このページは、書籍『たくらむ技術』(加地 倫三 著、新潮社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・テロップは、番組を面白くするためにあるもので、そのための効果的な手段の1つにすぎないと考えているからです。例えば、「運動神経悪い芸人」の中で1人の芸人さんが「あの時、俺の右足がグニャッとなっちゃったんです」と言って爆笑をとった場面があったとします。この一言をテロップにする際には、いくつもの選択肢が浮上します。(中略)
もし僕がテロップを入れるなら、「俺の右足がグニャッ!!」と9文字にして1行で入れます。理想を言えば、テロップは短ければ短いほど伝わりやすい
・僕の理論としては、テロップは「読ませる」ものではなく、「見せる」もの
・生理を無視してしまう編集とはこういうことです。自分がカットしやすいところでカットすると、笑いのために必要な間を殺すことにつながるのです。
・「バカじゃないの」はホメ言葉(中略)
「ここぞ」という時には規格外のものを作りたい。「よくぞ、こんなくだらないものに、こんなに手間ヒマかけたな。バカじゃないか」と言ってもらえるものを作りたい。
・会議は短い方がいい
会議は煮詰まったらすぐやめる(中略)
「ロンドンハーツ」や「アメトーク!」の場合は、企画や反省などの定例会議は週1回、2時間ちょっと。その間に2~3テーマほど扱います。1つのテーマにかける時間は長くて1時間くらい。(中略)あえて根をつめすぎないようにしているのです。
・反省会(中略)
先に自分で「この件については僕はこう思う」と大方の分析結果をしゃべってしまいます。加えて「だから今後はこうしていくべきだと思うんです」と解決策も出すようにしています。
・余力があるうちに次の準備を(中略)
「当たっている時こそ次を見つけなければならない」ということでした。新しいものは余力のあるうちに準備しなければならないのです。
・ヒット企画(中略)「勝ち越し」を続けるためには、一定の「負け」が必要なのです。
・怒られたら喜ぶべきだ、と考えています。(中略)怒られることは、新しく考えるきっかけをもらえるということです。
・賛辞以上に、僕はあえて批判に目を通すように心がけています。それが次につながるからです。(中略)「不快だった」(中略)ではどうすればよかったのか、を考えるのです。その人は何を不快に思ったのだろうか。どうして嫌な気持ちになったのか。それは改善できなかったのだろうか。あれこれ分析するのです。
・ダメなディレクターの典型は段取りや台本にこだわりすぎてしまうタイプです。(中略)いい料理人は、その時の仕入れの状況や天候、あるいはお客さんの年代、好みなどさまざまな要素を元にメニューを組み立てるといいます。それと同じことだと思います。
・企画書を通すにはコツがある
短く書いて「減点」を減らす
僕が新番組の企画書を出す時は、A4用紙2枚以内に収めるようにしています。(中略)面白そうな概要だけを書き、後は読む側に想像してもらう。相手に「こんな面白いこともあるかもしれない」と思わせる、企画書の「余白」を作るのです。
・「何が面白いか」が分からないことには、せっかくの素材を面白く見せることができません。そのために必要なのは、国語力。あとは経験と努力ではないかと思います。(中略)構成力と表現力、といってもいいでしょう。
構成力とは話をどういう順番にすれば面白いかが分かっているということ。表現力はどういうふうに見せれば面白さが伝わるかが分かっているということです。
・勝手に社内メールを送ってきて、仕事など頼み事をした上、「返事がない」と言ってくる人が増えてきました。しかし、それに返事をする義務なんかありません。きちんとした人は、メールに「のちほど電話させていただきます」程度のことは書いて、電話をしてきます。
・最近では「スベる」ことが特徴となっている芸人さんもいます。見ている側は、「あの人はスベってばかりで面白くない」と思っているかもしれません。(中略)彼らは、スベっている様子や、その後のリアクションも含めて、やっぱり「面白い」人なのです。一見、空気を読んでないように見える人もちゃんと読んでいます。出川さんや狩野も空気を読もうとしています。それがズレて面白くなる
●書籍『たくらむ技術』より
加地 倫三 (かぢ りんぞう) 著
新潮社 (2012年12月初版)
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