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[ 書店について ]

書店がなくなる街、ある街   寄稿:冬狐洞 隆也 氏

総務省が発表する「都市別 転入・転出超過数ランキング」から、今後の書店のありようを考えてみたい。
 

人口が増えている街 ベスト20位

順位
転入超過数
1
東京区部
東京
63,976
2
札幌
北海道
8,363
3
福岡
福岡
7,458
4
大阪
大阪
7,162
5
川崎
神奈川
6,553
6
さいたま
埼玉
5,776
7
横浜
神奈川
5,332
8
名古屋
愛知
5,280
9
川口
埼玉
2,636
10
流山
千葉
2,387
11
仙台
宮城
2,280
12
千葉
千葉
2,169
13
吹田
大阪
1,939
14
市川
千葉
1,877
15
ふじみ野
埼玉
1,736
16
越谷
埼玉
1,667
17
船橋
千葉
1,577
18
藤沢
神奈川
1,505
19
三鷹
東京
1,486
20
千葉
1,480
※総務省統計局


人口が減っている街 ベスト20位

順位
転出超過数
1
北九州
福岡
▲2,483
2
日立
茨城
▲1,590
3
東大阪
大阪
▲1,427
4
豊田
愛知
▲1,397
5
長崎
長崎
▲1,257
6
佐世保
長崎
▲1,199
7
沼津
静岡
▲1,089
8
尼崎
兵庫
▲1,037
9
青森
青森
▲1,028
10
函館
北海道
▲1,012
11
小樽
北海道
▲987
12
枚方
大阪
▲963
13
静岡
静岡
▲962
14
釧路
北海道
▲941
15
大阪
▲928
16
広島
▲904
17
横須賀
神奈川
▲899
18
室蘭
北海道
▲831
19
今治
愛媛
▲811
20
鹿児島
鹿児島
▲808

※総務省統計局


転入超過都市の多くは「首都圏」に集中

2014年都市別転入・転出超過数の20位ランクを掲載する。たった1年間の数字なので、これが5年続くと地域の人口増減はどうなるか考えただけでも恐ろしい。


転入超過都市はほとんど首都圏に集中している。一方、転出超過都市ワースト20位を見ると極端には流出していない。数字的には一時的ではあると思うが、転出超過が連続するとワースト20位以内の行政は内心穏やかではないと考える。シャッター通り商店街の小売店からは既に悲鳴が聞こえている。


街に書店のない市町村は317件

現在、全国の市町村数は1741。書店数は13,107店。そのほとんどが都市部に集中している。2012年度の調査では、街に書店のない市町村は317件。現在、図書館はあっても書店のない市町村は400店以上と推測する。


人口3万人以下の町みたいな小さな市が75市ある。一番小さな市は北海道 歌志内市で人口4390人しかいない。どのような理由で市として成立したかわからないが、周りは限界集落ではないか。もちろん、人口3万人以下の市の周辺も限界集落になっていると思われる。


総人口100万人以下の県が8県あり予備軍も2県ある。人数が政令指定都市以下でも県の存在価値があるのか。周辺県との合併の検討も必要になってくるのかもしれない。


人口の増減から書店の出店をひも解く

ワースト20位の地区には新たな書店の出店はあるとは思えない。対して、転入超過ベスト20の市については出店の余地は十分にある。これからも人は転入超過都市に集中してくるだろう。但し、2025年までは人口増だが、その先は老人天国になると推測する。


むかし、『書を捨てよ、街に出よう』と言ったのが寺山修司で1967年のこと。48年が経過した今『書を捨てよ、ネットを活用しよう』という時代になってしまった。そんな状況下で紙の本を売ること自体厳しいものとなっている。


本の問屋として居座る取次の問題点も多いのに、出版社も書店も誰も何も言えず今日まで来てしまった。


消費者が今より積極的に本を買うようになるか、本の流通革命が起きる以外書店の成長の可能性はないだろう。消費者と一番接触しているのは書店。出版社でも取次でもない。書店に元気がないと全てがダメになるとの認識が薄いことが問題だ。

 

寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏