このページは、書籍『アナウンサーの話し方教室』(テレビ朝日アナウンス部 著、角川書店 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・「二重敬語」を使っていませんか?(中略)
「ご覧になられる」は誤りで、「ご覧になる」にすべき(中略)
×=「なされる」 ○=「なさる」
×=「おっしゃられる」 ○=「おっしゃる」
×=「召し上がれる」 ○=「召し上がる」
×=「お越しになられる」 ○=「お越しになる」(中略)
×=「お話になられる」 ○=「お話になる」
×=「お聞きになられる」 ○=「お聞きになる」
×=「お読みになられる」 ○=「お読みになる」
・新聞の解説などはそのまま自分の意見のように話さないほうがいいということです。「昨日、原監督があそこでピッチャーを交代させたのは、僕は------だと思いますね」などと訳知り顔をするのは、相手の人に嫌がられることが少なくありません。(中略)
「あいつは、新聞に書いてあることを、さも自分の意見のように言っている信用できない奴だな」となってしまいかねません。それよりは、「昨日の原采配について、『○△スポーツ』にはこう書かれていましたが、どうでしょうかね?」と正直に切り出し、その後はそれぞれの意見を言い合うようにしたほうが、ずっと自然な会話になるものです。
・緊張をほぐす「アナウンサー流裏ワザ」とは? (中略)
そもそもあくびは、脳が疲労したときに一種の酸欠状態になっているため、多くの酸素を取り入れようとして発生するものです。従って、意識的であってもあくびをすれば、気持ちが落ち着き、頭がすっきりするでしょう。(中略)
あくびと似た理屈で、「ため息」をついたり「ガム」を噛んだりすることにもリラックス効果があるそうなので、これらをやってみるのもいいでしょう。
・初対面の人に対する「自己紹介」も簡単! (中略)
名字で止めるのではなく、フルネームをしっかり言っておく、つまり、「テレビ朝日の山田です」と言うのははなく、「テレビ朝日のアナウンサーでニュースを担当している山田一郎といいます」と名乗ります。
・読み方を誤りやすい言葉に注意! (中略)
「依存」を「いぞん」と読む人が増えていますが、本来は「いそん」と読むべきで、「いぞん」と読めば「異存」になります。つまり、あの人の意見に異存があるというときは「いぞん」で、アルコール依存症は「いそんしょう」になります。
「競売」も、「きょうばい」「けいばい」の二つの読み方があります。一般的には「きょうばい」です。ただ、法曹関係者のあいだで「けいばい」と読むことが多いです。
・使い方に気をつけたい言葉をいくつか挙げておきます。
他人に何かを頼むとき、「藁にもすがる思いなんです」と訴えることがあるかもしれませんが、これはいけません。こういう言い方をすれば、相手を「藁のような存在」と見ていることになるからです。
同様に、他人に対して「老骨に鞭打って励まされていますね」と言うのも失礼極まりないものです。これでは、相手を「老いて弱った人」と言っていることになるからです。
「藁にもすがる思い」や「老骨に鞭打って」は、自分の行動、もしくは身内の行動などを謙遜して表現するときに使うべきです。
・「小春日和」という言葉を春に使う人も多いようですが、これも間違い。小春日和というには、陰暦十月ごろ、つまり初冬の暖かい日のことを指すため、春になってから「小春日和ですね」などと言っていたのでは恥ずかしい思いをしてしまいます。
同様に、「麦秋」は、秋ではなく麦が熟する初夏のことです。
・「おざなり」と「なおざり」の違いはおわかりでしょうか。両方とも「いい加減さ」を表していますが、「おざなり」というのは、その場そのぎでいい加減なこと、「なおざり」というのは、おろそかでいい加減にすること。少しややこしいですが、「おざなりの工事」「おざなりの答弁」、「約束をなおざりにする」と使い分けるのが正解例です。
・汚名挽回と言う人もいますが、これも間違いです。「汚名返上」「名誉挽回」と、使い分けなければなりません。「挽回」というのは取り返すことなので、汚名挽回といえば、汚名を取り返したいことになってしまいます。
・「気のおけない人」という言葉を、気が許せない人と、間違って使っている場合が多いようですが、本来は、遠慮のいらない人、気が許せる人という意味です。
・ただ聞く、ただ読むよりは、文章にする、復誦するなどといったやり方を取るほうが、頭に吸収しやすくなるものです。
●書籍『アナウンサーの話し方教室』より
テレビ朝日アナウンス部 著
角川書店 (2003年7月初版)
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