼中の食べ物が噛み砕かれていく状態を読み取って、その刻々と変わる食物の形状を口の中の神経受容器を通じて脳に送り出し、それに見合った咀嚼の運動指令が脳から口の筋肉に伝えられて噛み方を変えながら咀嚼が続行されていくるのです。そして、分泌される唾液でののみ込み易い食塊がつくられて食道に送り込まれるのです。この一連の機能が「咀嚼」というわけです。

※窪田 金次郎 氏談


・今日の咀嚼能力の低下には、日常生活における“空腹感の喪失”という原因もあります。子供たちの空腹感・飢餓感が少なくなった背景には、運動量が少なくなったのに加えて、加工食品を多く摂ることがあげられます。

※二木 武 氏談


・食事量を減らすには・・・・・・それはよく咀嚼することです。一口量の食物を、数十回よく噛んで食べるようにすると、早く満腹感が起きてきて、過食をしなくなります。


満腹感というのは、実際にお腹がふくれたかどうかではなく、脳の問題ですので、咀嚼によって満腹感が早く感じられるならば、それは過食に対して非常に効果的だということになります。

※船越正也 氏談


・噛まない現代人(中略)

食事時間や噛む回数から見てみましょう。(中略)その結果、スパゲッティとハンバーグに代表される、現代食の咀嚼回数と食事時間は、卑弥呼の時代(弥生)のそれの約6/1、第二次世界大戦前の約2/1しかないことがわかりました。この実験は、「食のグルメ化とは、軟食化にほかならない」ことを明らかにしました。

※斎藤 滋 氏談


・「噛む」ことの意義(中略)

噛みごたえのあるものを食べている人は、歯が非常にじょうぶです。歯肉炎や歯周病(歯槽膿漏)、顎関節症などの病気にかかりにくいいのです。それは噛むという機械的な力=ストレスが、それぞれの歯に加えられ、歯と歯を支える歯槽骨が鍛えられるからです。


・[咀嚼と学習能力] (中略)

よく咀嚼をすると、脳細胞の代謝活動を盛んにさせ、脳の血液循環をよくするようです。つまり咀嚼には、脳の発達と活動を促進させる働きがあるのです。(中略)


人間とラットを同一線上で述べることはできないでしょうから、結論を急ぐことは危険なのですが、咀嚼という行動が、脳の活動に何らかの影響を及ぼすことは、どうやら本当のようです。どうやらよく噛むことが、頭をよくするようです。

※朝日大学・学長  船越 正也 氏談


・「指しゃぶり」をする子には、虫歯が少ないという報告があります。指しゃぶりというくせは、唾液の分泌を促すので、そのため虫歯の予防がなされていると考えられます。


しかし、(中略)長期間これを続けると「不正咬合(ふせいこうごう)」になる(歯並びや噛み合わせが悪くなる)と考えられている

※ 米満 正美 氏談


・よい歯並びが作られる条件は、主につぎの四つです。

一、顎の成長
二、口のまわりの筋肉の調和(顎の正常発育因子)
三、歯と顎の大きさの調和
四、健康な歯

※小野 芳明 氏談


・子どもの肥満予防と咀嚼(中略)

運動をする必要性

一日のエネルギー消費は、基本的に三つの内容からなります。

①安静代謝量(六〇~七五パーセント)
②活動代謝量(一五~三五パーセント)
③食事誘発性体熱産生量(一〇パーセント)。


この三つのうち最大なのが安静代謝量ですが、その八〇パーセント前後を基礎代謝量が占めていますから、基礎代謝量は最大のエネルギー消費項目となります。このことからも、筋肉の量と代謝の活性をよい状態にして、基礎代謝を高めていれば、睡眠中や勉強中のように安静にしている時でも、エネルギーを活発に消費できます。(中略)


つまり、(中略)筋肉をきちんと鍛えておけば、一日のエネルギー消費量を大きくできます。

※鈴木 正成 氏談


・子供時代の肥満は、脂肪細胞の数を増やす(中略)


子供のときに肥満になると、生涯にわたる心身の健康づくりに、様々な困難を引き起こします。子供時代に肥満すると、その改善がとても困難となるからです。

※鈴木 正成 氏談


・咀嚼と免疫力(中略)

唾液は、これらの細菌の定着を阻害する免疫物質を含んでいるのです。ですから、歯の周りが唾液で洗われることは、歯の健康を維持する上できわめて大切なことなのです。よく噛んで食べることが、唾液の分泌を促しする、歯の周囲にじゅうぶんに唾液を行き渡せる働きをするのです。

※石川 烈 氏談


・咀嚼による脳の活性化(中略)

食事の合間にもガムなどを噛むことは脳細胞を刺激して精神活動を高揚し、仕事の効率をよくすることにつながると思います。

※窪田 金次郎 氏談


・正しい噛み合わせで、咀嚼をよくすると健康になり、噛み合わせが悪いと、噛めば噛むほど頸椎に力が作用し、イライラしたり頭痛、肩こりで苦しむことになります。

※前原 潔 氏談


・肩こり・腰痛と咬合(中略)

ものを噛む時の、歯の噛(咬)み合わせのことを、専門的には「咬合(こうごう)」とよびます。(中略)この咬合の不全が、肩こりや腰痛の原因の一つとなっているらしいことが、最近になって分かってきました。では、具体的に、どんな咬合がいけないのでしょうか。その具体例には四つあります。

①「片側の大臼歯の欠損」(中略)
②「片側の奥歯三本の欠損」(中略)
③「前歯の強い接触」(中略)
④「犬歯(けんし)の不全」

※尾澤 文貞 氏談


・咀嚼と表情(中略)

多くの人は、片側で噛む習慣があります。当然、右側で噛むクセのある人は、右側でばかり噛み、左側で噛む癖のある人は、左側でばかり噛みます。ところがこれがエスカレートすると、顔を変形させることになります。

※橋本 堅二 氏談


・右側だけで噛む人は、右側を下にして寝る習慣(横寝・うつぶせ寝)があります。と同時に、口で呼吸する習癖を合わせもつ場合も多いようです。これも直接、顎をゆがめる原因につながります。口呼吸癖は、顔つきに影響します。


また、乳幼児期に“うつぶせ寝”を続けると、顎が小さくなり、歯並びが悪くなるという報告もあります。また、口呼吸癖は、感染症にかかりやすいことも判っています。

※橋本 堅二 氏談


・左側で噛む習慣のある人は、右側噛みに比べてがんや高血圧になりやすいという調査結果があります。これは噛みグセによって、自律神経の働きが変化するためだと考えられます。

※橋本 堅二 氏談


・正しく噛むことは、容貌をよくします。噛むことは、顎の骨を刺激し、骨の成長・発育に役立つだけでなく、顔面表情筋の運動により、血流を促進して脳神経を刺激し、イキイキとして締まりのある口元と、表情の豊かな顔立ちをもたらすからです。

※橋本 堅二 氏談


・正しい噛み合わせで、よく噛む習慣のある人は、姿勢がよく、肥満にもなりにくく、結果的に、容姿端麗の美形になれるのです。

※橋本 堅二 氏談


・噛み合わせとスポーツ(中略)

噛み合わせのバランスが悪いと、スポーツ界では、ウルトラスーパーの妙技を披露する時に、しばしば失敗の憂き目に遇います。

※中島 幸一 氏談


・歯が痛いと噛む時に力が入りません。スポーツ選手などは“瞬間的”に力をださねばなりませんので、どうしても歯に力が入ります。また、歯がよいか悪いかで、その日の調子に大変な差がでてきます。スポーツ選手にとって、歯は非常に大切なもといえるのです。

※渡辺 郁馬 氏談


・いつまでも元気で「食べる」ために(中略)

口を動かすということは、周りの筋肉や舌を動かすことになり、その刺激によって唾液の分泌も促されます。その結果、唾液のもつさまざまな生理効果(消化、自浄、抗菌、有害物の排泄など)が期待されます。と同時に、咀嚼もスムーズになります。

※寺岡 加世 氏談


・口の老化をできるだけ遅らせ、好きなものを食べる楽しみを、最後までもち続けるには、口をじゅうぶん使って、他人が何と言おうと「口だけは達者」な老人になることをお勧めします。

※寺岡 加世 氏談


・入れ歯の素材を吟味する(中略)

金属ですが、一番よいのは「金」です。その金も、カラットの高いものほどよいいのです。金は、歯肉に対して刺激もないし、食べた物に対して化学反応も少ないのです。ですから、必然的に炎症も少なくなります。


金は確かに重いのですが、その反面やわらかいので、薄く作ることができます。そのため口の中は広くなります。また、割れる心配がありません。さらに言えば、金は“味もよし”なのです。(中略)


最高の材料なのです。ただし、金の最大の難点は、高価なところです。(中略)さすがに保険が効きません。

※窪田 恂子 氏談


・入れ歯の効用

入れ歯には、次の三つの重要なポイントが理解されます。

一つは、「噛む」という機械的な機能の回復です。
二つは、「若返り」という心理的な効果です。
三つは、発音への影響です。

※窪田恂子 氏談


●書籍『誰も気づかなかった 噛む効用~咀嚼のサイエンス』より
窪田 金次郎 監修
日本咀嚼学会 編集
日本教文社 (1997年8月初版)
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