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出版取次大手のトーハンが発表する2013年の年間ベストセラーで1位になっているのが、『医者に殺されない47の心得』(近藤 誠 著、2012年12月初版)です。
同年ミリオンセラーになり、現在108万部を発行しています。また、発売後65万部と着実に部数を伸ばしているのが、書籍『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(槙孝子 著, 鬼木豊 監修、アスコム 刊、2013年6月初版)です。
これらの本を手掛けのが、アスコム黒川精一編集長です。出版業界紙「新文化」2014年2月6日号に、その編集方針や、どのような考え方をもっているかの指針が紹介されています。一部、抜粋して紹介いたします。
10年刊 『残念な人の仕事の習慣』(18万部)
11年刊 『ルフィの仲間力』(21万部)
12年刊 『たまねぎ氷健康法』(21万部)
13年刊 『たまねぎ氷健康レシピ』(10万部)
13年刊 『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(65万部)
と、毎年ベストセラーを生み出しており、一昨年に手がけた書籍全15点のうち14点が増刷。単純計算で重版率は93%を誇る。
・ヒットメーカーの黒川氏は、編集方針として「広く深く刺す」という大きなテーマを持っている。例えば、『医者に殺されない~』の著者、近藤誠氏は、がん治療のエキスパートである。すると多くの編集者は、「がんの本」を作りたがる。しかし、近藤氏が警鐘を鳴らしてるのは、より広い視野に立った「過剰医療の危険性」なのだと黒川氏は指摘する。
・テーマ設定を特定の「がん」に絞ってしまえば、そこに関心のある人にしか届かない。そうではなく、より普遍的な話題として切ることで多くの読者の関心を惹き付けられると考えている。
・広告訴求は5字にこだわる(中略)
「殺されない」、「ふくろはぎ」、「たまねぎ氷」はいずれも字数は5。新聞の半五段広告に縦書きでタイトルを記して出稿する際、最も目立つのがこの「5字」なのだという。インパクトを与え、目を引かせるというわけだ。
・タイトルづけに関しても並々ならぬこだわりをみせる。『医者に殺されない~』もなかなかセンセーショナルだが、やはり先述の「広く」という方針とクロスする部分がある。
「ひとことで言うとどんな本なのか。ひとことで複数のターゲットに突き刺さる言葉は何なのかを考え、キーワードを探します」
その上で言葉を抽出していくと、「そんなに多くの言葉は出てこない」。最終的には「感覚的な部分が大きい」ともいうが、なるほど「医者に殺されない」と言われれば、治療中の人から患者を抱えている家族はもちろん、健康な人の関心をも引くことができるだろう。
・「読者が本を知る場所は、①書店、②広告、③プロモーション(テレビ、ネットなど)の3つです。多くの編集者は『書店』のことだけを考えがちですが、読者の多くは広告やプロモーションで知るのが現実でしょう」
・『医者に殺されない~』(中略)
ちなみに、「47の心得」の「47」は、「死なない」の意であるそうだ。(中略)実は、後にメディアから取材を受けた時、秘話として話すために用意しているんです」。
●書籍『医者に殺されない47の心得
~医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法』
(近藤 誠 著、アスコム 刊、2012年12月初版)
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●書籍『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』
(槙孝子 著, 鬼木豊 監修、アスコム 刊、2013/年6月初版)
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●書籍『病気にならない! たまねぎ氷健康法』
(村上祥子 著、アスコム 刊、2012年10月初版)
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※取材は「新文化」富田薫 氏
出版業界紙「新文化」2014年2月6日号より作成
http://www.shinbunka.co.jp/
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